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マオウ

 カータ遠征のメンバーは俺達『白銀のスランバー 』とマテオだ。

 俺、全種混血手前らしい金環のアーモン。

 ヒューマンミックスで魔力視のラッカ。

 ドワーフミックスで解析眼のピスタ。

 金剛の民とエルフのハーフで俯眼のクコ。

 純血エルフで千里眼のペカン。

 リャマ系獣人でポーターのマテオ。

 総勢六名である。


 てっきり『 灰色の天秤』や『 翡翠の爪』の誰かが着いて来るかと思っていたが皆、以前に訪れているので行く意味はないと言っていた。

 プトレマさんとミュラーさんは魔王に会えずヴァルトゼとファンデラは魔王に会えたそうだ。

 一度会えなけれは何度行こうが会えない、それが魔王、そしてカータだと言っていた。


(さすがは魔王だけあって気難しいのだろうなぁ)


 丘の民エリアのハルティスを出発して二泊の旅だった。

 前回、呪われた古道での帯同でもマテオの料理の腕には唸ったが今回は我らが『白銀のスランバー 』が誇る料理番ペカンもいたので旅にしては豪華で美味しい食事が楽しめた。

 岩の渓谷を抜け湿地帯を迂回して針葉樹の森を抜けた先に突然現れたのが草原の民エリア……




「ここから先がカータです」




 高揚した声でマテオが告げた。

 長く帰っていないと言う故郷を前に気持ちが高ぶっているのだろう。

 そこは、その名の通り広大な草原だった。

 なだらかな高低差を様々な緑がグラデーションのように覆っているのが見渡せた。


「……緑……だらけ」


「牧場みたいだな」


「何ですか? そのボクジョンって」


「いいのよマテオ、久々だけどアーモンの、いつものヤツだから」


「牧場ってのは前の世……いや、今はいいや、今度話すよ」


 イーズに前の世界の事を話した事でラッカ達にも言わなきゃなって思ってたが大勢の前で言うのは何か違う気がした。


「それにしても家とか全然ないぜ」


「草だけよー、です」


「そこには秘密があるんですよ」


 何やらニヤニヤと意味ありげに言うマテオに何だか腹が立つ。


「ちよっと、あれは何?」


 ラッカが指差す先は草原の中心辺りで、なだらかな高低差の頂点と思われていた膨らみが見えた。

 よく見ると、それは地形ではなく……


「馬に見えるぜ」


「いや馬だとしたらデカ過ぎるだろ」


「ふふふ」


 またしても意味ありげなマテオに苛立ちマックスだ。


「いいから教えろ!」


「わ、分かったから、分かりましたから」


 マテオの説明に、ここまで俺は大きな間違いをしていた事に気が付いた。

 それは少し残念で少しほっとする内容だった。


「あの膨らみこそカータの誇る巨大馬である……」





「馬王様です!」





 それは響きこそ同じものの別物の……


「 馬王?」


「そうですマオウ様です」


「魔王じゃなくて?」


「はい?」


「いや良いんだ」


(何だよマオウって魔王じゃなくて馬王かよ〜)


 その馬王の下に封印されている化け物を倒すのだとイーズは言っていた。


 その化け物が何なのか?

 そして馬王とは、どんな存在なのか?

 イーズとの関係は?


 疑問だらけの俺達は、いよいよ草原の民エリアであるカータへ足を踏み入れる。

 そして踏み入れた瞬間、さらなる疑問と謎に飲み込まれていくのだった。



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