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7/12

式典開催の知らせ

「カオリ。これは、皇帝陛下から立皇嗣の式典を行う旨の手紙なんだ」

「いよいよなのですね。おめでとうございます」


 おめでたいかぎりである。わたしも心からうれしく、皇子殿下のことを誇らしく思う。


「それで、どうかな?」


 円形のテーブルの向こう側で、皇子殿下がモジモジしながら尋ねてきた。


 いっしょにすごすうちに、皇子殿下の美形にすこしは慣れてきた。


 それでも、こうしてテーブルをはさんで向かい合っていると、じっと見つめるには畏れ多く感じてしまう。


 ローマンが、空になっているカップにローズティーを注いでくれた。


 農作物以外に、ローズも育てているらしい。その花びらを乾燥させ、ローズティーに使ったり、臭い消しに使ったりとしているという。


「ローマンさん、ありがとうございます。とってもいい香りですね」


 とりあえずお礼を言ってから、さきほどの皇子殿下の問いにたいする答えをかんがえてみた。


「どうかな、と申されますと?」

「わたしの婚約者に、いや、正妃になってくれないだろうか、ということだけど」

「ああ、そうでした。ですが、やはりわたしでは……。がんばって少しは痩せましたが、内気で控えめで臆病で……。性格だけではありません。頭もよくありませんので。そんなわたしが、とても皇太子殿下や、ましてや皇帝陛下の正妃など務まりません」

「いや、ちょっと待って」


 皇子殿下は、ローマンさんと顔を見合わせてから慌てて言った。


「きみは、何か勘違いしていないだろうか?まずは、きみの容姿だけど……。その、控えめに表現しても美しいよ。慈善活動に行く際にも、道ゆく人々がきみを見ている。その綿のシャツとスカート、それから年季のはいっているコートでそれだけ美しいんだ。ドレスを着用したら、この地上だけではなく、天上の神々だって注目するよ」

「皇子殿下、いくらなんでも持ちあげすぎです。お世辞をおっしゃっていただかなくっても、わたしは気にしませんので」

「いえ、カオリ様。本当にお美しいですよ。それに、性格も実にいいですよ。頭だって、そこらの官僚より物事やまつりごと、文化や美術、宗教、多岐に渡って幅広く知識をお持ちです」

「いやだわ。ローマンさんまでそんなお世辞をおっしゃって」

「お世辞じゃない」

「お世辞ではありません」


 二人が同時に叫んだ。


 シンと静まり返った。


 すぐそこの大木の枝葉から、二羽の小鳥が飛び立った。


 急に可笑しくなってきた。


 いまさらそんなに気をつかわなくっても。


 でも、うれしいわ。


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