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宝具

(どーして、こうなった?)


「やっと魔眼帯が外れたのに……」


「似合ってるよアーモン」


 そう言うラッカは半笑いだ。


「あらあら、可愛いですよ。子供の頃に飼っていた野兎の散歩を思い出します」


「ぷ、ぷふふふ」


「マルテルお前、笑ったろ! お前のせいで、こうなったんだぞコラ」


「ご、ゴメンよ。で、でもぷ、ぷふふ」


 最悪だった。

 ウロボロスは()に戻った事は戻った。

 戻った場所が問題だ。


「首が締まらなくて良かったじゃないですか」


 ちゃかさずに言うイドリーのせいで余計悲しくなる。




 ウロボロスは俺の首の周りで()に戻ってしまった。




(これじゃ首輪じゃん、はぁ)


 やっと魔眼帯を着けた生活とおさらば出来たかと思った矢先に首輪を着けた生活が始まってしまった。





「しかしカシューまで意識を失ったのは焦りました」


 イドリーはカシューナ皇女と呼ばずカシューと呼んでいる。

 きっと、この先の旅で身分を悟られない為に、そうしたのだろう。


「んぁ、ほうぐ」


「え?」


「んぁ、宝具なの」


 あのウロボロスにピンチの時カシューは何とかして俺を助けようと魔眼、過去視を発動したのだそうだ。

 そして見たのが前回あの場所で見た事の続きだったと……


「奴隷の人に武器を投げた人がいて?」


「サンドワームに勝ちそうになったから?」


「貴族っぽい人が銀色の宝具をウロボロスに授けて……」


 砂を撒き散らすわ、大きくなるわ、暴れるるわで闘技どころではなくなった。

 そのまま砂を撒き散らし続けて都市が埋まっていったと。


「その宝具がアーモンの首輪なわけ?」


「首輪って言うなよ! おい」






(まてまてまてカシューの過去視が発動したのに俺の金環は何してたんだ?)


「金環が発動しなかった?」


「僕らにも見えたはずって事?」


(いやいやマルテル、お前は暴走してたから、どの道、見えねぇだろ)


 でも確かに、そうだ。

 ポイティンガーと来た時みたいに皆で過去視を共有しなかったのはおかしい。


「それを言うならマルテルを押さえてた時にも発動してないんじゃない?」 


「確かに……夢中で気がつきませんでしたが燃えませんでしたね」


 ラッカとイドリーの言う通りだ。

 マルテルを押さえてた時には俺も魔眼帯は着けてなかったのだ。

 金環が発動していればマルテルを押さえながらマルテルを燃やしていたはず……


「あらあら、無意識にコントロールしてたのでしょうか?」


「そうなのか……」


 どちらにせよ、コントロール出来るようにならなきゃいけない。

 いざという時に危なすぎる。


「ラッカ魔力視発動してくれ、モノにしたい」


「何か格好いいわねアーモン……首輪じゃなければククッ」



(くそ、覚えてろよ)





 そんなこんなで旧都から脱出した俺達は南西へ歩を進めている。

 砂漠の中を少しづつ……

 別大陸へ渡る為、港湾都市ラパを目指して。






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