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屍霊術師ーネクロムー  作者: ELL
2. 炎砂の大国
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炎砂の大国 20:炎霊祭

「うっわーーー!!わっくわくしちゃうね!」

「これは・・・楽しみだね。」

「にゃっはーー。思ってたよりすごいな!!」


どこを目指すでもなく自然と足が進む。

出店では肉串や烏賊焼き、何だろう?野菜を何かの生地で巻いたもの?から色々ある。見た事もないものばかりだ。

その他にも的に当てて景品を得るものや、小さな魚を掬うもの。輪っかを投げて棒に引っ掛けるのかな?レクリエーションにとんだものまであるのか。

これは・・・路銀が尽きる予感。

それにしても人が多いな。


「シロ。迷子にならない様にね。」

「クロの方こそちっちゃいんだから迷子にならないでよー?」


ちっちゃい・・・だと・・・・。何かものすごく屈辱を感じる。


「あ、じゃぁこうしておけば大丈夫だね!!」


そういうとシロは僕の外套の端と自分の外套の端を固く結んだ。

まぁ外套長いから邪魔にはならないし・・・意外と良い案かも。


「手を繋いで歩くでもいいけど・・・クロ嫌がりそうだし。」

「うん。何かシロの方が保護者感強くなっちゃうから嫌だね。」


エルマーが失笑する。


「おーーー!!あんたたちもアルジスに来てたのか!!」


聞き覚えのある声。

僕達は呼びかけられた方向へ向かう。僕達が行かなくても既に店には列が出来ている様だけど。


「おじさん!この間ぶりだね!!」

「どうも。」

「こんなに早く再開するとは思わなかったな!!」


露店商のおっちゃん。もとい出店のおっちゃんはガッハッハと笑った。

その隣では一緒に店を切り盛りしている人がせかせかと仕事をこなしている様だけど・・・おっちゃんはいいのか?


「それにしてもお前さん達。アルジスにいつ頃着いたんだい?」

「五日ほど前ですかね?」

「そりゃぁ早い!!あの後俺もすぐにアルジスを目指したんだが一昨日着いたばっかりだ。さてはお前さん達・・・ただものじゃねぇな??」

「ただものじゃないよー!!」

「砂漠越えと言い、嬢ちゃんが言ってる事は本当なのかも知れねぇな!!」


再びガッハッハと笑うおっちゃん。陽気な人だ。


「何売ってるんですか??」

「おう!炎霊祭名物のトカゲ肉の串焼きだ!」


トカゲ肉・・・・遠慮しておきたい気がする響きだ。


「――買ってってくれんだろ??」

「もっちろんだよー!!」


だよね。僕の意志とは関係なく取引が成立した。

列に並んでいる人に関係なく横からシュバッと二本分の串焼きが差し出された。

まんまトカゲの形。これは曲者だな・・・・。お金を手渡す。


「毎度!!お前さん達はお得意さんだからな!特別提供だ。本当はこの長い列に並ばなきゃ買えないんだぜ??」


鼻高々なおっちゃん。ふと何かに気付いた顔。


「そういやお前さん達の名前も聞いてなかったな。俺ぁイドってんだ。」

「あ、そういえばそうですね。クロです。」

「シロだよー。」

「ふん。エルマーだ。」


あれ。エルマー普通に喋るんだ??何か不機嫌?


「ガッハッハ!白黒コンビか!!こりゃぁいいな!まぁとりあえずトカゲ串食ってみろって!!」


何が良いのか。ううむ・・・・トカゲ串・・・・。なんて食欲をそそらない見た目!!

シロが先にハムっとかみつく。


「おーーーーいしーーーーー!!!!!」


おいおい。本当か?騙されないぞ。

恐る恐る横っ腹辺りに噛みつく。

溢れる肉汁。肉自体に臭みは全く無く、程よい香辛料の香りと甘辛い味付け。

これは――。


「おいしい・・・・。」


はよはよと催促するエルマーにも串を差し出す。

エルマーも一口噛みついて恍惚の表情を浮かべている。


「そうだろうそうだろう!!」


満足そうなおっちゃん。まさか・・・この見た目からは想像もつかない美味さ。

世の中には本当に試してみないとわからないものがあるんだな・・・・。この旅で一番驚いたかもしれない。


「それはそうと。白黒コンビは武闘会見に行くんだろう??」

「見に行くというか・・・二人とも出場します。」

「そうだよー!!バリバリ戦っちゃうんだから!」

「ガッハッハ!!そんな冗談には騙されんぞー?」


目を合わせる僕とシロ。

やや間があって驚愕するおっちゃん。


「本当なのか!!??――お前さん達本当にすごい奴だったのか!!」


失礼な驚き方。

でもシロの感じ見たらまぁ・・・何となく心中は察する。


「・・・・こりゃぁ例年以上に応援し甲斐があるな!!俺ぁお前さん達に全賭けさせてもらうぞ!」


全賭け?何の事だろう?

僕とシロは首を傾げる。


「そうか!炎霊祭初めてなら知らねぇのか。炎霊武闘会では順位を予想する賭博をアルジスが運営してんだよ。まぁ売り上げは全部国の為に使われるから国民も気兼ね無く参加出来るって訳だ。」


そんな事までやっているのか。抜け目ないなぁ・・・。


「クロとシロの二位予想に半分ずつ賭けるからな!!どっちも負けんじゃねぇぞ!!」


思わぬところから発破をかけられた。楽しそうなおっちゃん。

まぁ・・・賭博はあまり良いイメージは無いけど。お祭りを盛り上げる為に色々やってるって事か。


「ほれ!戦前の景気づけだ!!」


更にもう一本ずつトカゲ串が差し出される。

トカゲを貰って嬉しいと思う日が来るとは思わなかった。


「武闘会までは出店周るんだろ?思いっきり楽しんで来いよ!!」

「ありがとー!!シロが優勝しちゃうからね!」


優勝しちゃ駄目だからね。

ガッハッハと笑うイドのおっちゃんに別れを告げて出店を後にする。

さてさて、この後はどこの出店に行こうか。・・・今くらいは浮足立ってもいいよな。


「シロ!次はどの出店に行こうか?」

「お、クロも乗ってきたねぇ!!いっぱい楽しんじゃお!!」

「お祭りだからな!!」


こうして二人と一匹は出店巡りに繰り出した。

くじ引きではさっき食べてたトカゲのぬいぐるみが当たった。すごく複雑な心境。

射的と輪投げ?もやってみたけど思ったより難しかったな。

魚を掬うやつもやったけど・・・あんな薄い紙でどうやって掬うのか・・・。

シロは躍起になって何回かやってたけど結局一匹も掬えず。でもまぁそれも楽しかった。

僕とシロ、エルマーは大いに笑って穏やかな時間を過ごした。


――目に入った気になる出店は悉く周ってしまった。

おかげでお腹いっぱい。とても戦い前とは思えない腹具合。・・・どうしよ。


ヒューーー・・・・ドンドンドン!!


突如空に響き渡る破裂音。


「あ!武闘会の時間そろそろだ!!急いでいかなきゃ!」

「もうそんな時間か。」


気付けば昼前。没頭して楽しんでしまっていた。

そういえば昼前にトーナメントが発表されるって言ってたな。確認するつもりだったのに忘れてた。

急いで確認しに行かなきゃ。


「急がないとだね。」

「うん!ダッシュで行こう!!」


すたこらと走り出すシロ。ちょっとお腹いっぱいだから待ってー。

固く結んだ外套に引っ張られながら走る。

・・・やっぱり食べ過ぎたな。

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