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狭間のアンテルヴァル  作者: 小木雲 鷹結
無貌の者たち(上)
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3-1 ~二日目:深き淵の者~ シンガイ

 アンテルヴァルの朝は「騒々しい」の一言に尽きる。

 陽が昇る前から多様な職種の人間が活動を始めるからだ。日常的な品物を扱うパン職人や鍛冶師から、開拓者や魔導士にしか必要ないであろう道具を扱う道具屋に魔具師と、この都市に定住している殆どの商人が一日の商売を始めるために動き出す。

 先述のパン職人であれば、太陽が顔を見せる前には多くのパンを焼き、光が都市を照らし始めると同時に都市の商人相手にパンを売り始める。道具屋なんかも、早朝に都市を出ていく開拓者のために朝早くから呼び込みなどをやっていることが多い。

 これらは露店も同じことで、夜間の露店は都市の法律によって規制されているものの、陽が少しでも見えるようになれば通りに露店を開くことが許されているのだ。

 商業都市ならばどこも似たような光景が広がるかと思われるかもしれないが、アンテルヴァルは数ある商業都市の中でもかなり特殊である。その理由は、客の大半が開拓者であるからだ。

 彼らは日々未開拓地へと赴くのだが、その危険性から未開拓地で一夜を明かすパーティは無いに等しいと言って過言ではないだろう。それ故、少しでも長く開拓するために、開拓者は陽が昇ると同時に都市を出る。つまり、開拓者の朝は早いのだ。

 客の朝が早いのならば、店の朝はより早くて然るべきだろう。アンテルヴァルは開拓の最前線からは遠のいたが、それでも完全に開拓され切ったというわけではない。そういうわけでこの都市は未だに朝から騒々しいのであった。

 ――しかしながら、ユクラシア調停機構から出向いてきた二人がいるこの場所の喧騒は、いつもの騒々しさとは違ったものが含まれていた。

 大通りを外れて脇道へと逸れ、入り組んだ小道を進んだ先にある狭い路地裏。いつもならば湿った嫌な臭いの充満するこの場所は、現在はむせ返るほどの血の臭いと腐った肉が放つ腐臭によって汚染されていた。

 路地では都市の警察組織――番犬騎士団の団員が現場検証を行っていた。遺体の身元や犯罪に使われた凶器などのあらゆる情報を集めているようだ。悲惨な殺害現場に慣れていないのか、道の脇で青い顔をして口を押さえている若い騎士もいた。

 そんな中、調停機構で唯一の()()()、シンガイは目の前の光景に顔を(しか)める。

 その凄惨さには目を見張るものがあった。シンガイがユクラシア調停機構に属する人間として今まで関わってきたどんな事件現場よりも(むご)い死体があったのだ。

 被害者は男。壁に寄りかかるように座った状態で発見された。腹部は鳩尾あたりから縦に切り裂かれており、そこから流れたであろう大量の血が足元の石畳の隙間へと染み込んでいた。流れ出していたのは血だけではなく、内臓のようなものが死体の傍に零れ落ちている。

 そして―――男の腹部は、大きく開かれ、壁に縫い付けられていたのだ。

 腹部の切り込みを強引に外側へと広げられた状態で、男の腹部は皮膚と筋肉が綺麗に分けられ、壁に黒い杭のようなもので打ち付けられていた。そこから見える腹部の内臓はあまりにぐちゃぐちゃになっており、医師でもないシンガイにはどの部位なのかは分からなかったが、紐状(ひもじょう)のものだけは腸だろうと予想がついた。

 こんな殺され方は尋常ではない。明らかに人間が行う殺人の域を凌駕している。

 人間ではない何かが関わっていることは確かだ―――それは唾棄すべき事実である。


(番犬騎士団の団員に続き、これで二体目か……。よりにもよって、未開拓地からそう遠くないこのアンテルヴァルで人間以外の何かが活動しているとは………)


