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Ep-1 王立学園アリッサム

本編です。

プロローグ、いかがでしたでしょうか。

引き続き頑張っていこうと思います。

また揺れるような感覚がする。だが今度は思う様に体は動かせない。それどころか……


「あっ、あぅぁ?」


声も出せない。眩しくて周りもよく見えない。ただ、それでも何故か安心感だけはあった。


「あら、起きたの?」


 そう呼びかける声は温もりと慈愛に満ちていて、


『この人が母親か。』


 自然とそうだと思える様な声であった。


「パパ!起きたみたい!」


「今度もまた気持ちよさそうに寝てたな。パパ、羨ましいぞ!」


 “パパ”と呼ばれた男はそう言って指で頬を撫でてくる。ゴツゴツとした、一言で言えば男らしい指だ。


「おはよう、エアム。今日もいいお天気だね。」


『なるほど。これが“転生”なのか。』


 こうして母親の腕に抱かれながら、父親に微笑みかけられながら第二の人生は始まった。







 転生した事に気付いて早9年、色々なことがわかってきた。


 先ずこの世界には剣も魔法もある。大抵のことは魔法で済む、実に便利だ。また、魔石から供給される魔力を動力源にした魔法具というものもあり、広く普及している。コンロや電灯代わりのものから、武器に至るまで様々な使い道がある。


 魔石は世界各地に自然と湧く魔獣たちの体内にあるものらしく、冒険者たちの食い扶持となっいる。


 次にこの世界には幾つかの国があり、お互い大きな戦乱など起こす事なく均衡を保っている。そして世界の北東部には魔族と呼ばれる者たちが住む国があるという。


 そして何より……


「前世の記憶がない、か」


 正確に言うならば『思い出』と言った方がいいだろうか。自分がどのような事をして、どのように生きていたのかさっぱりわからなかった。


「何か理由でもあるのかな……」


 特に理由は思い浮かばなかった。記憶がない事に気付いだ頃は色々考えてはいたが、最近になってはあまり気にしなくなってしまっていた。



 そんな事を考えながら新品の制服に袖を通す。



「そろそろ行かないと遅れますよー」


「はぁーい!」


 今日から初めての学校である。この国では9歳から6年間学校に通うのが一般的であるものの、強制というわけではない。学校では普通の勉学に加え、冒険者や職人はたまた官僚などになるための実習も受けることができるため、大半の親が学校に行かせているのだ。


 家はこの国、ルドベキアの中で中流階級、上流階級が混ざる地域にあり、学校まで徒歩であればそこそこかかってしまう。だが、市内を魔動車という路面電車のような物が走っており、市内を移動するのに重宝されている。


        ーーーー


 魔動車に揺られる事数分、大きな門の前の駅で停車する。


 「学園前〜学園前〜」


 と、車掌の声が車内に響くと数名が慌てて降りる準備を始めた。どうやら同級生となる者達のようだ。


 「ほら、エアムも早く降りないと。乗り過ごしてしまいますよ。」


 『心配だから学校の門までついて行く!』と、言い張って聞かなかった母の声にせかされ魔動車を降りた。


 「ここが今日から通う学校、ルドベキア王立学校アリッサムですよ! 何度見ても大きな門ですね!」


 悠然とした門を構え、広大な敷地を有し、そして何より数々の著名人を輩出してきた、圧倒的な知名度を誇る学校だ。母はここの学校卒らしく、僕が生まれた時からここに通わせようと思っていたらしい。


 「じゃあ、行ってきます。」


 「気をつけてね!」


 入学式と学校見学しかないのですぐ終わると思われるのだが、門に歩き出した後も名残惜しそうにこちらを見つめていた。



 入学式を行う講堂に行く途中、何人かの先生に声をかけられた。筋骨隆々としたガタイのいい先生、両脇に分厚い本を抱えた研究者のような先生、はたまた魔女のような格好をした先生など様々であった。生徒のやりたい事に寄り添うためにもこのように幅広く先生が用意されていると思うと、アリッサムが有名な理由もうなずける。


 入学式では校長のあいさつがあり、国王からの祝辞が読まれた。いたって普通の入学式ではあったものの、不思議とわくわくとしていた。


 入学式が終わると次はクラスに案内された。

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