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魔眼の子 〜金環のアーモン〜  作者: きょうけんたま
砂漠の魔眼修道院編
16/206

三つ子のマミー

 マルテルが落ち着いても下級生のカシューは付いて歩くのをやめなかった。


 日課などで離れたタイミングを見ては逃げるようにポイティンガーの僧窟へ行くようになっていた。


「可愛そうじゃない。連れてくればいいのに」


 ラッカは彼女の事となると強く当たる。


 あれ以来、なぜか水瓶係の仕事に関しては規則が緩い。


 正式に水瓶係になったラッカ以外の者を連れて行っても良い事になったのでマルテルを連れて行っては一緒に旧都へ潜る。


 そんな日々が半年近く続いていた。


 最初に旧都へ入ってからは1年以上経っている。


 俺とラッカは13才にマルテルは12才になっていた。





「今日こそ三つ子のマミー倒せるかな?」


「マルテルが暴走しなきゃな」


「大丈夫だよ。おととい暴走したから」


 三つ子のマミーは正式にはトリプルマミーというミイラ型の魔物だ。


 このところ俺達は、こいつを相手にしてポイティンガーに鍛えられている。


 三体のミイラが包帯で繋がっていて不規則に動く。

 攻撃は体当たりだけだが、その時だけ動きがムチャクチャ速くなる。

 まぁ、当たられたところで致命傷にならないので練習相手にはピッタリだった。


「正確には、もう倒してるけどなマルテルが1人で」


「あんなの倒したって言わないわ」


 三つ子のマミー戦初日、ポイティンガーの指示でマルテルは魔眼、炎眼で攻撃する事になったが当然のごとく暴走した。


「気がついた時には黒こげだったから……」






「おら、コントロールしろカビテル」


 ポイティンガーの指導はスパルタだ。

 マルテルは良い動きをした時だけマルテルと呼ばれ悪い動きをするとカビテルと呼ばれて半泣きになる。


 それでも最近は炎眼を使いこなせていた。


 壁に炎眼で焦げ目をつけて字や絵を書いたり出来るようになっていた。

 中でもラッカとカシューがパンに祈りを捧げる姿を書いた絵は、なかなかの出来だった。

 ちなみに、この世界でもパンに祈る風習はない。

 奇才ドワーフのマルテル様の世界観である。


(歴史的な遺跡に落書きしてるだけのような……)


 ただ戦闘のセンスがまったくない。


「マルテルうしろー」


「えっ、あっ」


 ラッカの声が聞こえても反応が遅いので包帯にグルグル巻きにされていた。


 これじゃ四つ子のマミーだ。


「ダーハッハ! やっぱ、おめぇは面白れぇ」






 俺は種族スキルの使い方を教わり、それとは別に魔法の使い方を教わっていた。


「何で発動しっぱなしじゃダメなんですか?」


「普通は出来ないのよ、そんな事」


「そうだ、まぁ、上の段階になりゃ、おめぇも使えなくなるかも知れん。その準備と思え」


「はぁ」


 鍛えられた騎士や戦士でなければ普通は種族スキルは発動時間が限られるらしい。

 俺はサークル手前の子のせいか、いくらでも継続出来た。

 ただ一度ポイティンガーの種族スキルを見せてもらったが俺のとは桁違いのレベルだった。


「それより魔法だろうが問題は」


「魔力の流し方がなってないのよアーモンは」


 いちいち一言入れて来るラッカにイラっとするものの、その通りだった。


「ほれ、やってみろ」


 体の中の魔力を発動ポイントに集める感覚……最初は指先に集めようとして腕全体から魔法が発動したりしていた。


 最近は魔力の流れだけは何とか掴めて来ていた……


「炎の弾ファイヤボール」


「何でファイヤボールとウォーターボールが同時に出ちゃうのよ」


「訳わかんねぇが、まぁ魔力は上手く流せてるみてぇだな」


 出来ない子供を無理して誉めてるようで残念過ぎる……





 ラッカは割と順調だ。


 基本的には魔法を更に磨く方向だが魔法を後方支援で使うのではなく戦闘中に織り交ぜろと言われていた。


「慣れないせいか短剣が、しっくり来ないのよね」


 片手に短剣を、もう片方の手に杖を持って戦っていた。

 端から見てるのには上手く使いこなしてるように見えたが本人的には、いまいちらしい。


「いい杖だが、それ必要か? おめぇさんなら杖なしでも発動出来るだろうに」


「でも……」


 俺から貰った杖を意地でも使おうとしているようだ。












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