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BRAVE OF FANTASM  作者: 真王
7/33

第6幕 そして、少年は旅立つ

部屋に戻ったシヴルはベッドに倒れこんだ。

突然、あんなこと言われたらすっごい頭が混乱した。

っていうかあのへんてこな剣は俺を持ち主にしやがった。

ごく一般の魔法学校に通う、この世界にとってごく普通の男にだ。

ゴロリ、と寝返りをうつ。

本当はこんなことなんてしている暇などない。

考えなくては

これからどうするのか。

しかし今回は今までとは違う。

この世界を創るために用いられたあの剣を

一体、どうすればいいのだろうか・・・・・・・・。

どうすれば・・・・・・・

コンコン!!

ノックだ。 誰だ? またリティか?

「シヴル、入ってもよろしいかしら?」

違う。この声は院長先生だ。

「どうぞ。」

シヴルはそう答えた。

ガチャ、と音を立てて、ドアが開いた。

「お茶、持ってきましたよ。」

そう言って、入ってきたイクシーの手には紅茶とクッキーが入ったトレーを持っていた。

「あ、ありがとう・・・院長先生・・・。」

「どういたしまして。」

イクシーはトレーをベットのそばのサイドボードに置いた。

「あ、レイオル先生と・・・あの女――じゃなくて、リティは?」

「リティさんとレイオル先生は学園に戻られました。

 これからどうするか、あちらでも決めるのでしょう。」

「そう・・・ですか。」

「・・・・答えは見つかりましたか?」

イクシーはそう言った。

「いや、見つけるも何も・・・・いつもとは何か違うから・・・・

 なんて考えりゃいいのか、ちょっと・・・・・。」

なんてバツの悪い言い方だ。

シヴルは思わず苦笑した。

「そうですね・・・女神イシュタリス様が扱い、様々な偉い人たちが持ち、

 この世界でおとぎ話として残っている存在があなたの手に委ねられた。

 まるで世界を救う勇者のようですね。」

「そ、そんなたいそれた存在じゃないですよ、俺は。」

「そんなことはありませんよ。すごく立派だと私は思いますよ。

 あなたと・・・・」

イクシーは少し間をおくと、何かに決意したかのように口を開いた。

「あなたの、お母さんも。」

「!」

シヴルは驚いた。

なぜ、こんな時に母なんてでてくるのだろうか。

なんで・・・・・

「シヴル、あなたのお母さんのこと・・・知りたいですか?」

また驚いた。

俺がちゃんとした物心を持った時にはすでに俺の前からいなかった母さん。

聞いても、いつも院長先生は教えてくれなかった。

昨日だって、俺がなぜこの孤児院に来たことなんて教えてくれなかった。

だけど、今、院長先生はそう聞いてきた。

だったら

「ずっと前からそれを聞きたかった・・・だから・・・

 知りたい・・・です。

 院長先生・・・・教えてください・・・!」

シヴルの言葉に、イクシーは頷いた。

「わかりました・・・・でも、その前に。」

イクシーはサイドボードに乗せていたトレーを再び持った。

「おやつくらい、食べてからでも遅くないでしょう?」

そう言われてしまった。

クッキーはさっくりしていて、紅茶はとても香ばしくておいしかった。



シヴルとイクシーは孤児院を出た。

すぐ着く、とイクシーは言った。

一体、どこへ?

