カシュー
(どうして、こうなった?)
んぐっ!
「んぁ、すいません……」
マルテルと一緒にいる事が多いのが悪かったのか……
ある日、マルテルのマントと俺のマントを間違えて掴んだカシュー。
プラチナ髪のヒューマン、もしかしたらシャッフルかな? の小さな魔眼修道士は、それから俺の後を着いて歩く様になっていた。
そして、当然すぐ転けて俺はマントで首を絞められていた……
「マルテル抜きで、その娘だけを連れて行く流れに持って行くなんて、やり手ねアーモン」
ラッカは機嫌が悪い。
僧窟までの道中ずっと嫌味を言っている……
「今日もサボテンスイーツ食べれるかな?」
「……」
無視である。
こっちの世界で初めての無視である。
そういや日本では無視されまくってたな……こういう嫌な記憶の引き出しは開かなくて良いんだが。
「んふぅ」
カシュー疲れたみたいだな。
無理もない砂漠の砂の道を歩くのだ小さなカシューにとってはキツいだろう。
「休憩しよっか?」
「……」
無視である。
「ガハハまた女増えてるじゃねぇか、しかも抱っこたぁアーモンおめぇ意外にやるなぁ」
休憩後から何故かラッカのマントを掴んだカシュー。
「か、可愛いわ」
なんて言ってラッカの機嫌が直ってしまった。
こう見えてカシューちゃん空気読みまくりなのか?
結局カシューはラッカの裾を掴んだまま俺に、おんぶされる形で歩かず僧窟へたどり着いた。
女の子特有の肌の柔らかさを背中に感じる。
べったり、おぶさるので暑い……が、幼いとは言えカシューは美少女そうだ、きっと将来は相当な美人に育つ事だろう悪い気はしない。
ラッカは首が絞まらない、カシューは疲れない、WINWINだ。
倍疲れた俺の一人負けだ。
「すぐ転けてしまうので……それと抱っこじゃなくて、おんぶですし……」
「すぐ転ける? そりゃそうだろうな目瞑ってるじゃねぇか? その娘」
「へっ?」
ポイティンガーに言わすとカシューは魔眼帯の下で目を瞑っているらしい。
本当なら、そりゃ転けて当たり前だ。
「どうして? 何で?」
膝に手を当てて前屈みになったラッカが目線をカシューに合わせて聞く。
魔眼帯のせいで目線も何もないんだがラッカは、この手の仕草が多い。
ま、可愛いから大いに続いてもらいたい。
本人には言わないけど……
そんな事は、さて置き俺も屈んでカシューに問いただす。
「んん~んっ」
俯き加減に横を向いてしまった。
カシューは言いたくない様だった。
「いいじゃねぇか! 言いたくねぇんなら、ほっといてやれや」
がさつな様で意外に優しいのか? ポイティンガー
「それより行くぞ旧都へ」
「えっ? カシューも連れて行くんですか?」
新たな部屋を攻める事になっていた。
が、カシューが来てしまった事により、てっきり今日は旧都へは降りないと思っていた。
それでもポイティンガーは関係ないと言い俺、ラッカ、カシュー、ポイティンガーの4人で未開の部屋へ攻め込む事になった。




