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魔眼の子 〜金環のアーモン〜  作者: きょうけんたま
砂漠の魔眼修道院編
27/206

継目のない鎖

「まだ見つからねーのかぁ?」


 部下の報告に指揮官のウルゲはイライラしていた。

 大商隊を装っていた武装集団の指揮官である。


 見た目は、ほぼヒューマンのシャッフル。


 何代か前に狐系獣人の血が入っているせいか少し長めの鼻と口を触りながら()せこけた頬をヒクヒクさせている。


「魔眼修道士達の宿舎には対象の姿は確認出来ませんでした」


「これだけ上手く進んでんのに気づかれたか? やっぱ手助けする奴がいるかぁ?」


「しかし外は大砂嵐です逃げ様がありません。見つかるのは時間の問題かと?」


「時間が掛かるとマズイんだよぉ、分かってるだろうがぁ」


「はっ、分かっております」


「対象を助けている奴らは殺して構わん! しかし、それ以外の者は殺すなぁ絶対にだぁ」







 賊から身を隠しつつ移動するポイティンガー。


 身を隠す場所など目を閉じていても把握出来る。


 ポイティンガーにとって修道院の内部など隅から隅まで知り尽くした庭みたいなものだ。


 チンッ


 鎌型の剣ケペシュで鎖を断ち切る。


「も、申し訳ありません。衛僧長」


「バカ、でけぇ声出すんじゃねぇ」


(()()()()()()で拘束……なるほど武装も、その方法か……)


 実は窟僧の振りをしつつ旧都の入り口を守っているポイティンガーだが本来は衛僧の長であった。


 衛僧は小声で告げる。


「衛僧長、抵抗には役立ちませんでしたが私の魔眼は血眼(けつがん)です」


「血の系譜(けいふ)か?」


「はい。賊の司令官はヒューマンですが獣人の血が混じっていました」


「ほう」


「拘束を担当していた者達はドワーフとエルフのハーフ、もしくはクォーターです」


「なるほどな」


 見つからずに解放出来た数名の部下を連れて修道院長であるベアトゥスの部屋まで来たポイティンガー達。


 ドアがあるはずの場所は、土壁の様に塗り固められていた。


「間違いねぇ、錬成士だ」


(短時間で、ここまで出来るのか)


 とある地域に錬成士の多い地域がある。

 そこがドワーフとエルフの密集地域で特殊な技術を発展させている事をポイティンガーは知っていた。


「お前達は、コレを何とかしてベアトゥスの爺さんを出してやれ」


 小声で、それだけ言うとポイティンガーは、また移動し始めた。







 指揮官ウルゲの元には、また別の部下が報告に来ていた。


「予定通り修道院長室は(ふさ)ぎました。しばらくは出て来れはしません」


「よし、それでも油断は出来ねぇ急げぇ」


(流石は一流錬成士達だぁ3日あったとはいえ、これだけの人数分の装備を砂から錬成しちまうんだから大したもんだぁ)


 感心したウルゲは少し長めの鼻と口を触るのであった。



 ラマー二修道院の入壁(にゅうへき)検査は厳しい。


 武器は、おろか怪しい物は全て入り口で一旦没収され出壁(しゅっぺき)の際に返される。


 今回彼らが大商隊を装い大砂嵐直前に入壁したのには訳があった。


 持ち込めない武器を砂で錬成する為に大砂嵐の時を選んだのだ。


 3日間、外部作業を手伝ったのは修道院側の油断を誘う意味もあったが砂を集める必要が、あったからだ。


 なにより少なくない人数分の武器を一定レベルの精度と強度で錬成するには一流錬成士といえども時間も必要だった。




「報告! 対象を発見、第四聖堂付近で交戦中です」










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