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魔眼の子 〜金環のアーモン〜  作者: きょうけんたま
砂漠の魔眼修道院編
26/206

金眼

 何も出来なかった……


 旧都で経験を積んで、そこそこ強くなっている気でいた。


 エラトスさんの剣が見えた時にクイックで距離をとったまでは良かった……


 その後からは対応出来なかった。

 シスターフラマウの炎魔法にも、エラトスとフラマウの攻防も目で追うのがやっとだった。


 突然だった事もあるが……硬直して動けなかった。

 それが現実だった。


 ラッカが魔法で応戦したと聞いた事で自分の無力さを更に思い知ってしまった。





「何が起きてるんでしょうか?」


「大商隊が武装して衛僧や神父、シスター達を拘束して廻っています」


「詳しくは話せませんがアーモンかカシューのどちらかが目的と思われます」


 ラッカの質問にエラトスとイドリーが、それぞれ答える。


(俺が狙われるのは分かる。金環が原因だろう……カシューは何で狙われるんだ?)


 考えを、まとめようとして色々、思いを巡らせていると後ろの方から声がした。


「カシューちゃんが狙われるのは旧都で見たって言ってた金色の目が原因なんじゃないかな?」


 マルテルが言う……ん? マルテル?


「何でいるの? マルテル」


「いつから付いて来てた? マルテル」


 驚いてラッカと俺が聞くと。


「男子宿舎からだよ。びっくりして隠れてたけど連れて行かれるアーモンが心配で付いて来たんだ」


 いつもの調子でマルテルが答える。


 フラマウを追って走っていた為に誰も気がつかなかった様だ。





 マルテルの話を聞いてカシューの詳しい事情を知らないアーモン担当のエラトスとメルカの顔色が変わる。


「まさか金眼とは……これは大変な事ですね……」


 カシュー担当のイドリーとフラマウが立ち止まり、振り返る。


 殺気……


 一瞬にしてピリッとした空気に変わった。


 このまま、ここで殺し合いが始まってしまうのか?


「事情を知った者は始末ですか? 気持ちは分かりますが、今は、その時では無いのでは?」


 冷静に諭すエラトスの言葉にイドリーとフラマウは顔を見合わせて(うなづ)くと。


「確かにそうですね今は運命共同体です。ただ他言無用に願います」


 そう言って、また歩き始めた。





 旧都で見たカシューの瞳……金色の輝く瞳……金眼。


 そうだ皇族の特徴だ。


 あの時、何か大切な事を忘れている気がしてたのはコレだったのだ。


(とすると、ここを切り抜けてもイドリーさんとシスターフラマウは後で俺達を始末する可能性が高いのか? 日頃から良くしてくれていたシスターフラマウが自分を殺す?)


 思いがけない事態の連続に俺はグルグルと考えを巡らせていた。





「やっぱりカシューちゃん皇族だったんだね。僕仲良くなれて嬉しいよ」


「んぁ、カシューも友達……嬉し」


 まったく空気の読めないマルテルにフラマウが言う。


「マルテル次に皇族という言葉を使ったら許しません」


「ひっ!」


 シスターとしての叱責とは違う鋭い口調に、さすがの空気読めないドワーフのマルテルもそれ以降は黙って歩いた。







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