話ならば、孤児院ですればいいものを。

そう思いつつ、シヴルはイクシーに着いていく。

たどり着いたのは

「ここって・・・・・。」

シヴルは、とある所の入口を見た。

そこにある看板はこう書かれていた。

『墓場』と。

その中に、イクシーは入って行った。

ああ、そうなのか

やっぱり、そうなのか

シヴルは黙って、イクシーの後を追った。

見渡す限りに、所々に存在する墓石。

その墓石の中をシヴルとイクシーは歩いて行った。

「・・・・・・着きましたよ。」

そう言ってイクシーは、ある墓の前でその足を止めた。

シヴルはその墓を見た。

やや古いが、よく磨かれ綺麗な墓。

そこには、その墓に眠っている者の名が刻まれていた。

『ミレイ・ストラヴィジュ』

言われなくてもわかった。

墓場に入った時点で確信できた。

ここにいたんだ。

ここで俺を見ててくれたんだ・・・・・。

母さん・・・・・・・・・。

「・・・今から14年前・・・

 あれはすざましい雨が降り注ぐ冬の日でした。」

今まで黙っていたイクシーがそう話し始めた。

「その日、私と夫は冬には珍しい大雨に窓を見て驚いていました。」

イクシーはそっと墓に触れた。

「そして、門の前に人影があるのを見つけたのです。

 それは小さな赤ん坊を抱いた女性のようでした。」

シヴルは黙って、話を聞く。

「私と夫は、その女性を家の中に入れようと思い、

 女性を迎えに、外へ向かいました。

 ・・・外に出ようとした瞬間、外から雨音に混じって聞こえてました。

 大きな声で泣く、赤ん坊の声が。」



もしや、と思い、私と夫は飛び出すように家を出ました。

そこには・・・案の定、入口に立っていた女性は倒れていたのです。

その身には赤黒いものがこびりついていました。

しかし、それでも赤ん坊は腕の中にしっかりと守られていました。

私と夫はすぐさま家の中に女性と赤ん坊を運びました。

赤ん坊は体は冷えていたものの、無傷で、特に異常はありませんでした。

しかし、女性―――その子の母親は、もう・・・・・・

「最期に・・・何か言い遺すことは・・・?」

夫はそう言いました。 すると女性は言いました。

「その子を・・・その子を・・・どうか・・・・。

 私の・・・かわ、りに・・・。」

もうそれだけで充分でした。

夫はわかった、と言いました。

女性は―――笑いました。

「さよなら・・・シヴル。わたしのかわいい子。

 ・・・ごめんね・・・・・一緒、に・・いて・・・あげら・・れなく・・・・て・・。」

女性は――――あなたの母親はそう言って息を引き取りました。

赤ん坊―――――あなたはしばらく泣きやんではくれませんでした。



「それから、あなたの母親のわずかな所持品の中に、

 『シヴル・ストラヴィジュ』という赤ん坊の名が書かれていた小さな日記、

 そして、『ミレイ・ストラヴィジュ』と書かれた万年筆が見つかりました。

 私たち夫婦はミレイさんの遺言通り、あなたを育てました。」

イクシーは今度は隣の墓を手で撫でた。

誰の墓なのかはその仕草でわかった。

「あなたを育てる最中、私と夫は孤児院をつくりました・・・3年前に夫は先に逝ってしまい

 ましたが・・・それでも私はその日の約束を守るために、

 一人ぼっちになった子供たちとあなたを・・。」

「もういい。」

シヴルはそう言った。

「もう、いいよ。院長先生。」

その声は微かに震えていた。

「母さん、ずっと見ててくれたんだな。

 ここで、俺を見ててくれたんだな。」

かたかたと肩が震えた。

「見ててくれたのは・・・うれしいよ・・・・・でもさ・・でもさ・・・・。」

もう限界だった。

「最期の言葉が・・・ごめんね、って・・・・

 言って逝くのなんて・・・・ずるい・・・・よ・・・・・っ。」

泣いた。




「・・・ごめん、院長先生。・・・泣きじゃくっちゃって。」

そう言うシヴルの顔は、涙の跡がくっきり残っていた。

「いいえ、構いませんよ。

 ・・・もしかしたらあなたが、あんな風に泣くのなんて初めて見た気がしますね。」

「え、そ、そうですか?」

ええ、とイクシーは言った。

「まぁ、一番歳上だったあなたは、いつも小さな子供たちの相手をしてましたしね。

 泣く、ということをする暇なんてなかったのかもしれませんね・・・。」

