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循環

「くくくっ、何か言いたそうだな」


「馬王さん、あなたは少し把握してるんでしょ?」


「くくくっ、その環眼には、お見通しか?」


「からかわないで」


「正確には把握はしていない。膨大な流れの川が毎日同じに見えても、それは、別の水が流れているのと同じ事だ」


「言いたい事は、何となく分かるわ。それは良いから見させもらうわ」


「くくくっ、断りなどせずとも見れば良いものを、まあ良い好きなだけ見るが良い」


 ラッカは身につけたばかりのチカラ、魔眼『魔環』を発動した。

 瞳のブライトイエローリングが輝くと、そこには予想通りの光景が広がった。


 元々のラッカの魔眼『魔力視』は人の魔力が主に見えるチカラであったが『魔環』は魔素そのものをも捉える様なチカラである。


「……循環? ううん、浄化している?」


 今ラッカの魔眼に見えている光景は色とりどりの魔素が流れる様。

 空に地面に空中に、あらゆる場所で様々な魔素が時に速く時に遅く流れている。

 そして流れず溜まった魔素は淀みとなるが魔湖や馬王を介して浄化されているように見えたのだが……


「くくくっ、よもや人が、そこまでを見る世界が訪れようとはな、だが少し違う……」


 浄化は結果であり進んで行っている事象ではないのだと馬王は言う。

 それこそ山に降り注いだ雨が地中で綺麗になり湧水となって川に注ぐのと同じなのだと……


「それで、その地中的な場所、つまり魔湖で他の世界の馬王と繋がっているのね? ううん馬王ではないわ、魔湖そのものと言うか、この青と碧」


「くくくっ、馬王は、この世界だけの姿。無数にある多くの世界では姿すら形成していないが大きく別けて12の姿と1つの理想体だ」


「何の為なの?」


「何の為でもない、雨と同じだ。しいて言うならば濁らせぬ為に産まれたのだろう。ザクセンを守るのも、それ故だ」


 魔湖の中で遭遇する別世界すべてに別の姿として馬王は存在している。言い換えれば魔湖、つまり青と碧のエネルギーは存在している。



 馬王と魔湖は……



「そう同体なのじゃ」


「イーズ!」


「くくくっ、思い出したか? ソイビーよ」


「イーズは知ってたの?」


「聞いていて思い出したのじゃ、こやつ自分の下のモノを妾に任せる為に一旦、説明した癖に忘れさせておったようじゃ」


「くくくっ、どうせ興味なかろう?」


「まあ、そうなのじゃ」


 本来、この世界の事象に介入するべき存在でない馬王、つまり魔湖がスカルフェイスダークを何とかしようとしている事自体が、この世界にも別世界にも良い事ではないらしく、ここ最近のスカルフェイス出現の原因かも知れぬのだとの話だった。


「じゃあ、スカルフェイスを何とかしようとして逆にスカルフェイスの出現を促進させているって事?」


「そうなるのじゃ」


「くくくっ、ナゼこんな事をしておるのか? 我ながら不思議でな……」


 世界の理によるチカラ


『環眼』


 ラッカが見たのも理の1つ魔法や魔力の元となる魔素の仕組み。

 空気のように世界に充満した特別なモノ。

 ただ、それだけが見えるのならば良かったのだが……

 そのチカラ、そのエネルギーそのものとも言えるモノが……どう動き、どう汚れ、どう浄化されるのかに気付いてしまった。


 そして本来ならスカルフェイスダークが殺戮の限りを尽くしたであろう、この集落、この国、この世界は、そのチカラそのものの気まぐれで危うくも繋ぎ止められている事を知ってしまった。


「わかったわ馬王、あなたが守ってくれた世界。今度は私達自身で何とかするわ」


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