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金が無いのはつらいよ

ひとまず、

この世界のにおいて…と言うより、このギルドで仕事をして生活する上で重要そうな事はある程度理解した。


例えば「お金」だが、

この世界の通貨は「オーロ」と言う。日本円でどれくらいになるかはなんとも言えないが、

ギルドの食堂で「ラムネ」が3オーロ、「麦茶」が1オーロ、

年齢的に飲めないが「ビール」が5オーロって感じだ。


ちなみに、初仕事の際は合計2つの依頼を達成したわけだが、

結果的に報酬はサラスと等分され、一人当たり1100オーロだった。

ブロックゴートの討伐が1200、蜘蛛のタマちゃん捜索が1000。

合計2200オーロの等分で1100オーロ。


ギルド内の食堂では、ギルドカードを出せば自動的に個人口座から料金を引き落としてくれる上に、

ツケが効く。

まぁツケるにしてもギルドカードは提出するのだが。


ちなみにこのギルドカード。

一応ある程度の街なら、ギルドの食堂と同じように使用ができる。

ただ、小さな村だったり、お店によっては現金支払いしか出来なかったりもするとか。


ま、そんな事はさて置き…


「お金がない」


俺はギルドの食堂でサラスと共に朝食を食べていた。


「ほんなの、いつものこほじゃない」


朝からデケェ鶏肉が食えるな…。

てか食いながら喋るな。


「なんで金が無いと思う?」


「・・・鶏肉美味しいわよ?」


「ごまかせるか!サラスが魔法陣は極力使いたく無いとか言うから、

歩きでどうにかなる範囲の依頼をやってるけどなぁ、

その日の飯代程度しか報酬が無いだろう!」


異世界にきて2週間が経っていた。


なかなか濃い初日から今日までサラスと共に依頼をこなしてはいるが、さすがに限界が見えてきた。


「取り敢えず、このパーティーはお前が戦力の要なのに、お前がターミナルサークルを使えないから出来るだけ配慮して近場の依頼を受けて来たが、


さすがにこのままではダメだと思うんだ」


「そうは言っても、魔力の量は基本的に増えないのよ?」


そう、この世界には魔法が存在する。

人間の中にある魔力を使う事で発動できるわけで、

ターミナルサークルという…つまり「転移魔法陣」を使うにも魔力が要る。


この魔力の量は、人それぞれ生まれ持って量がある程度決まっているとゆう。

故に「魔法使い」的な人間はそうそう居ない。

強いて言うなら、戦闘の補助で数種類の魔法を使う「魔法剣士」はそこそこいるらしいが、純粋な「魔法使い」は珍しいらしい。


俺とサラスは、絶望的なまでに魔力が無い。

依頼先によっては、ターミナルサークルを使っただけで死にかけるレベルだ。

魔力使用後は体力疲労にも似た症状が体に現れるため、魔力が空になれば呼吸するのもやっとな程に動けなくなる。


「にしても、金が無いのはキツイぞ。

そもそも、サラスは「魔獣王」を倒すんじゃねぇのかよ」


「ほのとーりよ!!あらしは「まじゅうおう」をたおふためにここにいふんだから!!」


「汚ねぇな!食ってから喋れ!!

…ったく。


だったら尚更金は必要だろ?

俺の装備はどれもギルドのレンタル品だし、

サラスの装備は自前でも、そろそろガタが来てるのは素人目にも分かるぞ。

手入れされてるのはハンマーくらいだが、それもかなり補修を重ねて、もはやどうしようも無いだろ」


「そ、それもそうよね…」


自覚あったのか…。


「はぁ…取り敢えず今日は魔法陣使う覚悟でいろよ。

さすがに拒否してもダメだからな!」


「わ…わかったわよ…」


ムスッとしても意味無いわ。


〜〜〜


さてと…ああは言ったものの、手頃な難易度で俺の転移も大丈夫そうな地区からの依頼は…見当たらないんだよなぁ。

報酬を取るか、転移時の疲労度を鑑みるか…。


それにしても…この依頼書が貼られた掲示板。

壁一面が丸々掲示板になっていることもあり、まず全てを把握することが出来ない…。


よし!

困った時には、取り敢えずあの人に聞こう。


取り敢えず俺はギルドの案内係りであるエルテさんの所へ向かった。


「ナバリ・ヤクモ様、おはようございます」


相変わらずの営業スマイルを向けて挨拶をしてくれる。

俺は手頃な依頼が来ていないか、条件を幾つか出して聞いてみた。


「なるほど…そうですねぇ。


報酬か、移動距離に伴う魔力・体力消費を取るかがやはり基準になりますよね…」


やっぱりなぁ…。


「今まで魔法陣を使った移動距離で1番遠いのは、どこでしたか?」


「初日のアルドニアですね」


「なるほど…あ!

だとすれば、アルドニアより少し近い「マルクス」という街から依頼が出ています。


内容はアルドナ山の採石場で偶然発見された地下の迷宮遺跡(ダンジョン)調査ですね。


他ギルドにも依頼を要請しているので、合同クエストになりますね」


「合同クエストですか?」


「はい。時折あるんですよ。

他ギルドのパーティーと共に行うクエストで、主に新発見された迷宮遺跡(ダンジョン)の調査や、強力な魔獣の討伐は合同クエストとなりやすいですね。


ちなみに今回は…既に「チリーヌギルド」と「ワカヨンギルド」から、それぞれ1組ずつパーティーが出ていますね」


他のギルドメンバーと交流するいい機会かな…。


「依頼によると調査決行は…明日になりますので、今日の内に出発すれば問題無いかと思われますよ」


なるほどねぇ…1番手頃なのはこの依頼になるのか…。

俺は幾つか細かい情報を確認し、今回はこの依頼を受ける事に決めた。

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