突然始まる、異世界転移④
「♭♭〒¶¶¶」
「やっぱ何言ってるかわからんな」
外が明るくなってきたなぁ、と考えていると部屋に人が入ってきたが、結局なに言ってんのかわからない。
日本語使えるやついねぇのか?
「日本語わかる? に・ほ・ん・ご!」
「♭・△・◇・○!」
向こうもゆっくり話してるが全くといっていいほどわからない。
入ってきたのは3人。
全員細長い棒切れを手に持っている。
足が折れてるから逃げることもできねぇ。
あー……昨日の野菜でこいつらの言葉がわかるようになればな。まあ、食ってないけど。
ん? 作ればいいんじゃないか?
MPがあればだが。
確認してみるか。
レベル 5
HP 16/25
MP 30/30
お、左の数字が30になったな。
これで何かしら使えるはすだ。
……よし。
(こいつらの言葉がわかるようになるものをくれ!)
手の中にイヤホンの先の部分に良く似た形の物が一つ出てきた。
片耳だけか。
とりあえずつけてみた。
「聞こえるか? 俺の言葉わかる?」
「ダメだな。このよそ者の言葉がわからない」
「お! 聞こえた! すげぇなクリエイターとかいうスキル!」
「くそ! なんとか話だけでもできないものか」
「俺の方は聞こえてるんだが……もしかして俺の言葉は変わってないのか?」
「面倒だな。やはり殺すべきだ」
「ふん。飯も食えてない。どうせ足も折れてる。奴隷にもならん。このまま生かしていても食いぶちが増えるだけだ」
「……わかった。広場に村の者に集まってもらおう」
……なんだ? 俺は殺される感じか?
クソが!
足さえ動けば逃げるんだが……難しいか。
何か作ればいいんだ。
奴らは部屋からなんか相談しながら出ていきやがった。
何を作ってこの状況をどうにかするんだ!?
足を直せるものか!? それともこいつらと話すべきか!?
そうだ! まずはMPを確認だ!
MP 0/30
終わった……。
何も作れはしない。
動くこともできない。
先に足を直すべきだった。松葉杖でもいい。
とにかく動ければどうにかなったかもしれない。
いや? 腕は動くんだから最後まで殴りあうか。
それしかないな。腕が動かなくなったら頭突きして噛みついてやる。
奴らが来るのをとにかく待つしかないな。