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魔眼の子 〜金環のアーモン〜  作者: きょうけんたま
蜂の巣ダンジョン編
107/206

夜会

「レイースが山の民に()らわれた?」


「と思われます」


 イノウタの説明をヘカタ代表に招かれた夜会(やかい)で聞いている。

 街も大きいが夜会も大きい。

 いったい何人が集まってるのだろう。



「この皿とかカップ凄いなぁ」


「魔道具の一種みたいだぜ、作るところを見たいぜ」


「エルフとドワーフのハーフが集中してる地域があるんですよ、そこの品ですね」


 テーブルがなくても皿やカップが浮いているのだ。

 まるで、そこにテーブルがあるかの様に……



「もしかして錬成士がいますか?」


「ええ、いたかと思います。少し評判が良くなかったかと……」


 イノウタに聞いてるイドリーの質問にピンと来た!

 砂漠の修道院を襲った大商隊の傭兵だ。

 他国の傭兵……なるほど、そこから来ていたのか。


 そこでイノウタがデスリエ王女に呼ばれて夜会のメインテーブルらしき一段高いステージの様な場所へ向かった。

 そこはテーブルなしの魔道具カップや皿ではない銀食器がならんだ豪華なテーブルとなっていた。

 料理自体は同じものが並んでいる様だ。




「んぁ、メルカ切ってくれて食べやすいなの」


 魔吸具(ますく)の口周りがカットされたので、そのまま食事が出来るカシューは御満悦だ。


「あらあら、カシュー食べ過ぎるとココンになるわ」


 しれっとココンをディスるメルカ……ヴァルトゼが聞いたら怖いので止めて欲しい。


「確かに美味しいな雪面鳥とか、この魚とか」


「……空の川……トラウト」


「スカイトラウトよー、この時期は貴重です」


 本当は暖かい時期の魚らしく燻製にして保存されていたそうだ。

 雪深い地域らしく食材の保存方法が何かと研究されている。




「俺は、この漬物が旨いや」


「何ですか? そのツケモって?」


「雪ゼンマイよー、山の民の岩塩で漬けてあるです」


 もう日本の漬物の味そのものだった。

 懐かしい味に頬が(ゆる)む。


「あぁ、これで白米があれば最高なんだけどなぁ」


「何だぜ? そのハクマって」


「んぁ、白米なの」


「あらあら、ハリラタで教わった、米かしら」


「何ですとー! ちょ、ちょっと待ってお米あるの?」


「あらあら、アーモン食い付きが凄いわ、有るそうよ谷の民が作ってるとか……」


 やった!

 遂に来た!

 米が食える!

 まさか、この世界に米があったなんて知らなかった。

 いつもパン的な小麦由来のモノが主食だったので、てっきり無いのだと思い込んでいた。


「ちょ、ちょっとアーモン何で泣いてんのよ」


「ちゃべたい……食べちゃいんだぁ」


 号泣してしまった……


「あらあら、アーモン初めてね、こんなの」


 メルカにヨシヨシされてしまった。





 その後、俺はイノウタがデスリエ王女のメインテーブルから戻って来た頃には泣き止んで逆にハイテンションになっていた。


「では、デスリエ王女は山の民に会いに行くと?」


「はい、ですが、この雪なので古道(こどう)を使うらしくて……」


「怖いよー、呪われた古道です」


 ペカンによると、その道は呪われると言われているハルティスでは有名なオカルトスポットなんだとか……


「呪いが強いせいで雪まで積もらないと?」


「それどころか一年中快適な温度らしいんですよ」


 長年使われていないせいで呪いが何なのかさえ不明らしかった。


「母ちゃんが行くんなら僕も行くぜ」


 ピスタはデスリエ王女を心配してる訳ではないのだ。

 その古道の入口が例のエルフとドワーフのハーフ達が住む居住区だからだ。


「それで出口は山の民のエリアなのですか?」


「いえ、出口は谷の民のエリアだそうです」


「行こう! ピスタだけ行かすのは心配だからな」


「さすがアーモンだぜ」


「ピスタ可哀想だけど、あなた白米ってやつに負けたわよ」




ダンジョンは未攻略ですが、これにて第四章『蜂の巣ダンジョン』編は終了です。

次回より第五章は『呪われた古道』編です。

よろしくお願いします。

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