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魔湖

「ラパよりアーモン殿達を訪ねて客人が来られている様ですが通してもよろしいでしょうか?」


 その客人は、きっとメルカかイドリー、もしかしたらエラトスかフラマウかも知れない。

 ただ、タイミングが悪かった。


「くくくっ、もう魔湖(まこ)に入ったわ。それに、此処へは通すなど出来ぬだろう? 何時ものように着く者は着く着けぬ者は着けぬ。それだけだ」


「戦闘将殿がおられぬので、ここまで聞きに参ったまで。では、カータへ通し馬王道の入口までは案内するとします」


 ハルティスからの使者は馬王へ告げ戻って行った。




「馬王殿、アーモン達が魔湖から出て来るのとメルカ達が着くのと、どちらが先になりますかね?」


「くくくっ、マテオよ。お前が足裏発動を覚えるのと、どちらが先かを考える方が楽しめそうだぞ」


「ええ! 馬王殿まで酷いですよ」


「アルパカを、からかう馬とか、ややこしいのじゃ」


「リャマです」


「おいおいおい、俺も話に混ぜろ、てか何でオイラを置いてく訳?」


 馬とリャマのやり取りにドラゴンがツッコミを入れて首だけ男が勝手に、まくし立てる状況こそ、ややこしいのであるが、そこに気付ける者は、もうこの場所には、いなかった。


 足裏発動を始めとする閃馬訓練が終盤を迎え一定の戦闘レベルに達した者は魔湖と呼ばれる場所へと進み、達する事の出来なかった者は、それぞれの集落へと戻って行った。

 残っているのはマテオとイーズ、べハイムだけである。

 戦闘将ヘレフォーとアルワルは魔湖訓練に帯同しコスマスは草原エリア全体の防衛の為に雫フキ集落へと戻って行った。







「ここって?」


「ここが魔湖の入口だぁね」


(ここって石笛の模様と同じ目が刻んである、あの場所だ)


「この魔石って下まで続いてるけど、それと関係あるんだぜ?」


「ピスタ殿の解析眼は、そんな事まで解り申すんですな、出来れば他言無用に願い申します」


 ヘレフォーとアルワルの話では草原の民エリアであるカータの下には巨大な魔石があるが、それは、遥か太古の昔には元々魔湖と呼ばれる湖だったと……

 そして、その魔石の中へ潜る事が出来るとの事だった。


「じゃあ魔石になった今も石であり湖であるって事?」


「さすがラッカ殿、その通りであり申す」


 そして、この吐出部から湖の中へ入る事が閃馬訓練の集大成なのだとヘレフォーは告げた。


「中で起きる事は奇想天外で毎回違わぁね、まあ驚きの連続だぁね」


 その事象を臨機応変に対応出来るかどうかが試されるのだ。

 ヘレフォーとアルワルが入口、つまり石の前で待ち、もし戻らぬ場合は助けに入るとの事だが、戦闘将の石笛がなければ助け出す事も出来ないらしく、それこそがポイティンガーが不在になってから今日まで閃馬訓練がなされなかった1番の要因との事だった。





「ヘーゼルは入った事あるのに何かゴメンな」


「いいわよ、この子が離さないんだから仕方ないわ」


 魔湖に行く段になると黒湯気のシーちゃんはヘーゼルの服を咥えて離さなくなってしまった。


(何か黒湯気のコントロールどころか意思でも持ってるみたいだなシーちゃん……)


「では参り申す」


 そう言うとヘレフォーは戦闘将の石笛を高々と掲げ魔石の周辺を足速に駆け始めた。


 ヒョロ〜ヒョ〜


 口で吹いたのとは少し違う音色が聞こえたかと思った瞬間、目の前が暗転した。

 そして次の瞬間、思いがけない光景が目に飛び込んて来た。



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