馬王道
本日で投稿一年です。
スローなりに続けてこれたのも読んで下さる皆さんのお陰です。ありがとうございます。今後ともアーモン達を、よろしくお願いします。
「では無事に馬王様に、お会い出来る事を、お祈り申す」
馬王に会えるかどうかはカータ、この土地が判断する。
会うべき者は自然に馬王の元へ着き会うべきでない者は何度行こうとしても何を試そうとも会えないのだと……
プトレマ達が、この会えなかったタイプだろう。
「大丈夫、皆さんなら会えますよ」
草原の民、つまりカータの民は普通に会えるらしくマテオが余裕なのが、しゃくに触るが仕方ない。
「でも1人づつなのが不安だわ」
馬王に会う資格は個人個人のものなので団体で移動すると1人でも無資格者がいれば辿り着けなくなるので初めて向かう場合は1人で向かわなければならないのだ。
「もし対処不能な場合は、このラッパ草の種を吹いて下せれば某が一目散に駆け付け申すので安心して下され」
「虫に遭遇しても皆さんなら余裕で勝てるはずですのでラッカさん大丈夫ですよ」
「何よ! 虫って?」
この草原で俺達は小さくなったが虫は小さくならないのだそうで遭遇すると、ちょっとした魔物並みの強さの敵になるそうだ。
「嫌よ、虫とか無理、無理、無理!」
「虫を倒すか、どうかは馬王様に合う事には関係ありませんので無理なら迷わずラッパ草の種を吹いて下され」
さて礼儀正しい戦闘将ヘレフォーは、こう言ったが、この後ラッカがスタートした後に何度も何度もヘトヘトになるまで呼ばれる事となった。
「ではアーモンさん馬王道へ行って下され」
「はい行って来ます」
時間差で別の入口から鬱蒼とした草の森へ入る。
草なのに森ってのも変だが、そのままなので仕方ない。
中で別々に入った人に出会いそうなもんだが土地のチカラなのか不思議と会わないのだそうだ。
「なるほど馬王道って言うだけあって道は、あるんだな」
森に分け入って歩かなければならないかと思ったが山道的な道があった。
日隠神社の奥宮への道も似たようなもんだったので少し懐かしさを覚えた。
名前も知らないが、見た事のある雑草が見た事もない大きさで生い茂る中を黙々と進むだけ……
道があるのだから道なりに進めば着くだろう。
その頃ペカンは……
翡翠色のサラサラ髪が草の森に溶け込みすぎていた。
やはりエルフは森が似合う。
「これ知ってる、オオバコよー、です」
オオバコの群生地を横目に通り過ぎながらペカンは青色の瞳を輝かせていた。
「あ、見えた! こっちよー、です」
魔眼『千里眼』によって馬王のいる位置と方向を把握したペカンであったが、だからといって簡単に到着するかどうかは定かではない。
その頃クコは……
「……はっ! ……ふん!」
早速、遭遇した蟻と格闘していた。
川の民として磨いた体術と相性抜群のバンデージ風の攻防一体式の武具によって、いとも容易く倒しているが何しろ数が多すぎる……
「……見えた……ここ」
輝いた茶色の瞳『俯眼』により上空から蟻の群れの隙間を縫って逃げる道を見つけ走り抜けていた。
残念なのは蟻にタイガースープレックスやドラゴンスクリューを決めている異様な光景が誰にも見られなかった事である。
その頃ピスタは……
「この突き出た岩は……やっぱり魔石だぜ」
大きな雑草よりも地面に目を向け新たな天気計に使えそうな鉱石を探して早速、見つけた魔石に『解析眼』の赤い瞳を輝かせていた。
「すげーぜ、地面の下まで続いてるぜ! あ、そうか、だから木は根を張れず草しか生えないんだぜ」
馬王の元を目指す気があるのか怪しいもんである。
その頃ラッカは……
「きゃー! 無理、無理、無理」
ヒュー!
カッ、カッ、カッ。
「ラッカ殿、ヘレフォー参り申した……6度目でござる」
「な、何度もすいません……また、虫が……」
「ラッカ殿、テントウムシは可愛いとは思いませぬか?」
「え、テントウムシ? 大き過ぎて……分かりませんでした……でも分かっても無理です……すいません」
戦闘将ヘレフォー呼び出し祭り開催中であった。