 それはつまり、ここ狭間の都市(アンテルヴァル)が再び未知の恐怖に襲われている可能性が示唆されているということになる。

 目を向け難い現実に、シンガイは一つため息を漏らす。


「シンガイさん!」


 そこで名を呼ばれ、死体から目を逸らした。

 視線の先には一人の騎士が駆け寄ってきている姿があった。

 胴や腕など身体の要所を守護するための金属防具をあてがい、それ以外の部位には部分的な鎖帷子(チェインメイル)を纏わせている。その上からユクラシア調停機構に所属する騎士、調停騎士たる象徴の片マントを律儀に身に着けていた。戦闘任務が主となる調停騎士で戦いに向かない片マントを装着している者など、礼儀の正しい新人くらいなものだ。

 しかしこの新人騎士、見る人が見れば片マント程度で戦闘に支障が出るような騎士ではないとはっきりと分かる。体格に恵まれているわけでもなく、表情も柔らかく、物腰も柔らかなこの青年は、騎士学校を首席で、しかも開校以来の最高成績を修めて卒業したのだ。その証として彼の腰には騎士学校の文様が刻まれた剣が提げてあり、その柄には魔法的な効力を有する石がはめ込まれていた。

 《聖域(サンクチュアリ)》の魔法の剣――彼の持つ剣はそう呼ばれた。その価値は伝説に語り継がれる魔剣にも等しいと言われるほどである。

 そんな彼が手帳を手にして走って来たのは、何とも奇妙な光景に見えなくもない。


「終わったか、クレルヴォ」


 シンガイは相棒の調停騎士に問いかける。

 すると訊かれたクレルヴォは、息を弾ませもせずに「はい」と応えた。


「番犬騎士団の調査によりますと、被害者は偽薬の売人。学の無い貧民層を主な対象に、適当な問診と触診を行い、本来は高価な薬であると偽って薬草の粉末を売っていた模様です。数件の被害の届けがあったようですが、決定打には至っていなかったとのことですね」

「犯人の見当はついているのか?」

「まだです。これだけのことをしでかすような人間ですから、相当な恨みを抱いていたのでしょうね。……あ。犯人の目的も不明です」


 その後もテキパキと番犬騎士団の現場指揮官から聞いた話を伝えるクレルヴォ。いくつかの事柄については情報を得ることが出来たが、やはり不明な部分が多い。昨日の今日で全てを調べ上げろ、という方が無理難題だが。

 クレルヴォからの報告を聞き終えると、何となしにシンガイは再び死体に目をやった。


(どうして犯人はこんな殺害方法を選んだ?)


 そこが腑に落ちなかった。

 偽薬の売人がいくら恨みを買っていたとしても、言っては悪いが所詮は偽薬程度だ。金以外に損失は無いし、たとえそれが原因で今回の殺人に繋がったのだとしても、このような殺害方法で、しかも人目に付くような場所に死体を放置していく理由が分からない。

 売人に対して個人的な恨みを抱いていない猟奇的殺人犯の犯行だとするのが妥当な線なのかもしれないが、この一件には『猟奇的』などという一言で済ませてはいけないような何かが隠れているような気がするのだ。まるで食い荒らされたような男の内容物を見ると、そんな気持ちが掻き立てられる。

 そこでふと、シンガイの視界に気になるものが映った。

 死体から数歩離れた場所にある細長いそれを拾う。その行為を隣で見ていたクレルヴォが不思議そうに言った。


「煙草ですか、それ?」

「らしいな。クレルヴォ、被害者の男は煙草を吸っているなんて話、あったか?」


 訊くと、クレルヴォはメモ帳をパラパラと(めく)った。


「そこら辺は調査中だと思いますけど……持ち物には煙草は入ってませんでしたね」


 彼の言葉に、シンガイは少し悩む素振りを見せる。


「煙草を吸う人間の犯行か………」


 何気なく発した一言だったが、クレルヴォはすぐさま反応した。


「いや、それは違うと思います。というのも、あの死体の切り開かれた腹部の傷跡が、刃物で切られたような綺麗なものではなく爪などで切り裂かれた裂傷に似ていたからです。人間にあの傷跡を作りだすのは難しいんじゃないかと」


