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八人のアダム  作者: 猪熊洋介
プロローグ
1/41

ピップ

ピップはモルゴンの座席に座って、機体のデータを確認していた。

ふと、いつの間にか雨が降ってきたことに気がついた。雨の当たる音がモルゴンの中に鈍く響く。

(外は明るいし、通り雨だろう)

ピップはモニターで外の様子を確認すると、再びデータの確認を続けた。

「やっぱり、右後脚部の出力が不安定なんだ。シティに戻ったらパーツを交換してみるか」

つぶやきながら、手元のタブレットに表示されたモルゴンの図面にメモを入力してゆく。

ピップはこのモルゴンという自分のスターズを気に入っていた。ギャランシティでスターエンジニアとして働くことになったときからの大切な相棒である。

いわゆる量産機であり、とくに性能が高いわけではないが、作りがシンプルでクセがなく、パーツの互換性が高く改造がしやすい。丸っこいフォルムも愛嬌がある。


そこへ唐突に通信が入った。

ピップの応答も待たずに、ギャラン=ドゥがしゃがれた声で話し始める。

「ピップ。お客さんが何か採掘したみたい。出るわよ。作戦通り、あんたは例の地点で待機」

「はい、ギャランさん」

ピップは応答し、通信を切った。モルゴンの中はふたたび雨の音が響くだけとなった。


(シティに戻ったら、か。無事に戻れるのかな)

ピップは待機モードになっていたモルゴンを起動させた。

周囲に自分以外のスターエネルギー反応がないことをレーダーで確認すると、モルゴンの設定を<浮遊モード>に切り替える。

モルゴンに使われている特殊な金属「ログタイト」にスターエネルギーが作用することにより、モルゴンの重量率が減少してゆく。

98%、95%、90%、80%、70%、55%、……。

ゲージが安定したところで、ピップはモルゴンの四ツ足の足底部にあるジェットを軽くふかせる。

重量が軽くなっているため、モルゴンは軽出力のジェットで持ち上がり、浮遊する。

岩場に隠れていたモルゴンの上部が、徐々に姿を現してゆく。

モルゴンの高さが岩場を超えたところで、ピップは前方向に操縦桿を倒し、軽くアクセルを踏んだ。

モルゴンは浮いた状態で静かに加速し、ギャランに指示された待機地点へと向かった。


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