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魔眼の子 〜金環のアーモン〜  作者: きょうけんたま
蜂の巣ダンジョン編
103/206

ロリ熟女

 上手く行った。

 想像以上に、あっさり倒せた。

 当然だ。

 前もって見てるのだから!


(もしかしてカシューがいればダンジョンでは稼ぎ放題なんじゃないか?)


 ただ……


「んぁ、薬草使ってないなの」


 出番のなかったカシュー姫が御立腹である。

 いや、本当に姫なんだけどね……


「ちょっとアーモン次は少しダメージ受けなさいよね」


「ええ! 俺?」


 それじゃ、まさしく接待ダンジョンである。


(姫様、ナイス薬草! とか言うんだろうか?)


「なによー、ダンジョンは遊びじゃないです」


 ペカンがカシューに詰め寄った。

 そして自分を先程の過去視で見てくれと言っている。

 俺達は黙って状況を見守ってみた。


「んぁ、ごめんなさいなの、命にかかわるの分かったなの」


 カシュー、ペカンに抱きついてしまった。

 もしかしたら俺達はカシューの立場……バビロニーチの皇女としての立場に少し気を使って甘やかしていたのだろうか?

 カシューの、そんな立場なんて詳しく知らないペカンだからこそ対等な目線で叱れたのかも知れない。

 少し考えさせられた出来事だった。

 ……が、クコの一言でしんみりした雰囲気は吹き飛んだ。


「……さすが……長命」


「なによー、クコだってエルフの血が入ってるから()()()()になるです」


「なんだぜ? そのロリ熟女って」


「丘の民では定番のワードだ」


「ああ、俺も以前、母ちゃんに言って弓で撃たれたものだ」


 今回ヴァルトゼとファンデラが役に立った唯一の瞬間であった。





 動き出しが遅いパーティなんかは、これからダンジョン入りするって時間だったけど、この日はカシューとメルカが初めてだった事もあり、これにて終了となった。

 その帰り道ハンターズネストに立ち寄った時ふと耳にした言葉があった。


「なあ、あれって白銀の?」


「ああ、多分そうだ……スランバーだ」


 スランバーって俺達の泊まってる集落の? そう思って話をしてる彼らの方を見たら……


「や、やべぇ」


「お、俺寝るわ」


 そう言って迷宮蚕の繭の中へ入ってしまった。

 ここでヴァルトゼ、ファンデラとは一旦お別れだ。



 その後、蜂の巣ダンジョンの出口までに、すれ違ったパーティのどれもが、すれ違った後にコソコソと話してるような様子だった。


「これは何かしら噂されてますね」


 イドリーが面白くなさそうに呟く。

 きっとカシューの正体がバレたのではないかと心配しているのだろう。


「怖がってるよーみんな、です」


「あ、ペカン千里眼で見たの?」


「はいよー、見たです」


 そこで次に来たパーティに聞いてみる事にした。

 すると来たのは例の『赤き熱風』達だった。


「あっ、こんちわっす! お疲れ様っす!」


「お疲れ様っす! 白銀のスランバーの皆さん!」


「ちょっと、待てー!」


「ひっ!」


 そそくさと逃げようとした『赤き熱風』達を取っ捕まえて『白銀のスランバー』の事を聞き出した。


「いや、皆さんのパーティネームじゃないんすか?」


「どこで、そんな事を聞いたの?」


 ラッカさんの優しい聞き方で逆に硬直し始める『赤き熱風』の面々だったが必死に説明をして解放された。





「また例の酒場でしたか……」


「きっとトラブルポーターマテオだぜ」


「あのアルパカ今度こそ許さねー」


「……リャマ……です」


 クコの下手なモノマネはスルーされたが……


 酒場の噂ではランタンラミーのトラップ階層を攻略した新人達が今度は幽霊スランバーコールを倒したと盛り上がっているらしい。

 しかも雪の降る夜に雪を撒き散らしながら戦ったのだと……

 いや雪の中でも寝れるほど強靭(きょうじん)なのだと……

 いや寝ながらでも戦えるらしいのだと……


「ウロボロスの砂の情報が間違って入ってるな」


「それどころか噂が噂を呼んで、おかしな話になってますね」


 と、ここでメルカが意外な事を言い出した。


「あらあら、カッコいい名前が決まって良かったわね」


「えっ?」


 確かに響きは悪くないかも?

 ハルティスのパーティネーム定番の色も頭に来ている。


「じゃあ、これで決定する?」


「んぁ、良いなの」


 こうして俺達の初パーティネームは、いつの間にか呼ばれていた『白銀のスランバー』に決定した。



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