魂の行く先【2】
前回の話
自分で自分を傷つけることで現実逃避をしたローグ。気を失って見た夢の中では見た光景に驚いていると回路が増えていた。何故、なんでと自問自答しているとそこに一陣の風が吹く。
「もしも~し、ちょっと聞きたいことがあるんだけどいいかな?」
突然吹いた風と共に声が聞こえてくる。
集落の人ならこんな聞き方はしてこないし、行商であるなら荷馬車の音くらい聞こえたっていいはずだ。
声の聞こえた方に顔を向け、見た光景に開いた口が塞がらなかった。
「ねぇねぇ、僕の声が聞こえてるかな?・・・話せてるよね?僕?」
目の前には淡い緑色の髪が流動性をもち、幼い女の子の様な容姿に風で編んだような服らしきものを着込んでいた。
それが大げさに手を振り、目の前で必死にアピールする姿が余計に混乱させてくれる。
「・・・あ。あぁ、聞こえてるよ」
俺の声にパァーっと顔を明るくさせ笑顔を作り始めた。
「いや~よかったよ~。久々に人と話すから言葉が通じないのかと焦ったじゃないか~」
「君は一体誰なんだ?」
「そういえば自己紹介がまだだったね、僕は〝風を統べる者〟アウラなんて呼ばれているかな?」
ただただ嬉しそうに笑顔を作りながらの自己紹介に混乱する羽目になった。
アウラと言えば世界の管理者と呼ばれている四大精霊の一角。
火のウェスタ、水のオンディーヌ、大地のリタヴィス、そして風のアウラ。
伝承や創世記などにも出てきて、ことごとく〝世界の管理者〟・〝守護者〟などと呼ばれる者達。
(・・・なぜ四大のアウラが俺に?)
今現在確認されているのは水のオンディーヌだけだったはずだ。聖装士である魔王リュールと共に行動していることからオンディーヌの事は広く知られているが、他の四大精霊は人前に姿を見せる事などほとんどなく、姿形も言い伝え程度の物だ。その一角が目の前にいるのは奇妙でしかない。
「アウラって四大精霊の?」
「人間達にはそうやって呼ばれているらしいね~。--それで君の名前はなんて言うんだい?」
「あ、あぁ、ごめん。俺はローグ・ミストリアだ」
「相変わらず人間の名前は長いな~。ローくんでいっか。--じゃあローくん、君は回路が増えたりしなかったかい?」
ビクッと体が動いてしまう。
自分の知りたかった答えをアウラは知っているのだろうか。
「ーー何か知ってるのか!?知ってるなら教えてくれ!何で回路が増えるんだ!アイラは生きてるのか!?」
「あぁ~やっぱり回路が増えたみたいだね~。すぐに説明してもいいんだけど・・・・。・・うん、見てもらった方が早いかもしれないね」
「ーー何を言ってるんだ!俺にも分かるように教えてくれ!」
「じゃあその為にも僕に付いて来てくれるかな?ローくんの知りたいこと全部に答えられるかは分からないけど、僕の知っていることでいいなら教えてあげるよ」
アウラが何を教えてくれるのか分からないが、断る理由など見つからないのなら行くしかない。
「ああ、分かった」
こうしてローグとアウラは集落を離れ歩き始めた。
向かった先がどこなのかはすぐに理解した。
集落の付近には森と山が少しあるだけでほとんどが平原だし、一番近くの人里と言えば首都になってしまう。方角さえわかればどこに向かっているのかくらいは想像できた。
(・・・よりにもよって父さんが死んだ山に入るのか・・・)
アイラと暮らす様になってからも、今の今まで一度も訪れたことのない山。
