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1-4 突然始まる、異世界の旅

「ということは、気づいたらここに?」


「そうだよ。記憶喪失かもしれねぇな」


「名前は? 覚えてないのか?」


「黒木 タクだよ。だから、ここまで移動した記憶がないだけだから名前とかは普通に覚えてんだよ!」



おっさんの名前も聞いてやろうかと思ったけどやめた。


聞いても名前で呼ぶわけでもない。聞く意味が無さすぎる。



「おお、そうか、すまねえな。まあ、難儀なことだが、金以外なら俺も助けてやるぞ」


「へぇ、こんな見も知らない男に親切なことだな。逆に怪しく感じるぜ。俺をドレイにしたりとかよ。商品とかいってこの中に入ってるの人間とかじゃねぇだろうな」



ついさっき殺されかけたからな。


まあ、おっさんなら変な炎の玉みたいなの使えるし、俺じゃ勝てる気がしないから騙す必要もないような気がするけど。



「そんなことするわけないだろ。俺は人間の売買は……しないこともないが、少なくともこの中にはないぞ」



人間の売買なんかして大丈夫なのか?


日本なら即アウトだがな。



「そうか? まあいいけど、さっき村で突然襲ってきやがってな。足は折られるは俺がドレイにならないから殺すとかどうのこうの言いやがってたからよ。ちょっと気になったんだよ」


「足が? 全然折れてないように見えるが?」


「まあな」


「いや、まあなって。それはどれだけ前の話なんだ? 2~3ヶ月ほど前なのか?」



このおっさんは何を言ってるんだ?


さっき村で襲われたっていってるじゃないか。聞こえなかったのか?



「足を折られたのか? さあ、1日ぐらい前じゃねぇか?」


「じゃ、なんで治ってんだよ!」



ん? ああ、確かに。1日で骨折が治ったら驚くだろう。


ふっふっふ!


「ああ、それは……おっと、こいつは俺の金になる話だからよ。今は話せねぇな。どうせ世界で有名になるから後でわかる話だぜ」



商人っぽいし、利益を取られたら腹が立つから黙っていようか。


でも、日本に帰ってどこに連絡したら俺の薬を買い取ってくれるんだろうか。帰ったらネットカフェで調べよう。



「何か理由があるということか。しかし、村の人間もいきなり襲いかかることもないと思うんだがな。まあ、まれに好戦的な集落もないことはないが。お前から仕掛けたんじゃないのか?」


「違う違う。言葉が通じなかったんだよ。それで向こうが何いってるのか俺もわからなかったし、こっちの言葉も通じないしでもうグダグダだったってわけ」


「兄さんの言ってることはよくわからんな。今普通に俺と会話してるじゃないか。今話してるこの言葉が通じなかったってことだろう? 原始人みたいな奴らに捕まったのか? それに奴隷どれいとか聞こえてたってさっき言ってたが、なんか言ってることが矛盾してるぞ?」


「説明すんのが面倒くせぇな!」



細かい事がそんなに気になるのかよ!


