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魔眼の子 〜金環のアーモン〜  作者: きょうけんたま
砂漠の魔眼修道院編
28/206

魔法はセンス

 第四聖堂と宿舎を結ぶ回廊で両者は出くわし交戦していた。


「下がって!」


 剣で応戦するエラトスと短槍で応戦するイドリー共にフラマウの一声で後方へ下がる。

 その速度は一瞬だ。


「炎の弾ファイヤボール」


 ウルゲの配下は砂から錬成した盾で魔法攻撃を(しの)ぎきる。

 その直後には後方から別の兵が飛び出て来る。


 キンッ!


 エラトスとイドリーが前に出つつ応戦をする。


 共に統制のとれた戦い慣れた動きだ、しかし……


「数が、違い過ぎますね」


 メルカはカシュー、マルテル、ラッカ、アーモンを防御魔法で守りつつ冷静に分析する。

 普段の天然ぶりが嘘のように……






 その時エラトスとイドリーの隙を突いて敵兵が1人こちらへ接近した。


「出ます」


 ヒューマンの種族スキル、クイック。

 獣人の種族スキル、レイジを発動しつつ飛び出たアーモン。


「えっ? え、え、アーモン君?」


 驚くメルカを置き去りに前へ出たアーモンは短剣で応戦する。

 宿舎でエラトスとフラマウの攻防に硬直した自分。

 その不甲斐なさを(ぬぐ)い去るかのごとく気迫を込めて。


 ブンッ!


 大きく振りかまして来た敵の攻撃を短剣で受けつつ反らすと回転しながらレイジで強化した(ひじ)打ちを喰らわす。


 敵も態勢を崩しながら盾を武器のように殴りつけてくるが腰を落とし、かわすと回り込んで蹴りを見舞う。


 クイックで相手の速度を上回っているからこその芸当だ。


「やるじゃ、ないですか! アーモン」


「……」


 アーモンはエラトスの言葉にも複雑な気持ちから何も返せないでいた。


「撃ちます。下がって」


 先程の連携を見ていたのでエラトス、イドリーに遅れる事なくアーモンも下がる。


「炎の弾ファイヤボール」


「走れ雷ライトニング」


 フラマウの火魔法に合わせて防御魔法の外へ出たラッカも雷撃魔法を放つ。


(これなら、いける)




 そう思った、その時。


「風の矢ウインドアロー」


 遅れて到着した敵の指揮官ウルゲの風魔法が放たれた。


 敵味方関係なく放たれた無数の風の矢。

 威力を弱めてあるのか敵の砂から錬成された鎧サンドアーマーには当たっても、さほどダメージはないようだった。


 だが僧服しか着ていないアーモンやエラトス、商人装束のイドリーにとっては斬れ味鋭い痛い攻撃だ。


「つぅ!」


「癒しの雨ヒールレイン」


 1人相手にしながら魔法攻撃も受ける。

 メルカの範囲系治癒魔法で回復するものの徐々にダメージを蓄積していた。


「風魔法は目に見えづらいのが厄介なんです」


 メルカは魔法で援護しつつラッカに話す。


「この狭さでは、こちらの魔法は味方に当たる恐れもある」


 相手と同じように魔法攻撃を重ねられないことが悔しそうなフラマウが唇を噛む。





 司令官のウルゲはニヤリと笑っていた。


(ばぁか、魔法はセンスなんだよぉ。大半の奴は威力ばっかり意識してっから、こう言う時に役に立たねぇんだよぉ)


 ウルゲの風魔法は巧妙さが取り柄だった。

 獣人の血が入れば戦い方はパワー型になりがちだがウルゲは、それに頼らなかった。


 そもそも何代も前の事で、さほど効力がなかったせいもあるが……


 力も魔力も飛び抜けていない男がナゼ人を率いて潜入まで任されるのか?


「魔法も人も使い方なんだよぉ」


 数人の部下を呼ぶと……


「別の道から反対側へ行けぇ、挟み撃ちにするんだぁ」


「はっ、了解しました」


「よし、お前達は次、前に出る時には……」


 的確かつ巧妙な指示によりジワリジワリとアモーンたちは削られていく。







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