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魔眼の子 〜金環のアーモン〜  作者: きょうけんたま
砂漠の魔眼修道院編
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魔眼暴走

 

 藻の掃除で疲れ果て逆に寝付けずにいると、そーっと起き出す者がいる事に気がついた。


(ぽっちゃりドワーフのマルテルかな? どこ行くんだよ)


 俺は、こっそり着いて行く事にした。


(こいつなら気がつかないだろう)


 魔眼帯は基本、人の顔や体などは見えにくい。

 眼鏡や服の装飾である程度、把握は出来る程度である。

 だが魔道具なだけあって、ただ見えない訳ではなく建物の構造などは薄っすら光る線のようなもので把握出来た。


 だからこそ修道院の中を自由に行動出来ている。


(他の奴なら気配とかで着いて行ってる事に気が付くんだけどな)


 鈍感ドワーフのマルテルは、まるで気付かず進んで行く。

 すると調理場へと辿り着いた。


(何か探してるのか?)


 戸棚や箱を開けては閉め、遂に目的の物を見つけた様だ。


(パンか、何だよ、ただの盗み食いかぁ)


 ガッカリして宿舎へ戻ろうとすると突然大きな音と熱風に俺は包まれた。


「うぁあぁあぁぁ!」


 何が起きたか分からなかったが大変な事が起きた事だけは分かった。

 俺は迷う事なく魔眼帯を外して周囲を確認した。


 そこには同じく魔眼帯を外したマルテルの姿があった。


 真っ赤にメラメラと染まる魔眼。

 マルテルが見る物、見る物が次々に燃えて行く。


炎眼(えんがん)か! くそっ」


「あぁあぁぁ」


 マルテルは正気を保てず暴走している。




 魔眼暴走(まがんぼうそう)だ。




 魔眼は一定の周期で成長するが、その際に暴走状態になる事がある。

 人によっては暴走がひどく厄介な事になる場合がある。


 魔眼修道院では魔眼を使いこなせる様にする為に魔眼帯を外して訓練する時間があるが暴走が起きた際に対応出来る様、少人数に多くの神父やシスターが揃えられる程だ。



「おい、マルテル落ち着けって」


 焦って呼びかける俺の声も、まるで耳に入ってない。

 しかし不用意に近づけば俺も燃やされかねない。


(やばい、種族スキル使うしかないか?)


 この世界には各種族に共通する種族スキルというものがある。

 主に身体能力を増すものが多い。

 ヒューマンならクイック、瞬発力を高める能力だ。

 サークル手前の子である俺は当然、多くのスキルが使える。

 だが身の上を隠しているため人前では、あまり使わない様にしているので迷っていると……


「何事ですか!」


 シスターフラマウが駆けつけた。

 驚いていたが、すぐさま水魔法で消火を始めた。


「お、俺も水掛けます!」


 慌てて俺も消火に加わろうとしたが……


「それより魔眼帯を着けなさい! すぐに誰か来ますよ!」


 シスターフラマウに言われて初めて気がついた。


 焦って魔眼帯を着けようとすると、ん?


 俺の目の前に吊るされた鍋から火が吹いた。

 その時マルテルは既にシスターに取り抑えられる最中で逆を向いていた。


(俺も、もしかして炎眼なのか? まさかね……)


 消火し終わる頃には多くの神父やシスター、修道士達が集まって大騒ぎになっていた。







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