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魔眼の子 〜金環のアーモン〜  作者: きょうけんたま
砂漠の魔眼修道院編
31/206

異国の発動式

「追いなさいフラマウ」


「殺すはずは、ありませんメルカ」


 そうだ殺すはずは、ない。

 利用価値があるから、さらうんだ。


 そう思って走り出したがフラマウもメルカも一歩出遅れた。

 すでに敵は角を曲がり姿が見えない。

 その先は二股に分かれており自分達も二手に別れるしかないだろう。

 それで1人で追いついて奪い返せるだろうか?


 2人共そう考えて角を曲がった。


 やはり敵は見えない。

 しかし……





「マルテル!」


 マルテルは何も考えず走り出していた。

 カシューが捕まった、その瞬間から。


 何が出来るか?

 自分が行って助けられるか?


 そんな事は走り出した後から考え始めた。

 いや、何も出来はしない事は分かってる。

 体が勝手に動いただけだった。


「こっち、こっちですシスター」


 息切れ切れで、わずかに見えるカシューを指差した。


「ありがとうマルテル」


 メルカは泣きそうだった。


 毎日そばで見て来たマルテル、カシュー。

 ただの、お気に入りなだけの2人と思っていた。


 アーモンを見守りながらの生活の楽しみとしてノンビリした2人を眺めるのが好きだった。

 そのはずが、2人共、騒動の真ん中にいる。

 そして自分が思っていた以上に成長していたマルテル。


(守らなきゃ!)






「炎の槍ファイヤランス」


 フラマウは5人の敵兵の内、1人を無力化した。

 残り4人の内の1人が向きを変え、こちらに対峙して残る。


「私が、やります。行って!」


 メルカの言葉に……


「わかった。死ぬな!」


 メルカは死ぬかも知れない。

 フラマウは、そう思った。

 メルカは治癒魔法士だ、どの程度の戦闘能力が、あるのか分からないが厳しいだろう。

 それでも最優先はカシューの、カシューナ皇女の救出だ。



(もう1人無力化を……)


「炎の槍ファイヤランス」


 敵の1人が盾を犠牲にしつつ残る。

 続けざまに……


「地の(ことわり)を読むロックレイン」


 大量の岩が降り注ぐ。


 即座に得意でない防御魔法で凌ぐも、そこそこのダメージを喰らった。


(異国の発動式! まずい、2人ほど先に行ってしまう)


「どけぇ!」


 炎の連弾を撃ちまくり置き去りにしようとフラマウは壁を蹴るが……


「行かせるかぁ!」


 砂の鎧サンドアーマーの敵兵も引かない。

 攻撃などではない。

 力任せの体当たりだ。


(まずい、まずい、進めない!)


 魔法は負けてない。

 相手は完全武装の男性。


 やり合うのが、精一杯だ。


(これじゃ逃げられる、まずい! まずい!)


 炎と岩の魔法攻防は、どんどん激しさを増す。


 煙と土煙で奪われる視界。


(今なら敵にも見えていない……イチかバチか行くしかない)


 相手を抜き去るべく走る。


(抜けた!)


 そう思った瞬間……


 背中にかけて走る激痛。


「くっ」


 斬られていた。

 致命傷では、なかったが相当のダメージだ。

 吹き出す血に意識が遠退きそうになる。

 反射的に張った防御魔法に敵の追撃、岩の魔法攻撃がぶつかる音を聞いた。


(攻撃魔法を撃たなければ)


 倒れそうになる体を何とか踏みとどまって前を見たその目に映ったのは

 大きく振り上げられた剣だった!
























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