もしも…
そんな中で、何ヶ月かが過ぎ、今年も「吹奏楽コンクール」がやってきた。
アスベスト処理のために音楽室を追放され、体育館で練習することになったの。暑くてなかなかチューニング(音合わせ)が出来なかったの、覚えてる?
その日は、雲ひとつ無い晴天だったね。きっと君は覚えてないんだろうな…
私は、君の前で君のことがまだ好きなんだって話を友達としてたの。あれは絶対に聞こえてたよね?その時は本当に焦った。「何でここにいるの!?」って思わず叫びそうになっちゃったよ…その後、散々君が他の部員(後輩)にいじられてたの見たんだ。その子たちはきっと私が話してたの聞こえてたんだね。きっと君もそのことでいじられてたんだよね。いつも困らせてばかりだね。本当にごめんね…
でも、その後、信じられない事を聞いたの。それは君が私のことが好きだっていうこと。
確認もしてないし、盗み聞きだったから詳しくは分からないけど…本当なのかな。それが本当だとしたら、今はどう思っているの?好きでいてくれてるの?
そんな希望を胸に、コンクールに出た。曲は「Ascentium」意味は禁欲・苦行。
その時の私にはそぐわない曲だったかもしれないね。欲があったから…
結果は銀賞。思ってたよりは良い結果だったよね。そうして私の最後のコンクールは終わったの。
「青木さん、楽譜見せて〜」
君がそう言ったのは、音楽室がアスベストから開放されて音楽室が使えるようになって間もない頃。学発に向けての新しい曲が配られて、そのCDを聞いてる時だった。
君は何故か楽譜を持って無かったね。何でかな?今聞いても仕方がないけど…。それは昨日やった「パイレーツ」の楽譜だったと思う。
私はそれを承諾して一緒に楽譜を見てた。でも、正直それどころじゃなかった。
緊張して、どきどきして、…楽譜、見てなかった気がする。
その日のうちに聞いた話。それもやっぱり盗み聞きだったけど、
「今日のあの二人、ラブラブだったよね!」
「あ〜今井でしょ?」
そう言ってたの聞こえたの。
それって誰と?すっごい気になって、「誰がラブラブだったの?」って聞きたかった。でも、勇気無かったな…結局聞けず仕舞い。
もしも、それが私だったら…そんな事を考えてた。ずっとね。でも、違ったんだね。
最近…だね。部活の帰り道、君はいつもみたいに同級生の女子にいじられてた。そこでその女子は君のノートを窓から投げようとしながら
「お前さぁ、今ここで告っちゃえよ!そこにいるだろ?」
そんな発言をした。それに対し君は
「…そっちの方がいい。」
って言ってた。気になってそっちの方を見てみたの。
パーカスの子…だったね。君の好きな人。
最近、とは二週間ほど前のことです。見なきゃよかったって思いました。そうでなかったら夢をみていられたのに…と。




