表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔眼の子 〜金環のアーモン〜  作者: きょうけんたま
砂漠の魔眼修道院編
32/206

大砂嵐の中へ

 フラマウの目の前で剣が振り下ろされる。

 もうダメだ……

 そう思った、その時!


 真っ二つにされたのは……剣

 そう、折られたのは……砂の剣


 振り下ろされた鎌型の剣ケペシュに、よって敵兵の剣は砕かれた。


「投降しろ」


「あ、あぁ、分かった。殺さないでくれ」


 そう言って砂の鎧サンドアーマーの敵兵は(ひざまず)いて手を挙げた。


「衛僧長?」


「そうだ。大丈夫か? 血が出過ぎてんじゃねぇか」


「んぁ、フラマウ」


 ポイティンガーの、その肩にはカシューが担がれていた。


「カシューナ……カシュー大丈夫ですか?」


「んぁ、大丈夫それよりフラマウ血……」


「敵は? 敵はどうしたのですか?」


「あぁ今のと同じだ、投降したんでな、衛僧らが拘束してらぁ」


 そう話している間に衛僧が2人駆けつけて拘束が済んだ事を報告した。


「こいつも拘束しとけ、それと回復魔法使えねぇか?」


 衛僧へポイティンガーが聞くが……


「すいません……」


「しゃぁねえな、あんま得意じゃねぇんだが」


 そう言うとポイティンガーは慣れない回復魔法でフラマウの背中の傷を癒やしにかかった。


「あ、ありがとうございます」


 回復までは出来ず血が止まる程度の効果であった。

 それでも少しずつ意識がしっかりし始めると……




「メルカが! この先でメルカが戦っています。お願い! 助けに行って下さい」


 自分が回復されるより先にメルカの救出を要請すべきだった。

 朦朧(もうろう)としてたとは言え、何をしてるんだとフラマウは自分を責めた。


「あぁ、それなら、もう心配ねぇみてぇだな」


「この地に宿りし神々よ弱りし子は(なんじ)の子なり抱き癒やしたまえヒーリング」


「メルカ……」


 修道院内で、ここまでの丁寧な詠唱をするメルカの治癒魔法を見る事は中々ない。

 それだけフラマウの傷が酷かった事が(うかが)える。


「カシューちゃん大丈夫?」  


「ポイティンガー?」


「はぁはぁ、どうなってんの?」


 ラッカ、アーモン、マルテルそれぞれが駆けつけるが全体の状況が掴めている者は誰もいない。


「状況の確認をしつつ移動していただきたい、用意してる事があります」


 イドリーの言葉に


(また移動しながらかよ)


 そう思いつつも移動を開始する面々であった。

 そこにエラトスの姿はない……






 カシューを、さらって逃げていた敵兵2人はポイティンガーが無力化し拘束した。


 メルカと戦っていた敵兵は駆け付けたイドリー達が倒した。

 ちなみにメルカは兎型獣人の特性を活かして飛び跳ね逃げ回って時間を稼いでいたらしい。


 イドリー達が向き合っていた敵兵、エラトスが全滅させんとしていた敵兵との攻防は……

 修道院長ベアトゥスの登場により収束した。

 その際にベアトゥスと揉めたエラトスは先に進めなくなってしまった。





 そこまで話したところで逆の回廊から廻って来たウルゲと数人の敵に見つかってしまった。


「くそがぁ、取り戻されてるじゃねぇかぁ」


 そう叫ぶと先程の弱い風魔法ではない強力な風魔法を放って来た。


「外へ出ます! 向かいの建屋へ行きます皆さん離れず掴まって! アーモン、ラッカさっき、お願いした手はずで頼みます」


 そう言うとイドリーは真横の壁を魔法でぶち抜いた。


 一気に吹き込む砂の風


 猛烈な風の音と打ち付ける砂に一瞬引き返したくなるが進むしかない。


 すでに魔眼帯を着け直していたアーモンが先導する形で皆、掴まりながら移動する。


「忌々しいぃ! 風の膜ウインドベール」


 ウルゲは用意なく突然の砂嵐に吹かれ手間取ったものの風魔法で周りに障壁を展開する。


「走れ雷ライトニング」


 後方から遅れて追ってくるウルゲ達をラッカが魔法で迎撃する。


 飛ばされそうになるカシューをポイティンガーが、しっかり掴んでいる。


 イドリー、メルカの範囲防御魔法の効果も相まって何とか隣の建屋へたどり着く事が出来た。


「準備は出来ていますか?」


「はい出来ております」


 そこには2名の小人族コロポックと1名の獣人2名のヒューマンが居た。


「行って下さい」


 入れ替わるように彼らは砂嵐の中へ出て行ってしまった。














評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