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屍霊術師ーネクロムー  作者: ELL
3. 樹林の大地
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樹林の大地 23:滞在最後の日

「そうか。これまた若い友人が出来たものじゃな・・・。参ったわい。」


嬉しそうに笑うボルデン王。

ニッっと笑うシロ。


「では、僕達友人としては・・・今日のお昼ご飯くらい一緒に食べませんか?」

「うんうん!!大蛇シリーズ一緒に食べに行こう!」


ボルデン王にまで爬虫類を勧めるんじゃないの。


「うむ。ではお忍びで食べに行こうかの!隠し通路を使えば見つかる事もそうそうあるまい。」


それでいいのか王よ。いや。ボルデン”さん”かな。

小さく微笑ましい溜息が零れた。


「ボルデンさんはちゃんと服着替えてくださいね。そんな恰好でうろついたら直ぐ大騒ぎです。」

「・・・。分かっておる!ポロシャツ半ズボンにサングラスで髪は結わえれば問題なかろう。」

「うんうん!!きっとそれならバレないね。」


サングラスて・・・。ノリノリだな。


「では着替えを持って参るでな。しばし待たれよ。」


そう言葉を残して数分後。再び謁見の間の扉が開く。

ボルデンさんは柱の物陰に隠れていそいそと着替えをしている様だ。


「どうじゃ?似合うじゃろう?」


姿を現したボルデンさんはそれもうただのファンキーなおじいちゃんとなっていた。

逆に目立ちそう!!


「バッチリだよ!!ボルデンのおじいちゃんかっこいい!!」

「ふむ、そうじゃろう!」


すっごい楽しそうな二人。・・・まぁいいか。無駄な思考は捨てて今は楽しんでおいた方が得だ。


「では参ろうか!」


さっきの話にはなかった格好よさげなステッキで玉座を指す。

こんな理由で隠し通路も使われるなんて思ってなかっただろうな・・・。


「そういえば足のエンブレムは隠さなくて良いんですか?」

「おぉ、これか。普段の儂の恰好からしてエンブレムを実際に見ているものは殆どおらぬ。ただのタトゥーにしか見えぬであろう。」

「まぁ・・・良いなら良いんですけど・・・。」

「それにかっこいいじゃろう!」


うーん。まぁお洒落なのかなぁ・・・。気にしていた僕が可哀そうになってきた。

それから僕達は隠し通路を経て王城を後にした。

馬車を用いて商業区まで出て、シロが食べた大蛇シリーズの中で一番美味しかったと豪語するお店に入る。

他愛もない会話に確かに美味しい食事。

友人と過ごす時間というのはかくも心を潤してくれるものだ。

腹ごなしを兼ねてついでに商業区を一緒に見て周る事になった。色んな工芸品店や食品店。武具店まで周った。

大いに笑って、色々話して、謁見の間に戻った頃には既に夕方になっていた。


「いやー。楽しかったわい・・・。あんなに笑ったのはいつぶりじゃろうな。」

「僕達が抜け出してる間に謁見の間に誰も来てないと良いんですけど・・・。」

「ほっほっほ。大丈夫じゃ。謁見の間に儂が居ない間はティエンド様の所に居ると皆が思っておる。今日は違ったがの!・・・心配もかけておらぬじゃろう。」

「それならよかったー!私が色々と連れまわしちゃったから・・・。ごめんねー。」

「何を謝るのじゃ。この上なく楽しかったぞ。ありがとうな。シロ。クロ。それと猫ちゃんとワンちゃんもなぁ。」


そういってエルマーと零号を優しく撫でる。

そしてボルデンさんはいそいそと王に戻った。


「本当に良い息抜きとなった。わが友よ。・・・くれぐれも気を付けてな。何かあれば儂に出来る事なら助力を惜しまんぞ。」

「えぇ、僕も楽しませてもらいました。またスペラクエバに戻ってきたら一緒に”遊び”ましょう。」

「うんうん!!また美味しいご飯食べたり、色んなお店見て周ろうね!!」

「うむ。・・・健闘を祈っておる。」

「ありがとうございます。では。」

「まったねー!!」


そうして僕達は謁見の間を後にして拠点に戻る事にした。

食事は腹ごなしのお店巡りで既に消化されている。

そう。僕達にはまだバイキングが残っているのだ。


「そういえば明日にはスペラクエバを後にするつもりだけど蓄えは大丈夫?」

「うん。クロもお店巡りのついでに買ってたでしょ?私も抜かりなくだよ!」

「それなら心配ないね。オズフォルクの場所も地図で大体教えてもらったし。」

「うんうん!!これから・・・スペラクエバ最後の決戦だね。」


その言葉にエルマーと零号が顔を出す。


「そうだな・・・。まさか日替わりとは思わなかった・・・。今日こそボクは全種類食べるぞ!」

「バウッ!!」


意気込む二匹。


「僕も・・・倒れるまで食べてやる。」

「私だって負けないよ!!一週間分くらい食べちゃうんだから!」


拠点の宿に戻るなり荷物を置いてバイキングに向かう僕達。

意を決した表情の二人と二匹。まるで競う様に料理を取り始めた。


結果はもちろん言うまでもない。完敗だった。何だあの無尽蔵に湧き出る料理は・・・。

食後の温泉も満喫した。・・・・これで一通り思い残す事は無いか。

何か忘れてる気もするけど・・・まぁいい。

僕達はバイキングで満たされ、温泉で癒された体をベッドで労わっていた。


「今日で最後だねー。」

「そうだね。この国も・・・良い国だった。」

「また来ようね!」

「うん。ボルデンさんをまた引っ張りまわしに行こう。」


僕の言葉に笑うシロ。

良い国だった。本当に色々とあったけど、僕達は僕達で居る事が出来た。

何度も挫けそうになった時もあった。

それでも充足した今がある。それで良いんだ。

僕達にはそれしか出来ないんだから。

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