突然始まる、異世界転移③
足が痛くて目が覚めた。
長い時間眠っていたのだろう。夜になっている。
周りが見えないほど暗い。
足を触ると熱を持ってかなり腫れているのがわかった。
体がだるい。熱が出ているのかもしれないな。
とにかく明かりだ。
ライター、は家が燃えそうだ。
ライトだな。邪魔にならないペンライトがいい。
(ペンライトをくれ!)
手元になんの飾りもない想像通りのペンライトが 出てきた。
「……本当に出てきた」
スイッチを入れると、小さな明かりが部屋の中を照らした。
俺が寝ていた頭の近くに石でできた器を発見。
水が入ってある。
飲め、ということか? ひどくにごっているのだが。
まあいい。飲まなければいいだけの話だ。
となりには野菜だろうみたことない植物が置かれている。
食えるのか? 腹が減ってれば食ったかもしれないが、今は減っていない。
外国の植物か? 変な野菜だ。痩せたニンジンみたいな形をしたさつまいもみたいな紫色の皮を持った、土すら払ってない野菜。
外に出たいが足が痛む。
松葉杖がほしい。
いや、思えば手にはいる。
(松葉杖をくれ!)
……なにも起きない。
なぜだ?
一回使ったら時間を置かないと使えないのだろうか。
一度、MPというやつを確認する。
レベル 5
HP 15/25
MP 0/30
MPの左の数が0になっている。
右は30もあるのに、左が0になるとクリエイターとかいうやつはつかえなくなるのだろうか。
よくわからんな。
松葉杖もなく動き回ることができない。
変な野菜を手に取ってみる。
これを食えばこの外国人たちとしゃべることができるようになる、とかなら楽なんだがな。
やることもないのでかじってみる。
普通にマズイ。
とりあえず吐き出して、野菜を投げ捨てる。
食えたもんじゃないってほどでもないが、口に渋さが広がった。
よほど腹が減ってなくては食えない。
そもそも、しっかりした野菜なのかも怪しい。
村人が捨てる予定の腐りかけの野菜でもここに置きやがったんじゃねぇか?
水はもちろん飲む気にならない。
頭の血でもこれで拭くか。
器から泥水を取って頭を洗う。
多少痛いが、この痛みには慣れている。
眠気がないから朝までぼーっするか。
もしかしたら朝になって日本語の話せるやつが来るかもしれないからな。
あお向けになって天井を眺めながら朝が来るのを待つことにした。