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夫婦的連携

 太い枝や細い枝、もう何十年も前から時間を掛けて張り巡らされたかのように旧都の中を、びっしりと世界樹のものと思われる枝葉が茂っていた。


「誰もいないなんて変だわ」


 旧都の存在が隠しようないモノとなってからは、かつて厳重な守りで知られた魔眼修道院も開かれた修道院として多くの人か訪れる場となっている事は修道院を離れた後にもフラマウの耳へ入って来ていた。

 その開かれた修道院となった核である旧都の入口に、これだけの異変が起きているのに衛僧はおろか商人や修道士の1人もいないのは、ありえない状況だった。


「痛ぇっ! おいおいヘーゼルたん、面倒だからって、おいらを投げるの止めてくれる?」


「うるさい、急いでるのよ」


 闇の爪ダークネスネイルで枝葉を払っていたヘーゼルも埒が明かないと見るやべハイムをぶつけて枝葉を払い始めていた。

 スカルフェイスツノシャチを攻撃したのと同じ方法だが、実際は無茶苦茶な方法である。


「フラマウ、こっちはどうなってる? 向こうはダメだ、みんな石化されている」


「石化って、どうして、そんな……」


「あらあら、入れないわね」


 世界樹の枝葉に手間取っている間にイドリー達も旧都への入口へ辿り着いて来た。


「仕方ない……少し焼き払うわ、離れて」


 そう言うとフラマウは詠唱を始め、その横で一拍置いてエラトスも詠唱を始めた。


「……フレイムバースト」


 ヴァアフゥ!


 爆発系火炎魔法により太い枝を吹き飛ばしつつ見える範囲の枝葉を焼き払った。


「あらあら、凄いわ」


「でも、鎮火するまで、しばらく待つしかなさそうですね」


 驚くメルカと少し落胆するイドリーの横からエラトスが歩み出た。


「……アイスストーム」


 流動系氷結魔法で、みるみる鎮火させたのだ。


「おっと、良い連携じゃねぇか! 助かったぜぃ、もしかして、あんたら夫婦か?」


「違うわよ!」


「違うって!」


 揃って否定するフラマウとエラトスの顔が赤いのはフレイムバーストのせいなのだろうか?


「何にしても助かったわ、行くわよべハイム」


「良いのよ、この樹って光属性……それも聖の感じよね、それだと闇のあなたは苦手属性でしょ? ここは助け合いましょ」


「ふん、アーモンの仲間なら仕方ないわ」


 そんな、やり取りをしつつもエラトス以外の全員は地下の旧都へ続く道を降り始めたのだった。


「おいおい、あの、あんちゃんは着いて来ねぇのか? なぁ夫婦の姉ちゃんよぉ」


 すでにべハイムを無視し始めたフラマウの性格を見て気が合うかもとヘーゼルが思っていたのは内緒の話である。

 仕方なくべハイムの疑問に答えたのはメルカだった。


「あらあら、エラトス様は魔力量が少ないので、大きめの魔法を使うとしばらく動けないんですよ」


「はぁ、そういうところよエラトス」


「うるせー、詠唱始めた時点で俺の魔法も折り込み済みだったのはフラマウの方だろうがよ!」


 エラトスの憎まれ口が虚しく響く、つづら折りの道を下っていく。

 その先で一行が見る光景は息を呑むモノだった。


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