 言ってからすぐに彼は「しまった」といった表情を作る。調停機構では先輩にあたるシンガイに口答えとも受けとれる行為を取ってしまったからだ。

 シンガイは依然として苦い表情を崩さなかったが、クレルヴォに対して続きを促すように一度頷いて見せた。


「えっと……その煙草は二日以上前からたまたま転がっていたという可能性も無いとは言い切れませんけど……生死を分ける騒動になっていたにも関わらず風や何やらで飛んでいかない方がおかしいと思いますね」


 彼の言葉に、シンガイは黙って首肯する。話の行く先は見当が付いたが口出しする必要もないと思っているのだ。


「しかし被害者は煙草を所持していなかった。人間以外の生物が煙草を嗜むとも思えませんし……必然的に、人ではない何かを使役している人間の犯行となるのではないでしょうか?」


 シンガイは満足そうに、しかしながら固い表情のままに頷いた。

 クレルヴォの推理は実に的を射ていた。人間が実行犯というわけではないが、少なくとも人間が関与していることは確かである。そして人間以外の何物かが人間を襲ったという事実があるのならば、やはりこれはユクラシア調停機構も関わるべき山なのだ。

 シンガイはクレルヴォへ煙草を差し出す。顔色を窺うかのごとく伏し目がちにシンガイを見ていたクレルヴォだったが、すぐさま意図を理解して、煙草を受け取ると番犬騎士団の現場指揮官のもとへと走り去っていった。


(騎士団の連中はゴミだと考えていたようだが……)


 実際、煙草の吸殻が道端に落ちていることはある。しかしながらアンテルヴァルでは煙草の製造はしていないのだ。他国から流入してくるものも無いとは言えないが、未開拓地に近いこの都市では煙草のような無駄な嗜好品は好まれる傾向にない。そのため、煙草の一本ですら犯人を突き止める重要な手掛かりとなる可能性があるのだった。


(可能性としては、都市に定住する煙草吸いか、行商の類か、あるいは最近になってこの都市へ入って来た個人、団体か)


 これでかなり絞られたとはいえ、アンテルヴァルのような巨大都市ともなれば対象となる人物はまだまだ多い。千が十になるならば話は早いが、百万が万になったところで苦労することは必至だろう。

 視界の端にこちらへ走ってくるクレルヴォを認め、彼に背を向けてシンガイは路地を出る。

 店が口を開けて並び待つ通りを少し歩いているとクレルヴォが追い付いてきて隣へ並んだ。彼が身に着けているはずの鎖帷子(チェインメイル)の金属音は殆ど聞こえない。


「これからどうします?」

「一応、本部へ戻る。こいつはユクラシア調停機構(うち)が処理するべき案件かも知れん」

「や、でもそれならもう少し調査をしていかなくていいんですか? 煙草を残していくような相手ですから、注意深く探せば何かしら見つかるかもしれないじゃないですか」

「そんなものは番犬の仕事だ。今回、俺たちが動くのはあくまで『人間ではない何者か』の存在を突き止め、危険ならば排除するためだ。犯人を見つけることじゃない」

「いやしかしですね、あちらの調査に協力できるならば―――」


 なおも口を閉じないクレルヴォは追加調査に関しての話を続けようとする。

 シンガイはその光景に――目を向けたわけではないが、一つため息を吐いた。

 調停騎士クレルヴォ・タルヴィティエは正義感に篤すぎる嫌いがある。全ての事件に対して全力で取り組む姿勢については良しとしているが、彼が関わる事件の全てに深くまで首を突っ込もうとするのだけは止めて欲しいとシンガイは考えていた。適材適所という言葉があるように、ユクラシア調停機構と番犬騎士団とでは役割が違うのだから。


