金環
別々の人種間に出来た子供はハーフ。
さらに、その子供はクォーター。
ここまでは元の世界と同じ……
さらに、その子供から先をシャッフルと呼び、全種族の血が揃った存在をサークルと呼ぶのが、この世界。
俺、日隠とわが転生した異世界だ。
死んでしまったのか、生きたまま転移の様な事になったのか記憶が曖昧でボンヤリしている。
覚えているのは、日隠神社という小さな神社の跡取り息子だった事。
天岩戸伝説に由来した由緒正しき神社だ。
天岩戸が投げられた時に岩戸が途中で割れ、その破片が落ちた場所に出来たのが日隠神社。
その破片を御神体として代々守っている。
俺も守り継いでいくはずだった……と言う事くらいだ。
転生も記憶が曖昧な事も問題だが今は、それよりも転生と共に俺の体に現れた一つの特徴が大きな問題だった。
「これは、どういうことだ?」
「黒目の周りに金色の輪だと!?」
俺の目には黒い瞳の周りを金色の輪が囲む様に輝いている特徴があった。
まるで金環日蝕の様に見える為、後に金環と呼ばれる様になる。
「瞳に金色は皇族特有の……」
「バカな事を口走るでない! それに皇族の金眼は金色一色で、この子の瞳で金色なのは周りだけじゃぞ」
組織の長マフムードは事の重大さに気付きつつも落ち着こうとして皇族とは別の特徴だと自分に言い聞かせる様に呟いては頭を振る行動を繰り返していた。
俺が転生した一族はテーベの小箱と言う代々皇族を守護する組織だ。
歴史上、唯一誕生したサークルとして皇国バビロニーチを、まとめた初代皇帝バビロ1世以来皇族、つまり皇帝の一族に仕えている。
ちなみにバビロ1世は髪の毛から瞳、足先まで全身金色で全種族スキルを使えたそうだ。
皇族の金眼は、その全身金色の遺伝子を継いだ結果なのだろう。
この世界では各種族特有の種族スキルなるものがあるが、バビロ1世は全種族の血が入っている為に全てを使いこなせたと言われている。
テーベの小箱には裏にもう一つの役割がある。
皇族に何かあった場合に備えて、あと一種族足せばサークル誕生となるサークル手前の子を常に用意しておく事である。
(どうやら俺も、そのサークル手前の子なのだろう)
だがテーベの小箱は勝手にサークルを誕生させ皇族に刃向かう存在とならぬ様に厳しく管理されており俺の瞳の金色の輪、金環は非常にマズい問題だった……
(もしかして転生で日本人要素が入って、もう一種族が加わった様になって擬似的なサークルにでもなったんだろうか?)
「砂漠の修道院へ逃がして下さい」
「名はアーモンとして下さい」
これが最初で最後、唯一聞いた母と父の言葉だった。
この世界のだけど……
「そうか、あそこなら、この子の瞳も隠したまま育つ事が出来るやもしれん」
マフムードは頷きつつ信頼出来る一部の配下の者へ指示を出すのだった。
混血の表現ミックスに差別的意味が含まれるとの指摘を頂いたので今後シャッフルに変更予定です。
しかしながら相当数含まれる事から時間を要す事、しばらく混在状態となる事をご了承下さい。