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天井絵

「この先に聖堂のようなドーム状の広間があって、そこに問題のヤツがいるはずです」


「ツイストサンドワームでしたか?」


「あらあら、そんな大きさで2匹が絡まってるなんて聞いた事ないですね」


 イドリーとメルカも聞いた事がないという巨大な魔物ツイストサンドワーム。

 まあ、ツイストってのはポイティンガーが勝手に付けた名前だけど……

 以前見た時みたいに寝ていれば、そのまま通り抜ける。

 ダメなら戦うしかないが準備は万端だ。


「カシューとメルカは入らず待って貰うとして」


「マルテルの炎眼と俺の金環で焼き殺すから」


「わたくしがマルテルの暴走を羽交い締めにして押さえると」


「私もアーモンの金環の影響で炎眼になるのよね」


 この作戦だとイドリーも炎眼になってマルテルが黒こげになる。

 そこでイドリーが魔眼帯を着ける事になった。






 前回は魔眼帯を着けていたから見えなかったが高いドーム状の天井には、やはり天井絵が描かれていた。

 消えかかっているが天使のような翼を持つドラゴン、ホーリードラゴンが空を舞う絵だろう。


「というか……居ませんね」


「留守だね」


 ツイストサンドワームは居なかった。

 あんなデカい魔物どこにいくと言うのだろうか?


「おーいメルカ、カシューいいよー」


「あらあら、もう倒したんですね」


(んな訳ないでしょ)


 第一聖堂に似た広間の中央に集まってドーム状の天井を見上げていた。

 きっと豪華だったのであろう天井絵や壁の装飾跡を眺めては凄いね、栄えてたんだねと口々に感嘆の言葉が出る。


(もう修道院の聖堂で祈る事もないんだな、少し寂しいな)


 そんな気持ちに(ひた)っていた……

 その時!

 足下の砂が動き出した。


 ズッズズズ


 ザッザザザー


「や、ヤバいかも!」


「で、出口へ!」


 移動しようとした時には出口側を塞ぐように砂が盛り上がって来た。

 砂が湧き上がるように盛り上がって行く、湧いては上がる湧いては上がる。


「入口へ!」


 入口側も同じ状態だった。

 とは言え流れる足下の砂に埋もれないようにするのが精一杯だ。

 仮に入口側が問題なくても動けはしなかっただろう。


「で、デカい!」


 砂が流れ落ちきると、天井絵へ届かんばかりのサンドワームが現れた。

 鎌首を持ち上げるように向かい合う2匹のサンドワームに挟まれてしまっていた。


「逃げろ」


「無理よ!」


 砂の雨が吹き荒れた。

 まるで大砂嵐の中にいるみたいだ。


「サンドワームが砂を吹き上げて……」


 ドーン!


 それぞれのサンドワームが砂を撒き散らしながら、それぞれ逆の方向へ倒れ込んだ。

 と、同時にドリルのごとく回転を始め、さらに円を描くように周りを進み始めた。


「これじゃ出られない」


「うぷっ、このままじゃ砂に埋まるかも」


 中央に集まった皆を囲むように廻るサンドワームが少しづつ、その円を(ぜば)めてゆく。


「狭くなってない? これ」


「やろう! やらなきゃ埋められる」


「あらあら、そうね、このままじゃ埋まりますね」






 予定と少し違うけどマルテルの炎眼で焼き尽くす。

 カシューはメルカの後ろで範囲防御魔法の中、イドリーは魔眼帯を着けてマルテルの後ろ。

 その間に俺とラッカが、それぞれ外へ向いた。


「外しますよマルテル」


「はい!」


 ヴワァフ!


 メラメラと染まるマルテルの炎眼。

 俺の金環も発動と同時に金色に輝くと、すぐさま炎眼と同じ色へと変化した。

 みんなの目も同じくメラメラと染まってゆく。



 マルテルは魔眼暴走しなかった。



 俺、マルテル、メルカ、ラッカの順で背中合わせに外向きで炎眼を発動した。

 勝手に廻ってくれるサンドワームは真っ直ぐ見つめてるだけで焼けていく。

 サンドワームは苦しむ様子もなく、どんどん焼け焦げて動きが遅くなって来た。


「もう少しぃ」


 相当な年月を生きて来ただろう魔物の命が尽きてゆく。

 焼けて細くなっていくサンドワーム……黒く焦げて細く……


「何か光ってる?」


 銀色に光る部分が見え始めていた。

 マルテルの炎眼は、とても強力だった。

 すっかり焼けてしまったところで炎眼を閉じた。


(もしかしてマルテルって俺より魔眼を使いこなしてる?)


 黒く焦げた(すす)が落ちて現れたのは……


「これって……」


「マジか……」



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