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這い松を越え

 ストラボさんの心を読んだ。

 デスリエ王女の魔眼である『読眼』の力である。


 今まで金環は魔眼の能力を本人が発動しているままを波及(はきゅう)させる使い方をして来た。

 今回、デスリエ王女が求めたのは少し違う使い方だった。


 デスリエ王女が魔眼は発動させつつもストラボさんに直接は使わずに能力だけを俺が金環で自分にのみ波及させストラボさんの心を読み取った。

 そして読み取った心をデスリエ王女へ金環で波及させた。


(初めての使い方だったけど上手くやれて良かった……)


 クコの俯眼やペカンの千里眼を金環で波及させた時に自分の意志で切り替えや調整が可能だった事から俺の金環は単に見たままを映すだけのモニターのような魔眼でない事は気がついていた。

 今回は確認する良い機会になった。







「ここから先が本当の意味での我らが山域であろうよ」


 ストラボさんの案内で山の民の生活圏入口までたどり着いた。


「ね、アーモン君どうしても教えてくれないかな?」


 マテオだ。

 天幕内でのデスリエ王女と俺の事を聞き出そうと付き(まと)われてウザい。

 まぁ、いるだけでも元々がウザいのだけど。




 天幕内での話は誰にも聞かせる訳にはいかない。

 ストラボの心を読んだ結果、レイースが実際に山の民の岩屋内部に備蓄(びちく)されていた冬越しの食料を食べたらしい事が判明したからだ。

 それが分かっていながらストラボさんはレイースを(かば)った事になる。


「レイースは、そんな事をするタイプではない……」


 それがデスリエ王女の感想だったが、もし本当に1人で食べたとしたのなら裁かれて当然である。

 この奪還そのものが掟破りの犯罪者を救出する違法行為と言う事になってしまうだろう。


 ただ、ストラボさんの心の中で……


(絶対に何かの間違いだ!)


 その気持ちが一番強く何度も響いて来た言葉だった事からデスリエ王女は奪還を決意した。


 でも、他の人に知られれば奪還を反対する可能性だってあるだろう。

 実際のところピスタの兄であるレイースを知らない俺からすれば、これで正しいのか疑問でもある。

 それと疑問が、もう一つ……備蓄食料は1人の人間が一晩で食べ切れる量ではないと言う事だ。



「何か山の雰囲気が変わったな」


「また、そうやって話しを()らす……ん、本当ですね」


「植物の背が低いぜ」


「あらあら()い松よ」


 メルカが花の民エリアで覚えた植物の一つだそうだ。

 高山特有の強い風に倒されない為に這うように伸びる松で種子が薬草に使われているらしい。


 周りの山々は真っ白になるほど雪が積もっているが、この這い松の山は薄っすらとしか雪がなかった。


「はぁはぁ、息が少し苦しいな」


「……酸素……薄い」





 這い松すら少なくなって来た辺りでストラボが動揺し始めた。


「おかしい! なぜ誰も出て来ないのだ!」


 本来であれば部外者が侵入すれば即座に排除しようと動くのが山の民のルールだそうだ。


「それに、いつもの湯気が吹き出していませんね」


 何度も訪れているデスリエ王女も普段とは違う異変に気が付いて警戒している様子だ。

 今にも指揮に特化した山の民モードか戦闘に特化した草原の民モードに変化しそうな雰囲気である。




「普段は、あちこちの岩の隙間から湯気が立ち上っているそうです」


 旅団全体へ警戒を促して回っているアナクシからの情報だ。

 ストラボの娘であるアナクシだが、ここまで奥の山域に入るのは初めてとのことだった。


「火山なのかな?」


「火山ではないはずですが火口のような大穴があるのでホールマウンテンと呼ばれています」


 そこから立ち上る大量の湯気のおかげで雪が溶けるのだとの事だった。

 そして、その大穴が見えるという岩尾根(いわおね)を越えた時、俺たちは信じられない光景を目にした。


(どうして? なぜ? そこにいる……)


「カシュー!」



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