エピソード003「毒舌妹キャラ?「アユ」登場」
迷探偵コンビ「岡本」と「宇都宮」は、内臓売買の件について何らか情報を持っているらしい「SOHOにある寂れたアダルトショップの店長」を訪ねる。
事前の調査で、店長「東野」が「過去の内臓売買事件」に関与した事がある事は調べが付いていた。
岡本:「別にオタクに迷惑かけるつもりは無いんですけどね。コッチも「被害者のご両親」に毎日泣きつかれて困ってんですよ。 どうです、日本人の誼みで、協力してもらえないですかね。 心当たりだけで良いんです。」
東野:「俺も要らん疑い掛けられるんわ、かなわんしな、…「俺から何か聞いた」言うだけで、下手したらココで商売出来ん様になってまうんは、避けたいわけや、…悪いけど、他当たってくれるか?」
最初から最期迄「非協力的」な態度の「東野」に、アカラサマに苛立を隠せない「宇都宮」、一方で「岡本」は、…意外に冷静と言うか、余裕の表情。
岡本:「そうですか、まあ、痛くも無い腹探られるのは気持ち良いもんじゃないと言うのは解りますが、…それでもオタクは「何か知ってる」って言う事ですよね。 だって、最悪シナリオが「商売出来なくなる」って知ってる。」
東野:「別に、だからどないや言うねん?」
岡本:「私らもこう言う商売ですから、情報提供者には最大限迷惑かけない様に気を付けますけど、そうでない人に対する「守秘義務」は発生しませんからね。」
東野:「何考えてんのか知らんけど、そう言うんは「誹謗中傷脅迫」っちゅうんやないんか?」
岡本:「別に、何も「関係ない」なら、何も「心配する事は無い」んじゃないですか?」
と言う流れで、「岡本」は「東野」から、まんまと情報を聞き出す事に成功する。
今回の事件以外にも「2ヶ月程前にテムズ川に浮かんだ腐乱死体の内臓が抜き取られていた」という事件があった、と言うネタだった。
宇都宮:「大した情報は得られませんでしたね。」
岡本:「それは違うぞ、一回「ネタをバラした」って言うのが重要なんだ。 其れをネタに次につなげられる。 人間は、自分が一回「しでかしてしまった事」にはどうしても肯定的になる。 自分でも知らない内に自分のやった事を正当化するんだ。 だから、もう奴は俺達の協力を拒む事は出来ないって、そう言う事だ。」
宇都宮:「でもなんかあのオヤジムカつく!」
岡本:「もしかして、お前関西人苦手なのか?」
「岡本」は、歩きタバコに火をつけて、…一息に葉っぱを燃やし切る。
それからもう一本、…チェーン・スモーク、
岡本:「しかしまあ、今ん処八方塞がりなのは、お前の言う通りだな。」
岡本:「どうだ、気分転換に飲みに行くか?」
宇都宮:「こないだ言ってた店ですか? 可愛い子が居るって。」
岡本:「ああ、ロンドンに居られるのも、もうそう長く無いだろうしな。」
岡本:「…言っとくけど、割り勘だぞ。」
ピカデリー・サーカスの駅から程近い一画の、地下へ通じるドア、
ドアの前には、ガタイのデカいハンサム顔のイギリス人が立っていて、「岡本」の顔を覚えていたのか、少し愛想笑いする。
地下への階段を降りて、もう一つ扉を開けると、
黒服で清楚な感じの日本人女性「かほる」(ママ)が迎えてくれた。
かおる:「いらっしゃいませ。 今日はお二人ですか?」
岡本:「ああ、入れるかな。」
女の子がおしぼりを持って来てくれるのと、店長「エガワ」が挨拶に来るのとは略同時だった。
エガワ:「何か、進展は有りましたか?」
岡本:「全然だな、こないだ教えてもらった「ツテ」、何か知ってそうだけど、簡単にはゲロしそうに無いなぁ。」
先日入れたボトルで薄い水割りを二つ作って貰い、
取り敢えず、一回乾杯、と言った所で、二人の女の子が現れる。
一人は先日会った「癒し系美女」=「ケイティ」
もう一人は新しい顔、
アユ:「今晩わ、アユでーす、宜しく御願いします。」
ユルフワな長髪のウエーヴに、グラマラスなボディ、胸は、Gカップか!? それなのに少し大人し目の顔立ちのギャップ感は、…何だか「イケナイ妹キャラ?」を想像してしまう。
アユ:「ちょっとぉ、違うでしょー、こう、もっと手を振る!」
それで、1時間もしない内に、…何故だか「宇都宮」は「アユ」からカラオケの振り付け指導を受けていた。
宇都宮:「こう、っすか?」
アユ:「だぁめ、全然違う、なに頭悪いの?」
上品に笑いながら、「ケイティ」が「岡本」の水割りをこしらえて、
氷で冷えて濡れたグラスの周りを拭いて、コースターの上にセットする。
ケイティ:「お二人は、どう言う御仕事されてるんですか?」
岡本:「あら、店長から聞いてなかったのか、なに、一寸した「調査業務」だよ。」
ケイティ:「もしかして「探偵」さんですか、…凄いんですね、」
岡本:「別に、シャーロック・ホームズ程有名じゃないさ、」
隙間無く詰めて座った太股から、疲れを忘れさせてくれる様な、穏やかな熱が、伝わって来る。
ケイティ:「今は、どんな事件を調べられてるんですか?」
岡本:「「守秘義務」って奴が有ってね、無闇に情報を漏らす訳には行かないんだな。コレが、…」
エガワ:「帰ったの?」/ケイティ:「ええ、ついさっき、」
エガワ:「何か解った?」
ケイティ:「新しい事は特に、「遺族からの依頼」だって言う事と、「その遺族と言うのが「流石製薬」の役員」だって事、それと「今日のパンツは赤色」だって事位かな。」
エガワ:「「流石製薬」って、大手に医療用生化学材料を卸してる会社だよね、確か軍事関連で「怪しい薬」の研究もしてるとか言う噂の有る。…よく、其処迄喋ったな、もしかして結構飲ませたの?」
「ケイティ」は、怪しげな液体の入った「スポイト」を指で摘んで「エガワ」に向ってにっこり微笑んだ、
ケイティ:「ほんの一寸だけね、」