第14話:これが日常になるのかな
昼食を終えた4人。肥料樽が完成したことでフィルドが肥料づくりにとりかかる。動物の内臓と落ち葉や腐葉土から作り出せるらしい。
「ルークの力と俺の才能で何が起こるのかねぇ。ワクワクしてくるぜ。」
中に材料を入れ、蓋をする。
「これで明日の朝には肥料が完成してるはずだ。肥料づくりの才能様様だぜ」
「明日って、だいぶ早いな。それで、ここからどういう流れになるんだ?」
ルークが尋ねる。実家でも農業はやっていたが、騎士の鍛錬に明け暮れていたルークはほとんど手伝っていなかったため知識はほとんどない。
「完成した肥料を土に混ぜて、うねを作って種を蒔いて、だな。種まきから収穫まではファムの本領発揮って感じだから楽しみにしてくれ!」
「ふーん、なるほどな。楽しみはお預けか。じゃあ俺は木工作業に戻るかな。売り物とかも作らなきゃいけないし」
「確かにそうだな。俺はどうしようかな......俺は農業とスケッチくらいしか得意なことないからなぁ」
「お!それなら設計図、というか絵でいいんだが俺に作ってほしいモノの絵を描いたりできるか?実現できるかはともかく、色々アイデアが欲しいんだよ」
とフィルドに提案するルーク。
「なるほど、任せてくれよ!よーし、ガンガン描いちゃうぞー!」
そう言うとフィルドはその辺の地面に座り、家から持ってきたであろうスケッチブックに次々と描き始めた。
その近くでルークは籠を作る。本来はツルで作るようなものを木で作るのだから、あまりおしゃれな見た目ではないが頑丈でいっぱい入るものを作る。まずはここにいる4人分と、売るための試作品分。実際に使ってみて後から改良するためのものだ。
セルドは専用型ゴーレムの設計図を作り、ファムはウーギーやピールナと戯れながら夜ご飯の用意もしてくれているようだ。
穏やかな昼下がり、ルークはささやかな幸せを感じていた。流れからこの森に住み始めたが、なんだかんだ出会いに恵まれて自分の生活が豊かになっていく。こんな日常が続けばいいなと思い始めるルークであった。
その晩ファムがふるまってくれた料理も実においしいものだった。
翌朝、日が昇るころに外に出るルーク。そういえば実家では鶏を飼っていたなぁと思いながら外に出る。セルドは変わらずトレーニングをしている。今日は丸太を持ち上げている。1mくらいある丸太を両手に一本ずつ持つのはどうかと思うが。
「あ、ルークおはよう!今日も筋トレ日和だね!雨が降ってないと外で運動しやすくていいよねー」
「おはようセルド。運動はともかく今日雨が降っていないのはありがたいな。なにせファムが畑の種まきをしてくれる日だからな」
などと話しているとフィルドとファムが起きてくる。
「二人ともおはようさん。昨日は疲れてぐっすり眠っちまったぜ」
「おはようございます。今日はいい天気ですね!」
それぞれに挨拶を返すルークとセルド。フィルドは肥料樽を確認しに行く。
「お、いい感じにできてるな!これなら今日は畑仕事を進められるな。本当は日が昇る前が良かったが仕方ない」
「そうね、ルークさんたちは大丈夫かしら?朝ごはんも畑仕事終わってからになってしまうけれど......」
「もちろん!見学してもいいかな?こういうの好きなんだよねー」
「そうだな、丸投げするのも気が引けるし」
「よーし、俺がさっさと畑を完成させてファムに後を任せるか!まずは樽を畑まで運ぼう」
そういって樽を横倒しにする。転がした瞬間、樽は畑に向かって勝手に平地を転がり始める。
「おいおい、勝手に転がってるぞ!しかもこのままだと大きめの石にぶつかっちまう!」
勢いよく転がる樽。石にぶつかる!と思ったその時、樽はその勢いのまま石を迂回してそのまま畑に向かう。そして畑に到着すると樽は縦に自立した。
「「なんで???」」
夫婦が声をそろえて疑問を呈す。わかるよ。俺も疑問だもの。なんなんだろうな、樽の役割って。
「なるほど、樽は転がして運ぶことが可能だから目的地まで転がって移動するのか......自立したのは蓋が上にある方が便利だと判断したからかな......」
冷静に分析しているセルド。なんというか、一回セルドのことをちゃんと知る必要があるかもしれない。
みんなで畑に移動し、フィルドは肥料を取り出す。フィルドはじっくりと肥料を見ている。
「樽からは何も臭わないのも樽の役割のおかげなのか?中身はばっちり出来上がっているから問題ない。さっそく土に混ぜてうねを作ろう。」
クワをもって肥料を混ぜ込みながら土を耕し、種を植えられるように、土を盛り上げるように整える。
「すごいな、いつもより全然疲れない!めちゃくちゃ効率よく作業が進むぜ!」
土起こしの時のような感じではないが、素人目に見てもすごい速さで種まきができる状態に整えていく。あっという間に準備完了と言ったところだ。
「確かにずいぶん早いわねぇ。さーて、ここからは私の番よ!」
手に持っているのは市場で買ってくれた収納箱。その中にはきれいに整列された様々な種が入っている。
「この箱、傾けてもひっくり返しても全くこぼれない上に開けるたびにきれいに整っているから重宝するわね。さ、みんな畑ですよー!」
ファムが種に呼びかけると、種は風に舞うように移動し、うねの中に入り込む。一瞬の出来事だった。
「「え?終わり?」」
ルークとセルドは思わず声をそろえてファムに尋ねる。
「ええ、いい子たちだからみんな言うこと聞いてくれたわ。さて、水やりをしないと」
ファムはあっけらかんと答える。才能ってそういうもんなのかもな、うん。
「そうだな、水やりの才能は俺らにないからそれなりに大変なんだよな。ルーク、ジョウロ使わせてもらうぜ」
二人はルークが前に作ったジョウロを持って水を汲み畑に向かう。細かい目は作らず先端のノズルから出るタイプのものだ。
ジョウロから出る水は一定量出たところで勝手に止まる。必要量だけ出るようになっているらしい。
更に充分に湿っているところには水がかからないようになり、そこを避けて水がかかるように動く。
「そろそろ受け入れられるようになってきたな、こういうの」
「そうね、さっきの樽よりはまだ納得できる気がするわ」
水やりしている二人が楽しそうに話している。ルークも加護が何にどう作用しているかを把握しきっていないので、ノートに逐一記録している。
「さて、水やりも終わったし収穫までには時間がかかる。これから何をする?」
フィルドが尋ねる。
「そうだな、次はーーー」
本日18時にもう一本投稿します。