「お前は忘れているようだけどな……俺たちの仕事は強大な力を刈り取ることだ。その場しのぎの正義の味方になることじゃない」


 ユクラシア調停機構に所属する人間のうち、調停騎士以外の者は全て『英雄』とも呼ばれるべき強さを誇る調停者だ。シンガイならば魔導の始祖と謳われたエルミアに、シンガイよりも先輩である龍人種(ドラゴニュート)のリュウオゥならば剣王ディーンに並べ称されるほどの実力者なのである。

 そういった英雄級の人間を集めているからこそユクラシア調停機構はあらゆる事象に関与する権利を与えられており、数少ない英雄級を独占しているからこそ無駄なく戦力は分配されなくてはならない。


「それは…………」


 シンガイに言われ、クレルヴォは言葉を濁らせる。

 クレルヴォは調停騎士の中でも有能な部類に入るが、調停機構からすればサポートが主な調停騎士(クレルヴォ)よりも実務が主な調停者(シンガイ)の方に優位性がある。そのため、生真面目なクレルヴォはシンガイに強く出られないことが多々あるのだ。

 それに、とシンガイは続けた。


「他の調停者は前線に出払ってる。俺たちが本部で待機せずに調査をしていたら、俺たちを頼ろうという輩に迷惑をかけることになるだろ」


 アンテルヴァルは広大だ。故に人捜しも一苦労である。

 不満そうではあるが、それ以上のことは口にしなくなったクレルヴォ。彼は足元に目を落としながらシンガイと並んで歩く。

 シンガイもそれ以上は特に何も口にしなかった。

 それから十数分後、二人はユクラシア調停機構の本部―――本部と言えどもそれ程大きな建物ではない―――へ到着する。現場からあまり離れていないことが幸いし、馬車などを手配せずに済んだのだ。

 玄関口から扉を開けて中へ入ると、受付に座る女性の調停騎士が軽く会釈をしてくる。クレルヴォは律儀に礼を返すが、シンガイは何の反応も見せずにずかずかと受付に近寄った。


「何か情報は入っているか?」


 不躾に質問を投げかける。本来ならば調停者が出なければならないような重要情報は機構長が取り次いで調停者へ伝達するのだが、生憎、今この都市にいる調停者はシンガイだけなのだ。他の調停者は開拓前線の遷移に伴い、自らも前線へと移動してしまっている。機構長も例外でなく、二年前にシンガイを置いて前線へ出向した。

