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魔眼の子 〜金環のアーモン〜  作者: きょうけんたま
たなびく旗に想う編
136/206

魔蜜攻撃

「やったか!」


 大量の魔法攻撃が3方向から一斉に放たれ爆煙に包まれた。

 ハニカム状の防御方陣も見えたが全てを防げる範囲ではなかったはずだ。


「効いてるぞ!」


 爆煙が晴れた先に見えたキューキュービーは正面から左側にかけて負傷していた。


「グァゲゴゥ」


 額からライムグリーンの液体を流しながらキューキュービーは何かしら言葉を吐いた。

 すると天井の一部が剥がれハニカム状の穴が開いたかと思った瞬間、魔蜜が垂れてキューキュービーへ降りかかった。


 シュー!


「なっ!」


 それは、まるで回復薬かのようにキューキュービーの傷口を癒してしまった。


「やーだ、初めて見ーる」


「回復を妨害する方法を考えないといけないな」


 自らを傷付けられた事で怒ったのかキューキュービーは怒りの形相に変化した。

 そして遂に……


 ヴゥウゥゥゥン!


「飛行形態に移行、上部注意」


「遠距離魔法放て!」


 飛行形態に移行したキューキュービーは上空で光輪を次々に輝かせたかと思ったら一斉に魔法攻撃を放出した。


「……リバーシールド」


「闇深き深淵へ飲み込めダークバレー」


「ラッカ様を守れ! うがぁ」


 それぞれが出来る範囲で防御魔法や楯で対処をした。

 一部に捨て身で防御する無謀な者達がいたが……まぁ、ほっておこう。


「み、みんな私は大丈夫だから無理しないで!」


 その無謀な者達をカウントしなくても、かなりの被害が出た。

 しかし、その中から飛び出した者がいた。


「ホースステップ!」


 草原の民の戦闘将ヘレフォーだ。


「壁を蹴った?」


「あらあら、空中を蹴ったみたいね」


 何とヘレフォーは空中を壁でもあるかのように蹴ってキューキュービーへ攻撃を仕掛けたのだ。


「ホースランス!」


 ヴゥシャッ!


 さすが戦闘将である、見事に右側の防御方陣を発動する針を封じたようだ。


「グァゲゴゥ」


「回復させるな!」


「炎の壁ファイヤーウォール」


 ヴァルトゼの防御魔法がキューキュービーの上部へと展開され魔蜜は見事に弾かれた。

 防御魔法を自らの防御ではなく敵の回復遮断に使うとは、さすが討伐隊の隊長と言わざるを得ない。





「グゥアゴォルァ」


 回復を遮断されたキューキュービーは明らかに苛ついた雰囲気に変貌し何かしらの言葉を辺りを見回すように吐き捨てた。


 パシュッ

 ドゥチュッ!

 ドゥチュッ、ドゥチュッ!


 キューキュービーの言葉に反応するように周辺の壁面が割れ、またもやハニカム状の穴が現れ魔蜜が発射された。


「うがぁ!」


 シュー!


「どういう事だよ?」


「味方はダメージを負って敵は回復したの?」


「ちっ、利用して回復してやろうと思ってたけど甘かぁねえなぁ」


 ラッカの言う通り壁面の魔蜜はキューキュービーにとっては回復薬、こちらにとっては攻撃になるようだ。

 プトレマさんの言う利用法は皆が頭の片隅に思っていただろうが、やはりそう甘くはなかった。


「アーモン後ろだぜ!」


「……リバーシールド」


 ヴゥヴァン!


 壁面からの魔蜜攻撃が背後へ迫っていた。


「ありがとうピスタ、クコ!」


「うがぁ」


 正面ではキューキュービーが残り8つの針から光輪を発光させては様々な属性攻撃を仕掛けてくる。

 背後からは壁面の魔蜜攻撃がランダムに飛んでくる。

 次々と討伐隊がダメージを負っている。

 もはやノーダメージなのはラッカくらいである……


「ゲ、ゲボクさん達が……どうしよう」


「クコ、俯眼を頼む」


「……俯眼……発動」


 クコが茶色の瞳を輝かせ魔眼を発動したのに合わせ俺も瞳のゴールドリング金環を輝かせた。


「魔眼です、不必要な人は正面に意識を向ければ閉じれるんで調整して下さい」


「おぉ~」


 クコの『俯眼』であれば上空からドローンのような視点で見渡せる為、背後からの魔蜜攻撃にも対応出来るはずだ。


「こりゃあ、良い!」


「まったく、便利なもんさね」


「これなら、どこからでもラッカ様を守れるぞ」


 予想通り劣勢だった事態は俯眼により立て直され魔法士と剣士の連携攻撃でキューキュービーにダメージを再度加え始めていたが……


「うがぁ」


「どうした!」


「天井からの魔蜜攻撃よー、見えないです」


 草原の民と思われる剣士が倒れていた。

 俯眼では真上から降る魔蜜攻撃を把握するのが難しい。


「痛ぅ!」


 背後からの魔蜜攻撃を避けた直後に天井からの魔蜜攻撃が(かす)ってダメージを負った。

 周りも同じパターンで次々と被弾しているが、その中で華麗に攻撃をかわし一人で奮闘している人がいた。


「あらあら、お馬さん凄いわ」


「また、かわしたぜ」


 戦闘将ヘレフォーは背後からの魔蜜攻撃をかわした直後にくる天井からの魔蜜攻撃も見事にかわしていた。

 まるで頭の上にでも目があるかのように……


「感心してる場合じゃねぇ」


 天井からの魔蜜攻撃は確かに厄介だが致命傷を負うほどではない。

 この際、ある程度受けるダメージは割り切って攻撃した方が賢明だろう。


「出る、ペカン時々、回復を頼む、クコは残ってみんなの防御を頼む」


「はいよー、です」


「……はいよー……です」


 こんな状況でペカンの真似を織り込んでくるクコは大物なのか? バカなのか?


 ヒューマンの種族スキル、クイックを発動。

 金剛の種族スキル、風車を発動。

 ドワーフの種族スキル、ガードを発動。


「ラッカ、ピスタ、俺がヘレフォーさんに近づくまで援護を頼む」


「任せて!」


「僕、頑張っちゃうぜ」


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