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魔眼の子 〜金環のアーモン〜  作者: きょうけんたま
砂漠の魔眼修道院編
30/206

見える優勢と見せない優勢

 見える(つや)のない薄緑の矢。

 敵の攻撃を受けた後に風魔法の矢を避ける。

 飛んで来る矢と自分の間に敵を挟むように位置取りする。

 矢の方向に敵の剣を、はじく。

 避けようのなかった魔法を避けれる。

 その事実は大きかった。


「これは良い」


「それでも使うべきじゃなかった!」


 イドリーは魔力視の恩恵で出来た余裕から攻撃に魔法を織り交ぜ始めた。

 憤慨(ふんがい)するエラトスは見た者すべてを始末しようと種族スキルを使う。



 砂の鎧サンドアーマーの敵にしても効果を発した。

 魔力の揺らぎや動きが見える事で相手の状態が読みとれるのだ。

 ダメージを負った者は魔力に迷いのような揺らぎが見えた。

 少しでも回復したい。

 致命傷を避けて防御したい。

 そう言う気持ちが攻撃に集中させないのだろう。






(何だ、ありゃ?)


 ウルゲは混乱していた。

 風魔法が避けられ始めた事もそうだが……


「魔眼かぁ!」


 いや魔眼な事は、この際どうでもよい。


(あの小僧の目に光る輪は何だぁ?)


 普段は予想外の出来事にも冷静に対処する男。

 常に先を読み状況を(かんが)みて即座に次の手を打てる男。

 それがウルゲだが……


(金眼と関係が、あるのかぁ? 聞いてねえぞぉ)


 只でさえ大きな任務の中、別の大きな発見が起きた。

 どんどん劣勢になる状況に指示も出さずに考えを巡らせていた。







(スキルに魔力を使っているのか?)


 アーモンはエラトスのスキルを使った戦闘を見ていた。

 自身も敵との攻防をしながらなので途切れ途切れではあるが……


 一旦速度を高めては一呼吸置く。


(やはり自分のように発動しっぱなしは出来ないのだろう)


 それでもスキル自体のレベルは負けている。

 目で追う事も難しいレベルの速度。

 ヒューマンの種族スキル、クイックだ。


(魔力を使えば自分でもスキルのレベルが上げれるのだろうか?)







 アーモンの金環。

 ラッカの魔力視。

 エラトスの種族スキル連続使用。


 劣勢だった状況は今や優勢だ。

 このまま続ければ敵の司令官にも詰め寄れるだろう。

 そう思った、その時!





「んぁ」


 背後から忍び寄った敵の別働隊(べつどうたい)にカシューが捕まった。

 前の敵との交戦に気を取られていて気付くのが遅れた。


「しまった!」


「炎の弾ファイヤ……」


 カシューの首元に剣を当てられてフラマウは魔法の発動を止めた。




「クッハ、そのまま連れて行けぇ」


 金環という予想外の登場に一時混乱したウルゲだったが、先に打っておいた手が機能し狙い通りの展開に戻った事で笑いが止まらない。


「お前たちは、このまま、こいつらの相手をしてろぉ」


(ばぁか、目の前の相手の事しか考えないから、そうなるんだよぉ)


 ウルゲは別働隊と合流するため移動を開始する。

 風魔法で大砂嵐の中、対象を連れて逃げる為に。

 カシューを!

 皇国バビロニーチ第一皇女カシューナ・バビロニーチを連れ去る為に。










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