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別々の把握

 小箱 サークルが幻想だと把握。

 鳥籠 皇族の末裔でない事を把握。

 鎖  全種族スキル使えない事を把握。



 組織それぞれが別々の秘密を把握した上で、お互いに隠していた。


『テーベの小箱』では手違いから全種混血を誕生させた過去があった。

 しかし金眼どころか全種族スキルも使えぬ普通のミックスだった事から疑問を持ち調査を開始した。


『テーベの鳥籠』はテーベの棺時代に始末しようとした全種混血手前の人から秘密を聞いてしまい調査を始め、やがて鳥籠へと組織変更したタイミングから金眼の一族の調査へと移行していった。


『テーベの鎖』は皇族の守護という性格上、早くから全種族スキルが使えない事を把握していた可能性が高いばかりか、そもそもの末裔でっちあげ画策の張本人ではないかとの見立てである。


「なるほど、流れは把握しました。では何故、アーモンはモヘンジョの首が撥ねられるのを見たと?」


「えーっと、イドリー、このアルパカさんは誰?」


「はぁ、マテオと言ってポーターなんですが……それと」


「リャマです」


 マテオに初めて会うフラマウにも違和感を感じさせるとは流石マテオである。


「あらあら、マテオそれはね、幻眼だと思うの」


「あのコロポックだぜ!」


 あの場に幻眼のサガラッソスが居たのかどうかは把握出来てない。

 しかしイドリー達の話が本当なら充分にあり得る推論だろう。


「それに鎖には魔眼持ちも多いので実際に皇帝を魔眼で強化する事も可能とは思われるのだよ」


「そうね、そうやって国民を欺き続けて来たのが鎖よ」


「あらあら、それも国を纒める為だけなら良かったのだけど何か良からぬ事を企んでるみたいなの」


 つまり実際にシュメーがモヘンジョを葬る事も出来たが、あの場面ではサガラッソスの幻眼で擬似的にモヘンジョを葬る映像を俺は見せられたのだと……

 イドリー達は、そう言っているのだ。

 鎖の企みが何なのかなんて俺には、正直どうでもいい。


「だ、だったらカシューは今も苦しんでるんじゃないか!」


 もう止まれない。

 そこまで分かってて小箱も鳥籠も何でカシューを助けないんだ。

 そんな事は言っても仕方ない、いや騙された自分から目を背けたいが故の思考に陥りかけているのだ。

 それが分かっていても……


「アーモン、冷静になるんだ!」


「うるさい! あんたらは何もしてないじゃないか、行くぞイーズ」


「分かったのじゃ」


 つい口から汚い言葉が出てしまった。


 細かい説明などしなくてもイーズは理解してくれた。

 馬王の間で見る見るうちにホーリードラゴンへと変化した。

 馬王は黙って見ているだけだ。

 いつもの様に面白がるでもなく、かと言って閃馬のように荒ぶるでもなく、無表情に近い読めない表情で、ただ見ているだけだった。


「ちょっと、イーズもアーモンも待って!」


 ラッカが焦るのは何となく分かった。

 またしても連れて行ってやれない事は歯痒いが仕方ない。


「待ちなさいアーモン! 今、行って何が出来ると言うの」


 かつてシスターだったフラマウの言葉も耳には入らない。


「待ってろカシュー」




 その時だった。




 イーズの上に乗り込んでいた俺を何かが猛烈な勢いで連れ去った。


「うおっ、コマちゃん?」


 そう黒湯気の狛犬コマちゃんだった。

 すぐ後ろにはシーちゃんも着いて来ている。

 みんなが大声で呼んでいるのも、かき消す程の速度。

 ものすごいスピードで馬王の間から飛び出して行っているのは分かったが何かしようとした時には……




 もう魔湖の中だった。


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