訪れなかった理由なら山ほどあった。なんたって魔物が出た山に単独で入るなんて自殺行為でしかないのだから。それに魔物に食われたしまっていた場合、父の遺体すら出てこない可能性もある。
山の中腹辺りまで来ると、フワフワと前を進んでいたアウラがクルッと向きを変えこちらを見てくる。
森にしては珍しく、開けた場所ではあったが一体ここで何を教えてくれるのか予想が出来ない。
「・・・こんなところに連れてきてどうするつもりだ?」
「ローくんにはここはどう見えるかな?」
周りを木々に囲まれ陽が中心を照らし、ただ開けた場所でこの精霊が何を聞きたいのかまるで分らない。
「どう見えるって・・・山の中だろ?いい加減ちゃんと教えてくれないか?」
「じゃあちょっとだけ目を閉じてくれないかい?」
溜息を吐きながらも一応は言われた通りに目を閉じる事にした。焦燥感だけが募るが話が進まずに何も教えてもらえないなんてことだけは避けたかった。
「--なっ!!」
目を閉じた瞬間、背中から思いっきり押され、体ごと飛ばされる感覚と共に声が漏れる。
体が下へと引っ張られるように落ちる感覚に襲われ、すぐに受け身を取れるように体を丸めて受身を取る。すぐに顔を上げ辺りを確認するも真っ暗で何も目に映らなかった。
「--くそっ!一体何だっていうんだ・・・」
「ごめんごめん、久々に人に使ったから加減間違えちゃった」
握り拳をおでこにコツンッと当て舌をペロッと出しているアウラが目の前までやってくる。
「アウラ、言いたいことは山ほどあるんだけど・・・とりあえずは説明してくれるのか?」
「うんうん。その為にここまで来たんだからね」
目の前でクルクルと回る姿がなんとも滑稽だ。
未だに存在自体が不透明、人語を理解し、各々が単独で動き、世界を終わらせる力と思考を持つとまで言われている存在がそこら辺にいる子供に見えてきてしまうのだからしょうがないと思う。
「まずはこの場所についてから話そうじゃないか。--ここは僕たち精霊の中では〝霊窟〟と呼ばれている場所だよ」
「れい・・くつ?」
「そうそう、ローくんは食物連鎖を知っているかな?」
「あ、あぁ。当たり前の事だしな」
「そうだねそうだね。それと似た様な事がこの霊窟で繰り返し起きるんだよ」
「・・・ん?別に生き物の気配なんかしないぞ?」
「生き物ではあるけど生きてはいないよ。君たち人や獣、草や花、水や風、岩や土。 この世界に生きる全ての者たちが亡くなると各地にある霊窟に引き寄せられてくるのさ。 そして本来ならここでみんなの魂が折り重なって、強い想いを持っている魂に惹かれていくんだけど・・・」
言っていることがぶっ飛びすぎている。
アイラに関わる事なのだから理解しようとはしているのだが、初めて聞く話に理解が追いつかない。
まず、いきなりの死後の世界を教えられてもなんとなくしか分からない。
それに死んでからも自分の想い一つで動けるなら、そこら中に死んだ人がいるのか?
そもそも魂が折り重なって強い想いを持つ者が惹かれるってどんな感じだ?
「ざっくりと理解してくれればいいさ。その為にここまで来たんだからね」
そういうとアウラがブツブツと何か呟き、言い終えると同時に視界が一変した。今まで暗闇の中にポツンと浮いているアウラしか見えていなかったのが急に色鮮やかな景色へと変わる。まるで鍾乳洞の様な場所に様々な色の小さな玉がゆらゆらと浮いていた。
「ーーなんだこれ!?」
「何って・・・さっき僕が説明したじゃないかぁ~。これが君たち人間が言う魔素で、さっき説明した生命全ての魂さ」
魔素=生命の魂??
