第31幕 あの子の過去と少女のこれからと(後編)
後書きですがすっとばしても構いません。
また長いですからwww
自警団の人達は急いでその魔物を討伐した。その頃の俺はまだ剣を持つ事すら許されてなかったからな。
魔物の注意をこちらに逸らして…とにかくセスの安全を確保するのにすごく時間がかかった。
ようやくセスを助ける事が出来たのはそれから数時間後だった。
助けられたセスは直ちに医者に診せられて…
時間をかけて回復魔法をかけても、その身体には痛々しく、全身に包帯が巻かれてた。
まだ目が覚めないままセスは孤児院に戻ってきた。院長先生が看病をするって話でな。
院長先生は…他の子供たちの世話をしつつもセスの看病をしたよ。
いつ寝てるのか判らなかった。もちろん俺も手伝った。でも院長先生は日に日にやつれていった。
旦那さんが亡くなって、まだそんなに経っていなかったというのにな…。
俺だけじゃなくて誰もが院長先生を心配したよ。
幾つか日がすぎて…ようやくセスは目を覚ました。
「あいつ目覚めて第一声、何て言ったと思う?」
思わず笑いが出そうである。
楽しくてではない、これをバラしたと知った時のセスの顔が思い浮かんだからだ。
「なんて…言ったんですか?」
リティがそう訊ねる。
「…あいつな……「どうしてあのまま殺させてくれなかったんだ」って言ったんだよ。
俺も目覚めた時その場にいたからもう吃驚したよ。一瞬その場にいた事を呪ったくらいだな」
「……………」
リティは何も応えない。それもそうだろう。
セスが言った事と自分自身が言った事。
共通しているのは自分にとって大切な存在が失われた事。そしてそれはもう帰ってこない事。
『死にたい』
同じなのだ。自分と。言った言葉は違うけど、同じなのだ。
「それを聞いた院長先生は…いつもの院長先生がするとは思えない事をした」
シヴルはもう笑っていなかった。そして言った。
「…セスの頬をすごい勢いでビンタをかましたんだよ」
その行動にまた俺は驚いた。今思うとセスに出逢ってからは驚きっぱなしだな。
そしてこう言ったんだ。
『あなたはこれまで沢山の人に迷惑をかけました。
私だけじゃありません。そこにいるシヴルやここにいる子供達だけでもありません。
あなたを二度も助けてくれた自警団の人々、捜すのを手伝ってくれた多くの人々だけでもありません。
あなたは貴方を庇って死んでしまったご両親にも迷惑をかけたんです!!
まして自分達と同じような殺され方をして、例えご両親の元へ逝ったとしても…
あなたのご両親が貴方を喜んで迎えてくれると思います?! 違いますよね!?
もしあなたがご両親の元へ逝きたいのならば、あなたの為すべき事をやり遂げてからにしなさい!!』
今度はそれにセスが言い返した。
『そんなものなんてない!! そんなもの…なんて…!!』
そこまで言ってセスは何かに驚いたようだった。それに関しては俺は別に驚きはしなかったけどな。
何に驚いていたのかは簡単。院長先生が泣いていた事と…自分が泣いていた事だったよ。
そして…院長先生はセスをしっかりと抱きしめた。そして先生、こう言ったんだ。
『…あなたの為すべき事は「生きる」ことです。
ご両親が生きていた頃のあなたには戻る事はもうできません。
それでもあなたの未来はあなた自身で作らなくてはなりません。
これからの人生、今以上に苦しい事があるかもしれません。
でも…それ以上に楽しい事だってあるに違いありません。
そうでしょう? だってこれからのあなたの事なんてまだ誰もが知ってるわけないんですもの。
だから私はこれからのあなたを知っていきたい…見守っていきたい…』
そしてセスの顔を見て、また言った。
『これからは、楽しく笑う時もつまづいて泣いてしまう時も私が…いえ私達が見守っていきます。
私がいなくなる時は他の誰かがきっとあなたをまた見守ってくれるはずです。
それが…人というものですから……だから、いっしょに…生きましょう?』
「それを聞いてセスはもう大泣き…多分両親が死んだ時の分まで泣いたんじゃないかな?
それからのセスはみるみる明るくなっていったよ。あっという間に皆と仲良くなって…。
その明るさは孤児院だけじゃなくて町の皆も明るくしてくれるんじゃないかっていう勢いだったよ。
で…今のセスがあるって訳だ…」
そう言い終わると、シヴルは思わずぎょっ、とした。
「………………」
気がつくとリティは立ったまま俯いていた。おまけに微動もしていない。
ちょ…ここまで話して駄目とかアレですか?!?!
…ああ、クソもう!! 頼むからもう…!!!
…………………………
「…確かにそっちの気持ちを判らないわけでもない。
セスは院長先生の必死の呼び掛けで立ち直れなかったけど…
それでも、もし今の話を聞いて気持ちが変わらないなら…もうこれ以上何も言わないし、何もしない。
俺に…そこまでする権利はないんだから」
でも
「俺は君を、リティを助けたい。いやもちろん俺だけじゃない。
エンゼットやミューゼ。それに院長先生やレイオル先生…それに孤児院の子供達やセスだって…。
だから…」
シヴルはリティに向かって手を差し伸べた。それに驚いたのかリティは顔を上げた。
「一緒に頑張っていこうぜ? エゼクみたいにはできないかもしれないけど…。
俺は俺が出来るなりの事を君と一緒に頑張っていきたい…だからさ―――――」
その時だった。
ガサガサッ!!!
