式典へ
翌日から立皇嗣の式典に向け、とんでもなく忙しくなった。
ドレスの採寸からはじまり、式典での挙措の講義。
箝口令が敷かれた上で、皇族専属の執事や先生が数名やってきて、みっちり学んだ。
そして、ドレスも出来上がり、いよいよ当日を迎えた。
朝食を食べ終ったタイミングで、ベテランのメイドが三名やってきた。
わたしをどうにかするためである。
格闘である。
おさえつけられ、きつく締め上げられたり揺さぶられたり、塗りたくられたり髪の毛をひっぱられたりした。
窓を全開にし、すっかり冬になった寒気が室内に満ちているというのに、三名のメイドたちの顔には汗の玉が浮かんでいる。
ちゃんとしたドレスがこれほどまでに苦しいものだとは……。
コルセットは、まるで何かの拷問器具のように胸やお腹周りを締め付ける。
「お美しい」
「感動してしまいます」
「よくお似合いでございます」
三人そろってお世辞を言ってくれた。
姿見に映るわたしは、淡い青色の控えめなドレスに身を包んでいて、滑稽でしかない。
でも、これだけは言える。
痩せてよかった。
心の底から実感してしまう。
すでに四頭立ての馬車が迎えに来ている。
皇子殿下は、その馬車の前で待ってくれている。
白色の正装姿が神々しすぎる。
「なんてことだ」
わたしが近づくと、彼は大げさに驚いた。
「美しすぎる」
そしてまた、お世辞を言った。
「皇子殿下もお美しいですわ」
わたしのは事実である。
「はやく行こう。出席する皇族や貴族たちに見せびらかしたい」
「またまた。それよりも、皇子殿下ご自身ですよ。だれも「呪いの獣」、だなんて気がつかないはずです」
「だろうね」
彼が手を取ってくれ、馬車に乗りこんだ。
もちろん、ローマンも一緒である。
もう一台の馬車でついてきてくれるらしい。
「ここは、陛下に頼んでこのまま誰かに管理をしてもらうつもりだ。わたしたちの秘密の別荘にしたい。将来、生まれてくる子どもを連れてこよう。三人ですごせば、きっと楽しいよ」
「いいおかんがえです」
「それと、皇族付きの執事長にきいたんだけど、この式典、第一皇子は自分の立皇嗣の式典だと勘違いしているらしい。だれかれに吹聴してまわっているそうだ。もちろん、きみの異母姉を連れて参加するだろうね」
ということは、もちろん継母もくるわけね。
皇宮に到着すると、出席者たちの視線がいやでも皇子殿下に集まる。
鼻が高いわ。
あらゆる人々が、道を開けつつコソコソと話をしている。
「どこのだれ?」
「あんなに美しい方、知らないなんて……」
「どちらの方か知りたいわ」
そんな女性たちの熱い視線に、男性たちの羨望の眼差しが絡み合っている。
そして、大広間に入ったとき、元婚約者が周囲の貴族たちになにか声高に言っているのが目に入った。その隣には、異母姉がエラそうに貴族たちを品定めしている。
その異母姉の側には、継母がいる。
彼女は、年上っぽい貴族にしきりに色目を使っている。