イクシーのその言葉に、シヴルは苦笑する。

「そ、そうかもしれないっすね・・・あはは・・・・。」

その笑いはもう先ほどの悲しみは見せていなかった。

「・・・そういや、母さんのことは分かったけど・・・父さんのことは?」

笑っていたイクシーの顔が瞬時に、焦りに変わった。

もしかして

「・・・ごめんなさい。あなたのお父さんのことについては何も・・・・。

 せめての頼みである日記にも、あなたの父親の名が『レグニア』ということしか・・。」

「そう・・・ですか。」

少し残念だ。

だけど今は母さんのことがわかっただけでも充分か。

シヴルは自分にそう言い聞かせ、母の墓を見た。

・・・・・・そういえば

「あの子も・・・小さい頃両親を亡くしたって言ってたな。」

「リティさんのことですね。」

シヴルは頷いた。

「そして、アヤシィ研究所―――もとい孤児院でたったひとりの家族である兄がいると。」

そして今でも妹の帰りを待って、無事を願っている。

・・・・だったら

「決めた。」

「シヴル?」

シヴルはイクシーの方へ向いた。

「決めたよ。俺、これからどうするか。」

その顔は決意に満ちていた。







「んじゃ、行くとしますか!!!」

シヴルはそう言った。 それに答えたのは

「え、ええ。」

リティだった。

「いいんですか?『白い孤児院』に一緒に行ってもらっても・・・・。」

昨日の夕方のことだった。

突然、シヴルが学園にいるリティのもとへと来たのだ。

そしておもむろに

『あの剣の力を借りて、孤児院にいる君の兄さんを迎えに行く!!!』

と言ったのだ。

それが彼が決めたことだった。

「いいって言ってんじゃんか。もう何回目だよ。」

「ですが・・・・。」

また何か言うリティをシヴルは

「あーあー!とにかく俺がいいって言ったもんはいいんだよ!! わかったか?!」

と言ってやった。そして

「・・・このまま逃げてしまうのもいいけど、あそこには君のお兄さんがいるんだろ?」

「え、ええ。」

「だったらさ、迎えに行ってやろうじゃないか。どんな手でも使ってもさ。

 生きているのに、もう会えない、なんてさびしいじゃんか。・・・・違うか?」

リティは少し迷ったが、やがて首を振った。

「だったら迎えに行ってやろうぜ!! 

 逢えるのに逢えない後悔なんて・・・・したくないだろ?」

その言葉を聞くとリティの表情はみるみると明るくなっていった。 そして

「そう・・・ですね・・・

 わかりました・・・私の兄を迎えに行くのを・・手伝ってくださいっ!!」

「よしきた!その依頼、引き受けたぁ! ・・・なんてな!」

そうして2人で笑った。

孤児院の子供達には、色々ぶーたたれたが『無事に帰ってくる』という約束で許してくれた。

レイオル先生は、自分の休学届の申請と

そして剣を、『帰ってきたら再び封印する』という約束の下、貸してくれた。

院長先生は、多くの旅支度の手伝いをしてもらってくれた。

そう、これはもはや旅なのだ。

これから何があるか分からない。

でも、きっとやっていける。

シヴルは荷物の中にあるものが入っているのかどうかを確認した。

それはあの後、院長先生がくれた・・・母さんの日記と万年筆。

これが俺にとってのお守りだ。

きっとこれが・・・これからの俺を守ってくれる。

だから

町の入口に立ったシヴルは一度、町を振り返った。


「(行ってくるぜ・・・・みんな・・・・母さん!!!)」

シヴルは前に向きなおすと、歩き始めた。





少女の大切な家族を迎えに行くため、旅が、始まる。




やっと、旅立ったーーーー。やっぱ長ーーーい!!

まとめたいけどまとめきらんな・・・すっげぇ未熟だなぁ・・・。

シヴルがなんかマザコンっぽいなーと読み直したら思ってみる。ここまで酷くするつもりは・・なかったはずだけど・・・おかしいな。

とにかく、2年前に始めたこの小説はやっと旅立ち始めました。遅くなってしまったことは本当に申し訳ない。というか誰かがこれを見てるわけじゃないけどね(笑)

見届ける覚悟があるのならば、彼らの旅を見届けてください。お願いします。

まぁ、それもこれも作者のやる気次第ですが←コラ

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