「アウラ、今変な言葉を聞いた気がするんだけど・・・ これが魔素で・・・魂なのか?」
「そうさ、そしてこれらが折り重なって強い想いに惹かれて一つの形を作っていく・・・はずだったんだけどね~」
アウラがローグから光る玉のようなモノに視線を移し、ヤレヤレっといった顔を作り始める。
ローグもすぐにその視線を追っては見るが、初めて見る光る玉に見とれる位しか出来ないでいた。
すると幾つかの玉同士がぶつかる様に一つ塊へと変わっていく。それらが大きな玉と小さな玉に分かれたりくっついたり離れたりを繰り返し始めていた。
「・・のはずって・・・どういうことだ?」
「ローくんに今見てもらっている光景が本来の姿なのさ。・・・それが一つの魂だけが霊窟じゃなくて一人の人間に折り重なってしまったんだよ。理由は全く分からないんだけどね~」
「・・・まさかそれが俺で、・・・その魂がアイラ?」
「その魂が誰なのかなんて僕たちには分からないけど、そうでもなきゃ回路なんて増えないからね~。僕はそのはぐれちゃった魂を追いかけてローくんに出会ったわけだしね」
一つだけ確認しなくてはいけない。
「・・・なあ、魂ってことは・・・死んだのか?」
「まぁ魂だしね~。それにローくんが一番分かるんじゃないかい?」
「・・・俺が?」
「うんうん。強い想いに惹かれるって言ったじゃないか。この魔素たちにも想いがあるんだ。--ローくんはどんな想いを受けっとったんだい?」
〝ロ・・・グ・・・しあ・・わせに・・ね・・・〟
体の力が抜け、自然と膝が地面を叩く。
「ああ、・・・あぁ・・受け取ったよ」
アウラの説明が正しければアイラは死んだ。
アイラは死んだ。・・アイラ死んだ。・・・アイラは死んだんだ。
「・・・あれ?」
アウラの声に顔を自然と向けると、目の前に無数にいた浮遊していた玉たちが一際大きい塊になっていた。色も一色に固定されず様々な色に移り変わっていく。
「・・・奇麗だな」
アイラはどんな色に輝いたのだろうか・・・。
最後まで自分の幸せを願ってくれた愛する人には綺麗であってほしい。
じゃなきゃ報われないだろう?
何の為に殺されたのかも分からず、看取られることもなかったのだから。
「ローく~ん・・・できれば避けて欲しいなぁ~」
「え・・・?」
アウラの声で我に返り一度頭を振ってから。もう一度視線を戻すと大きくなった玉が触れる距離にまで迫ってくる。
光る玉が呑み込む様に包みこんでいくる。
「ーーーなっ!!!」
包まれた瞬間、頭の中に何かが流れ込んでくるような異物感が襲ってくる。
「あーあ・・・。たぶんそれ僕たち寄りじゃないんだよなぁ・・・」
そして俺は意識を手放すことになった。
■□■□■
辺り一面が木々に覆われ、地面一杯の草や花がゆらりと風と踊る場所。
そんな場所にひっそりと建っている木こりを連想させるような家。今も薪を切り分けているだろう軽快な音が聞こえてくる。
コーンっと高い音が実に耳に心地いい。
少しの間感傷に浸っていると音が止んでしまう。
何があったのかと見に行こうとすると、軽快な音の代わりに不快感を伴った音が耳に届く。
まずは剣戟、続いて走り回る様な音。そんな音を何度も繰り返していた。
その音が怒声へと変わって来た頃には、女性の悲鳴も混じり始めた。明らかにただ事じゃない。
辿り着いた頃には音は止み、視界に映った光景に一瞬足が止まってしまう。
この家の主人だろうか、男は地面に手と足を剣で地面に縫われ、身動きが取れなくなっているようだった。
そしてそれを実行したであろう男の一人が剣を踏みつけ、残りの二人が女性を羽交い絞めにしていた。
いてもたってもいられなかった。
もう、命が奪われていくのをただ見ているなんて嫌だ。
だからこのまま静観するなんていう選択肢などない。
多人数戦が苦手な俺では負けるかもしれない。