すぐ傍の茂みが鳴った。おまけに
「おい、気づかれるぞ!!」
「だ、だって…しょうがないでしょwwwあんなセリフ聞いたんじゃwwwwww」
……………………。
こ、の、声、は……。
「をい…何やってんだよ…この×××共が…!!」
何とも言えない思いでもう声が震えている。
「バレちゃったじゃない!! どうすんのよ!!!」
「どうすんのって…お前がバラしたんだろうが…もう隠れても仕方ないだろう」
そう言って茂みから出てきたのはもちろんエンゼットと
「あ、ちょっと引っ張んないでって!」
今だ抵抗するミューゼであった。
「…お前さん達、いつからそこに?」
「…えーーとだな」
「『5年くらい前だから、俺がまだ11、12くらいだったかな』の辺りからかしら」
シヴルの口調をマネしながらミューゼは言った。
つまりだ。
最初から聞いていたということだ。
最初から……最初から………ね?
ふ、とシヴルは笑った。そして
「ふ、は、ははははははははははははははははははははははははははは…」
突然大声で笑い始めた。そして
「死っねぇェェェええええええええええええええええええ!!!」
ドッゴオォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッッ!!!!!!!
勢いよく剣から発された衝撃波がエンゼットとミューゼに襲い掛かった。
二人は間一髪でそれを避ける!!
「ちょ、何すんのよ!! 殺す気?!」
「その気だから気にすんな! 次は当てるから動くなよ!!」
「ま、待て! 落ちつk――――――」
「うっるせぇえええええええええぇぇぇぇッ!!!!!!!」
ぎゅん ぎゅん ぎゅうううううん!!!
術の乱れ打ち。もはやシヴルは止まらない。
確かにあんなセリフを聞かせる奴以外に聞かれたらキレるのも無理はない。
おまけによりによって聞かれたくない奴に。
ああ、もう…最悪だ…。
「…っ…ふふ…」
?
「ふふっ…ふ…っ…もう、シヴルったら駄目ですよ?」
笑って、る…?
リティが…おまけに、満面の笑みで笑ってくれてる。
そんなこと思っているとリティはすぐ傍に来ていた。
そして、シヴルの手を両手で包むように握った。
「ごめんなさい…心配かけて…。
そしてありがとう…素敵な話を聞かせてくれて…」
さらにおもむろに
「え、あ、ちょ?!」
そのままリティはシヴルに抱きついた。
さすがにシヴルだけではなく、エンゼットとミューゼもこれには驚く。
「いっぱい言いたい事があって…上手く言えませんけどこれだけは言えます。
私…頑張ってみます。
どこまで頑張れるかはわかりませんけど…皆が見守ってくれるなら頑張れる気がするんです。
だから…」
そして抱きついたままシヴルの顔を見上げた。
「一緒に、頑張って…くれますか?」
な、なんて卑怯な攻撃…っ! そんな風に言われたんじゃ…
「お…おう……」
断るにも…断れないじゃんか…いや断る気は―――――あああああああ…もう恥ずかしくてたまらん!!!
「も、もういいだろ! 離れてくれよ!!」
「…もうちょっとだけお願いします」
「え、えええええ?!?!?!」
勘弁してくれ…
「…何とか一件落着ってとこか?」
「そうね。リティちゃんも立ち直ってくれたし、
シヴルのヘタレもさらに磨きがかかlt――――――――――――――」
次の瞬間、何かものすごい速さの衝撃波がミューゼを襲い掛かった。
光速といわんばかりのそれ。もちろんミューゼが避けられるわけもなく
彼女は数十メートル程、盛大に吹っ飛ばれた。
はい、という話でした。どうでしたか?
前編の続きですが、もしこちらの思いを精一杯伝えても相手がその気持ちを変えないというならば、劇中のシヴルが言った通りもう何も言わない方がいいかもしれません。こればっかりは時間が解決するしかないですからね。あと出来る事は見守ってあげる事でしょうか。もし相手が何かしようとしたら止めてあげればいいし、してしまったらもう一度こちらの気持ちを伝えるまででしょうね…。そう思うとシヴルはとても危ない賭けに出ている気がしてしまいますねwww
この意見ですがあくまでこれは私の今の意見であり「ひとつの答え」です。私はまだ若輩者ですからこれからの人生でまた考えが変わる事があるでしょうしね。
もしこれを読んでいるあなたが「おかしくないかそれ?」と思ったとしても当たり前ですからね?
それもまたあなた自身の意見ですからね。その気持ちを大切にしてください。
長文、愚文、そして劇中のツッコミどころ満載のオチ。ここまでお付き合い下さってありがとうございました!
次の更新はまた未定ですが…本当に完結させるつもり(おい)なのでまた読んで下さると嬉しいです。本当にありがとうございました!




