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第6話:森の奥で


 狼魔獣を退けた場所から更に20分ほど歩みを進めたころ。途中何頭か魔物に襲われたがどうにか退けてとうとう探していた場所にたどり着く。


「ここだね、そしてたぶんあれが原因だ」


 セルドは深刻な顔で指をさす。すぐに分かった。枯れ果てた木々の中にかなり立派でどす黒い樹木がそびえたっていた。枝はねじれにねじれ、根っこは不自然なほどに盛り上がっている。葉っぱもやたらととげとげしい。


「あの樹から瘴気が漏れ出して周囲の木々をむしばんでる。これ以上近づくのも危ないかもね」


「あれが......。なんであんなことになってるんだ?」


 セルドが目を閉じて集中している。しばらくして目を開けたセルドは黒い樹木と別の方向を指さす。


「たぶん、あっちにもっと大きい原因がある」


「わかるのか?」


「うん、エルフは森の様子を感じ取ることに長けているからね。行ってみよ?」


 黒樹木から3分ほど、目の前に広がっていたのはとんでもなく大きな切り株と乱雑に切り倒された木の痕跡だった。


「これは......、ひどいなんてもんじゃないな」


「うん。この大きな切り株はたぶん......」


 その時、2人の頭に声が響く。


『ここにたどり着いたのですね』

姿はない、今回は声だけのようだ。


「この声は、リーキア、か?」


『ええ。カーウェン・ランドルーク、よくここを見つけられましたね。そちらのエルフのおかげでしょうか』


「あなたがここの精霊、なのですね。初めまして、セルド・ルミナフォレスと言います」

 セルドは敬語を使えるのか、などとルークは余計な考えてしまう。


『ルミナフォレス......ルミナの森の者ですか。ならばここにたどり着くのも納得です』


「リーキア様、でしたね。あなたはもともとこの樹木に宿っていたとお見受けしますが」


「ええ、その通りです。しかし100年ほど前に訳あってこの森を数日離れたうちに切り倒されてしまい......」


『やはりそうですか、私もその時期からこの森の元気が失われていったような記憶があります』


 二人の会話に割って入れないルークはひたすら話を聞くことに徹底することにした。

セルドと声だけのリーキアの会話は理解するのが難しい。


「要約すると......

・かつてここにあった大木と周囲の木々が切り倒された。

・その後あの黒樹木が発生してしまった。

・黒樹木のせいで木々や動物に悪影響が出るようになった。

・そのせいで人間が森に近づかなくなり、リーキアは対抗する力を失い始めた。

といった感じか。初めて会った時も人間が来るのは50年ぶりとか言ってたもんな」


『その通りです。力を失ったせいで私が姿を現せるのもルークと出会ったあの辺りだけなのです』


「たぶんだけど、この大木は”わざと”切られた気がする。この森と交流があった人間が切るとは思えないし、あの黒い樹木の発生もタイミングが良すぎる気がする」


『ええ、私もそう思います。この森を陥れたい何者か......』


「俺にできることはあるのか?あの黒い樹木をどうにかすることは......」


「それこそルークがこの森で生活することじゃない?ルークも実感あるでしょ?何かを生み出してこの森がちょっと良くなっていく感じ」


『その通りです。ルークがこの森で木を伐り、その木で何かを作る。そして授けた加護で力を吹き込む。それが私とこの森に力を呼び戻す。さすがはルークの運命の相手。ルミナの森のエルフ、セルド、でしたね。ルークとともにこの森を建て直してもらえませんか?』


「もちろんです!こんなに面白いこと、頼まれなくても協力します!」

豪快な笑みを浮かべてセルドは言い放つ。


『フフッ、頼もしい限りです。ではよろしくお願いしますね。この森の為に快適な生活を送ってください』



ーー帰りの道中ーー



「なんか、加護が便利すぎるなとは思ったが、そうでないと意味がないのか......」


「そういうことだね、だから遠慮しないで使ったほうがいいよ?」


「そうするよ。誰にも真似できないくらいに快適な生活を送れるようにする。なあセルド」


「うん?」


「改めてよろしく頼むよ、この森の為に」

ルークは手を差し出す。


「こちらこそ!」

セルドはがっちりと握手する。鍛えこまれた手が頼もしく思える。


「とはいっても、何から手を付けたものかな。木を切らないといけないし、食材の確保も大事だ。水も、無限ではないよなぁ」


「そこで提案があるんだけどさ、ゴーレム作ってみない?」


「ゴーレムって、あの魔力で動く小さい人形か?」


「そうそう、よく知ってるね!ゴーレムは本来魔力で動くから定期的に魔力を補充しないといけないんだけど、もしルークの加護で作り出せたら......」


「魔力切れを起こさないゴーレムができる、ってことか!」


「そう!もしできたらこれは革命だよ!ゴーレムたちは力が強いし言葉も理解してくれるから、簡単な命令ならこなしてくれるよ!」


「それいいな。よし、じゃあ早速やってみるか!」


 二人は新たな目標に向けて新たな一歩を踏み出した。




















本日18時にも投稿予定です。

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