それでもあの二人を逃がす時間さえ作れるならばそれでいい。自分と同じ苦しみなんて無くさなきゃいけない。幸いにも相手はこちらに気付いてすらいない。男を踏みつけている輩を軽く撫でるように斬りつけてから女性を羽交い絞めにしている奴らを女性から引き離せばいい。
女性を人質に取られたらそれこそ終わりだ。
足で地面を思い切り蹴飛ばし、頭で描いた軌道を辿るように走り抜け、二本の刀を振るう。
男達の脇を走り抜けながら思い描いた通りの動線、太刀筋で通り抜け、女性を通り過ぎたところで体を反転させる。もちろん反撃に備える為だった・・・が、確認するように辺りを見渡すと心が冷え切っていく。
(・・・ただ見ている事しかできないのか・・・)
感触がまるでなかった。狙いは正確だったはずなのに、通り過ぎた後には血の一滴も落ちていなければ男達がこちらに気付いた様子すらない。
「ーーいやぁぁぁ!」
そして始まってしまった。
地面に縫い付けられた男の嗚咽、女性の嗚咽、襲った男達の愉悦交じりの笑い声。
もう一度走り、男達に斬りかかるも結果は何も変わらなかった。
理由には予想がついた。
もし予想が正しいのなら自分はこの光景をずっと見てなくてはいけない。
それからは手が出せず、ただ見ているだけの時間が一晩中続いた。
そこまで楽しいものなのだろうか?
人を苦しめ続けた果てに出るこの嗚咽が。
心が壊れ、涙を流しながらも表情が消えた人の顔が。
──もう、止めてくれよ
何度も何度も吐き捨てた。それでも目の前の光景が止まることはなかった。
世界の姿は目の前の光景が全てなのではと思えてしまうほどに。
それと同時に襲ってくる疎外感。自分の考えや生きていた世界はまた違ったところにあったのだろうかと思えてしょうがない。理解ができず、自分の心も凍ったように止まっている。
もう何も考えられない。
そう思った時、幕が降りたかのように辺りが真っ黒に染め上げられる。
「・・・何も守れなかった・・・」
突如後ろから聞こえてきた声に振り向くと、さっきまで地面に縫われていた男がジーッとこちらを見ている。
四肢からは血が溢れ、首には絞められたような手の跡が付いている。
それでも目の前の男は口を閉じようとしなかった。
「痛くて・・・怖かった。・・・それがどうでもよくなるくらい・・・悔しかった・・・。--なんで!なんであんな事が平気で出来るんだ!同じ人間だろ!」
男の言いたいことが分かってしまう。自分だってあの状況をずっと見せられていたのだから。
目の前の男に歩み寄り両手で手を握り、崩れ落ちるように膝を着く。
「ごめん・・・。俺にはどうすることもできなかった」
見ていただけ。ずっと人が弄ばれ、殺されるのを見ていただけだった。
「・・・俺もだ、俺も・・何もできなかった・・・。妻が弄ばれている間も・・・奴らの笑い声を聞いている事しかできなかった・・・」
──こんな事あっていいはずがないだろ
「・・・せめて・・・俺と一緒に行かないか?俺はまだ生きている。生きてる意味なんて分からないし、あんたも、あんたの奥さんも、もう戻ってくることはないだろうけど・・・。──それでもまだ、俺は生きているんだ。もしかしたら俺が・・・俺だけが生き残ってしまった理由があると思うんだ。だからそれが分かるまで・・・それまで一緒に行かないか?」
目の前の男が薄れていくように半透明になっていく。
「・・・人が生きているのに理由なんてあるのか? もしあったのなら俺はどんな理由で生きていたんだ? 弄ばれるために生きていたのか? ーーなにより、人一人守れないお前と俺に何が出来るんだろうな・・・」
消えていく。
名前も知らない男が諦めたように笑いながら消えて行くのを見ている事しかできなかった。
(人一人も守れない・・・か・・・)
心がチクチクと痛む。図星だったからだろう。確かに集落が襲われるなんて予想出来る人なんていないだろうから。けど、大事な人の死に際にのうのうと楽しんでいた自分が許せるかは別の話だった。
