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魔眼の子 〜金環のアーモン〜  作者: きょうけんたま
砂漠の魔眼修道院編
15/206

皇都と旧都

 毎年恒例の建国祭りが近い事もあり皇都バビロニでは、いつにも増して華やかに賑やかになっていた。

 そんな浮かれた雰囲気の中まるで別世界の様に静まり返った、とある一室で不穏なやり取りがなされていた……


「やはり間違いない様です。遂に見つけました」


「やはり魔眼修道院だったか、どんな手を使っても構わん。奪還の計画を早急に立てよ」


「はっ、しかし、下手な城よりも手強いと言われる修道院ですので準備には、ある程度の時間を要します」


 建国祭りの準備とは別に物騒な準備が始められていた……








「結局、来てんじゃん」


「私が見てないと、すぐ騒ぎ起こすじゃない」


 俺を心配して水瓶係に加わったラッカと共にポイティンガーの僧窟を目指して歩いていた。


「マルテルを連れて来いって言われてんだけどな」


「マルテルだと、あの娘も連れて行く事になるわよ」


 パンのカビで恐慌した残念ドワーフのマルテルは、あれ以来ちょっと不安定でビクビクしている。

 その為にシスターメルカの依頼で、あの、すぐ転ける魔眼修道士の少女カシューが付いて歩いていた。


「マントの裾を持って歩いてるのは可愛いよな、すぐ転けてマント引っ張ってマルテルの首が締まってたのもウケたし」


「へぇー可愛いんだ、アーモンって意外に年下好きだったのね」


「そんなんじゃないし」




 嫌な空気のままポイティンガーの僧窟に辿り着いてしまったが、そんな空気も一発で吹っ飛ばされた。


「ガハハ女連れたぁ流石は俺が見込んだ男じゃねぇか」


「よし姉ちゃん美味いもん食わしてやろう入れ入れ」


「ね、姉ちゃんって呼ばれた? 私?」


 ラッカ、ドン引きである。




 この厳ついおっさんがサボテンのスイーツなんて、どうやって作るのか不思議でならないが確かに美味しかった。


「おいし~どうやって作るんですか? 教えて欲しいです」


「そうか~ラッカちゃんが言うんじゃしょうがないなぁ教えちゃうかな?」


 自分の死を供物とするはずの窟僧ポイティンガー……メロメロである。


「おいで、おいで、こっち、こっち」


 誘われるまま僧窟の奥へ入って行くと見慣れた道が続いていた。

 少し進むと数段の階段があり平坦が続く、また少し降りると平坦になる……


「これって、汲み上げ井戸の横穴の?」


「何だ、知ってんのか?」


 一瞬ポイティンガーの雰囲気が鋭くなった様に感じたのは気のせいだろうか?


 そのまま進むと幾つもの部屋が広がっていた。

 その中の厨房の様な部屋でポイティンガーはスイーツを、作ってくれた。


「ここの設備がなけりゃ作れねぇんだよな」


「で、どうして旧都の事を知ってんだ? おめぇら」


「旧都?」


 これまでの付き合いでポイティンガーを信用していた俺は、ただの好奇心から横穴に入っては、経験値や魔石を稼ぐ様になった事、最近は入れなくなった事等を隠さず話した。

 もちろん金環のせいで強くなりたい事までは言ってない。


 逆にポイティンガーから、ここはラッカの予想通り言い伝えの砂に埋もれた都市だと教えてもらった。

 あくまで推測らしいが間違いないだろうとの事だ。

 見つかってから数年しか経っておらず一部の者しか知らないらしい。


「それなら、ここに来た時に入ればいい、戦い方も教えてやろう」


 となり、しばらくは通っては鍛えられ、ドン引きし……の日々を過ごしたのだった。



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