 そのため、シンガイやクレルヴォが出払っている時は全ての情報は受付へ流されることになっていた。

 しかし受付の女性騎士は首を左右に振る。


「申し訳ありません。シンガイさんがお調べになられている事件の情報は一つも入っていません」

「そうか。まぁ、気にするな」


 情報が入っていないのはお前の責任ではない―――そう続けようとして、シンガイは言葉に詰まる。


「…………。……俺たちの調べている事件の情報“は”一つも入っていない、と言ったな? ということはつまり、関係の無い情報は入ってきているのか?」


 女性騎士は、今度は首を縦に振った。


「はい。お二人が出られて十分ほど後に、騎士学校の生徒と名乗る女性がクレルヴォさんを訪ねてこられました」

「え? 僕をですか?」


 不意を突かれたように頓狂な声をあげるクレルヴォ。

 シンガイは不審者を見るような目を彼に向けた。


「お前、まさかとは思うが、騎士学校の生徒に手を出してはいないだろうな? 確か、騎士学校じゃ相当な人気があったようだが…………」

「ち、違いますよ! そんなことありませんって! 断じて!」


 クレルヴォは全身で否定を示す。彼に助け舟を出すかのようにして、受付の女性騎士も口を開いた。


「えっと……クレルヴォさんの言う通り、そういった要件ではなかったようです。それに、クレルヴォさんの人気は騎士学校だけじゃありませんでしたし」


 シンガイを宥めるように言ったつもりが、一言余計だったらしい。シンガイはさらに厳しい視線をクレルヴォへ送った。

 彼を直視できなくなったクレルヴォはシンガイから目を逸らし、女性騎士に先を言うように促す。


「そ、それで、名前は聞いてますか?」

「あ、はい。ええと………」


 女性騎士は受付の内側にあるカウンターに置いたメモ帳をパラパラと捲り始めた。


「……お名前はユルセラ・フロッテンシュトール。騎士学校の上級生で、既に最高ランクを取得されているようです。ご用件は―――」


 彼女はメモに書かれている内容をそのまま読み上げる。

 先日、小規模な犯罪組織を壊滅させる任務へ赴いた際、『気』を用いる一人の戦士に敗北した。先輩から戴いた様々な道具を駆使しても敵わなかったのは、単に自分の技量が劣っていたせいだと分かっているし、よくチームを組む同ランクのレファリアが不在だったことも承知していたにも関わらず二名の学生騎士を失ってしまったことには責任を感じている。しかし自分では蒼光の剣の力を解放してもその戦士に歯が立たず、かといって騎士学校の教師が何とかできる度合かと問われても疑問が残るほどである。

 そのため、親愛なる、そして頼りになるクレルヴォ先輩に、ひいてはユクラシア調停機構の皆様にお力添えをしていただきたい。その戦士が《深淵歩き》という組織に属する、煙草を吸っている男だということは判明している。こちらでも引き続き対策を練るが、ユクラシア調停機構の方でも《深淵歩き》への警戒を強めて欲しい。


「―――とのことでした」


 話を聞き終ると、クレルヴォは難しい顔をする。


「その学生騎士はお前の後輩らしいな。知ってるんだろ?」

「ええ、はい。僕が学生騎士だった頃、よく一緒にチームを組んでいた子です。レファリアって学生騎士もそうなんですけど……」

「どうした? 何か気になる点でも?」

「……ユルセラがそんじょそこらの戦士に負けるとは思えないんですよ。いくら相手が『気』を使う戦士だったとしても、彼女だって『気』の運用は出来ますし、それに僕があげた魔法道具(マジックアイテム)も幾つか使用しているはずです。その彼女が負けるなんて……」


 心底信じられない様子だった。それほどクレルヴォはその後輩に信頼を置いていたのだろう。

 騎士学校を首席で卒業したこの男がこれほどのことを口にするのだから、ユルセラという学生騎士はよほど強いはずなのだ。―――しかし、それ以上の強さを《深淵歩き》の男は持っている。恐らくは、クレルヴォと同程度か、それ以上。

 シンガイは普段から不機嫌そうな顔をより一層、腹の底が煮えくり返っているかのような表情へと歪めた。

 ユルセラが酷い目に遭ったという事実を胸にしまい込み、苦い顔をしたままクレルヴォはシンガイへ顔を向ける。


「……シンガイさん。僕たちユクラシア調停機構も《深淵歩き》を追うことは出来ませんか?」

「その《深淵歩き》とやらは今回の事件に関わっている可能性が高い」

「え?」

「お前の後輩が負けたって男は煙草を吸ってたんだろ? 現場にも煙草が落ちていたんだ。ならそれを関連付けて考えた方が危険は少ない」


 シンガイは受付の女性騎士に向き直る。


「その学生騎士がまた来るようなことがあれば、もう少し情報を聞き出しておけ。それから、他の調停騎士にも《深淵歩き》の情報を集めるように指示しろ」

「了解しました」


 女性騎士が深々と頭を下げたのを見て、シンガイはホールの奥へ進む。足音からクレルヴォも追従してきていることが分かった。

 多くの調停者と調停騎士が出払って閑散としている本部の休憩室へ、二人は向かう。




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