「・・・くん・・・。---くん!--ローくん!」
聞き覚えのある声に飛び跳ねるように起き上がる。
「ーーローくん!」
(あぁ・・・予想通りか・・。それじゃあ手が出せないはずだよな・・・)
アウラの声が夢だと教えてくれる。
アイラと同じように死ぬ間際の記憶を見せられる変な夢。
この夢も、アイラを殺した奴らの事も、いろいろと知らない事が多すぎて情けなる。
「アウラ・・・この夢は一体何なんだ?」
目を開けて辺りを見渡せば、薄暗い霊窟と呼ばれていた場所に寝転がっていた。横にはしっかりとアウラがフワフワと浮いている。
「・・・夢を見たのかい?」
「・・・ああ。男の人が殺される夢だったよ。・・・最後には人一人守れない俺とお前に何が出来るんだ?・・・なんて言われちゃったよ・・・」
目頭が熱くなったまま、腕で目を覆う。いくら精霊でもやはり見られるのは情けなく思う。
「・・・でもその人はローくんに寄り添うって決めたみたいじゃないか。--見てごらん、自分の体を」
「えっ・・・」
アウラに言われるまま上半身を起こし、自分の体を見ると体のほとんどが淡い青と緑が混ぜ合わさったかのように輝いている。何かの間違いかもと体に魔素を取り込んでみたら、今までに見た事ないほどに濃密にゆらぎ、輝き始める。
「・・・これは・・・」
「ローくん、それは折り重なった魂の中で一番想いが強かった人なんじゃないかな?」
アウラの言う通りなら、これも現実で起きた日常の出来事。
「・・・なんで・・・俺なんだろうな?」
「先に言っておくけど、こんなことは僕たちも初めてなんだ。だから僕がいるんじゃないか」
初めての事だから俺の近くに来たってことは──
「それって・・・監視って事か?」
「まあ平たく言えばそんな感じさ。--それにこんなことは今まで無かったことだからね、興味津々にもなるってものさ」
精霊とはとても素直なのかもしれない。とても楽しそうに、興味がありそうにこちらを覗き込んでいる。
正直な気持ちとしては少しイラっとする。
「なんか見世物みたいであまりいい気がしないな」
「そう邪険にしないでくれよ。これからはパートナーだと思ってくれればいいのさ。ローくんの傍にいる代わりに僕の知っていることを教えようじゃないか。--その増えた回路だって使い方が分からないじゃないかい?」
アウラの言葉に「まさか・・・」と呟き、近くの水溜りを見つけすぐに近寄る。覗き込んだ先には左目と髪の毛まで淡く光っていた。
今まで使っていた両腕の回路の様に、四肢の回路は魔素を取り込んで力に変える器官。
そして例外が二つ。
頭の回路は魔素を通じ意志を伝え、それを魔素に実行してもらう器官。俗にこの現象は魔法と言われている。
目の回路は魔素を宿し、魔素が見ている世界を映し出す鏡。よく鉱石の鑑定や研究に必要だとされている器官だ。
そしてどちらの回路も、理由は分かっていないが発現する確率が低い。
首都ならともかく、小さな集落では頭や目の回路を持っている人なんていない。
もし、目や頭の回路を持っているなら働き口に困る事もないし、珍しいだけあって生活なんかも比べ物にならない程に豊かになる。そんな人がわざわざ集落に残るなんてことは考えづらい。
そしてそのせいで回路の使い方がわからない。
「ローくんはこれからどうするんだい?もしローくんが何をするにしても使えるものを使わないのはどうなんだい?--それにそれは夢で会った人から託された回路なんだろう?」
何をしたいかなんて決まっている。
「俺は自分の手の届く範囲くらいは守りたいんだ・・・。もう失いたくないんだ・・・。だから強くなりたい!」
「じゃあ決まりだね」
「ああ、これからよろしく頼むよ」
「頼まれてあげようじゃないか」
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