もういい。説明すんのは苦手なんだよ。


俺はマスクを外した。



「おっさん、俺の言葉が通じるか?」


「どうしたんだ急に変な言葉をしゃべり始めて」



マスクを戻す。


やっぱり通じてないようだな。



「このマスクでおっさんたちと話ができるようになってるだけだよ。俺はあんたらの言葉をしゃべってなくて、普通に今も日本語で話してんの!」


「にわかには信じられん。ニホン語とかいいながらマスクを外した時だけ変なことを言ってるだけなんじゃないか?」



……そんなこと言われたら説明できねぇ。



「まあ、なんでもいいけどよ。ちなみにおっさんたちの言葉が聞こえるのはこの耳に入ってる黒いのが言葉を日本語に替えてくれるんだぜ」


「本当ならすごいことだがな。ならなんで最初から着けてなかったんだ? 着けてたら問題なかったんじゃないのか?」


「質問の多いおっさんだな! 作ったんだよ! もういいだろ、この話は! 説明が面倒なんだよ!」


「なに!? 兄さん、そんななりで魔具研究者なのか!?」


「おい! また質問かよ! 研究なんかするかよ面倒くさい。俺は……なんだったかな、あのー」



ク……クから始まった気がするんだが。


俺は目を閉じて力を確認する。


MPはしっかり回復して30になっているな。よしよし、飯が食えるぞ。


力の下の方にスキル:クリエイターの文字が見えた。



「そうそう。クリエイターとかいうやつだよ」


「クリエイター? なんだいそりゃ」


「あれ? 商人のおっさんも知らねぇのか。俺も詳しくねぇけどなんか色々作れるみたいだぜ」


「なんで自分の職業がそんなに曖昧あいまいなんだよ……。そうだな。今も何か作れるのか?」


「おう、作れるぞ」


「よかったら作ってるところを見せてくれないか?」



さっき力を確認したときにMPが回復しているのはわかっている。


まあ、おっさんには世話になってるし目の前でつくってやるか。



「じゃあ、そうだな。飯でも作るか」


「いやいやいやいや。いやいや、飯ぐらい俺でも作れるぞ! 他のにしてくれんか?」



ここで他の物を作って、また何時間かかるかMPが回復するのをまってから飯を作る。


……ダメだな。腹が減りすぎる。



「そうは言ってもよ。俺だって腹が減ってるんだよ」


「後で食えばいいじゃないか」


「一個作ったら物によっては二個目が作れなかったりするんだよ。MPがなくなって。今は飯を食わねぇと後で後悔しそうだし」


「……なぜ、飯を作るのにMPがいるのか聞いてもいいのか?」


「クリエイターだからだよ」


「意味がわからん」



そう言われても俺もわからんからな。


説明なんてできやしないぞ。



「わかったわかった。じゃあせっかく何か作ってもらうところを見せてもらえるのかもしれないんだ。俺が食い物をやる。だから飯以外を頼んでいいか?」


「おお! それならいいぞ! んで、何を作ろうか?」



おっさんの飯が何かはわからんが、とにかく飯にありつけそうだ。よしよし。



「ん? 何を作ろうかって?」


「いや、だからなんか希望だよ。飯以外でって急に言われても俺、頭わりぃから思い付かねぇよ」


「だいたい材料も持ってないようだが――」


「だー!! いちいち細けぇことをグヂグヂグヂグヂと! いいからなんかねぇのかよ! ここからは質問を受け付けないぞ! あ、ちなみによくわかんねぇけど作れない時もあるからな!」


「心の底からよくわからないな。質問できないのなら仕方がない。そうだな。じゃあ、魔具といえば一般的には子供のオモチャだ。そうだな、今流行ってるのはコマだ。魔具でできた回りが良くなるコマを作ってみてくれ」


「コマだぁ? あのくるくる回すやつ?」


「そうそう。魔具のコマは貴族の子供に人気でね。腕の良い制作者を探してるのさ。平民は魔具じゃないただのコマだがね」



マグってなんだろう。


マグ……ロ?



「一つ俺から質問いいか?」


「一つといわずいくらでも。まだ次の村まで時間はある」


「マグってなんだ?」


「……兄さん。そりゃいくらなんでも……いや、記憶喪失のせいなのかもしれないな。わかった、魔具ってのはな、さっきポーンから出た魔石があっただろ? ポーンに限らないんだが、魔物から取れた魔石を使った道具の事を魔具と呼ぶんだよ。そして、魔具を作る人の事を魔具研究者だな」


「あー、なるほど、魔石を使ったコマか。ちょっと待ってろよ」



マグって魔石のマに道具のグかよ。腹が減りすぎてマグロかと思ったじゃねぇか。


ここまでわかればもしかしたら作れるかもしれない。


まあ、作れなかったところでどうでもいいが。一応、馬車に乗せてくれた恩を返さなくちゃな。飯もくれるらしいし。


さ、集中集中。

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