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次代の王は?


会議も無事終わり、本店の移動についての話が決まった頃、私は自分自身の問題を突きつけられていました。


婚約者問題です。

今の私であれば、大抵は婚約出来るでしょうし、実際にいくつか婚約の話も来ています。

ですが、そのうちの大半がフィーリン商会と公爵という権力が目的です。

そういった人達をどう落としていくか、それが問題なのです。

それに加え、あのようなことがあったばかりですから。



「はぁ……。

やはり、気が重いですね」


「お嬢様、休憩したらどうですか?」



私が机に向かっていると、ルエルがお茶を持ってきました。



「えぇ、これが終わったら休憩します」


「……お嬢様、さっきもそう言っていましたよ!」



ルエルがツッコミますが、早めに絞っておかねば後々大変になるでしょうし、面倒事は早めに片付けてしまいたいですから。



「殿下も、明日には来る頃ですし、早く終わらせないといけませんからね」



殿下の対応もしなければなりませんから。

どうせ、どこかのバカ王子が呼んだのでしょうが、あの脳な……バカ王子が対応などするはずがありませんから。



「お嬢様、その……。

他の公爵家の当主の方がいらっしゃっていますが……どうしますか?」


「……事前に連絡は?」


「ありません」



……公爵家の方々ならば、アポイントくらいとって欲しかったのですが。

とはいえ、公爵家の方々を放置する訳にもいきませんし、仕方ありませんね。



「皆様は?」


「客間にお通ししております」


「わかりました。

すぐに行きます。

それまで、お客様に新作のケーキとお茶をお出しするよう、お願いします」


「承知致しました!」



ルエルが私の言葉に従い、部屋を出て行くと、私も客間に向かいます。

そんな私の後ろをついてくる人物がいました。



「エリス様、お一人で行くおつもりですか?」


「……ハーネス」


「私もご一緒します」



心配性のハーネスが着いてくることになりました。

特に問題はありませんし、有難いですが。



「お待たせ致しました、皆様。

本日は、どのようなご要件でしょうか?」



三公家、財政、商業を生業とする、フォーリア家、政策、政治を生業とするルースベル家、そして戦闘、軍事を生業とするエンドルース家。

その三つの公爵家がこうして集まるのは何年ぶりでしょうか?



「エリス嬢、いきなり押しかけて済まない。

だが……」


「次代の王の件でしょうか?」


「……あぁ」



エンドルース家はともかく、ルースベル家はそれ以外に考えられません。

お父様に、というならまだ分かりますが、私にとなるとその件かフィーリン商会のどちらかとなりますから。



「申し訳ありませんが、私はどちらかの家を支援する、というようなことは致しませんよ?」



そのようなことをする訳にはいきませんから。

私が動かせる範囲だとフィーリン商会となりますが、あの商会は、大きくなりすぎましたから。



「それは当然だろう」


「儂としては、エリス嬢が王にと思っているのでな。

エンドルース家は降りる」


「ルースベル家も同じく降りよう。

というわけで、自然とエリス嬢がということになる」


「……はい?」



……耳がおかしくなったのでしょうか?

何故、私が?

というよりも、何故エンドルース公爵家もルースベル公爵家も降りるのですか。

私も降りるつもりなのですが?



「私は、商会等がありますのでお断りさせていただきます。

それに、私は婚約を破棄された身ですので」


「すまんのぅ……。

既に、陛下に進言済みだ」


「陛下からも、快く了承を得られたぞ」



何故、こういう時の行動力はあるのでしょうか、この方々は。

私が王になど、有り得ないでしょうに。

いえ、だからこそ、なのでしょうか。

私を、フィーリン商会をこの国に留めておくそのために。

だとしても、この件は私には重すぎる。

今までの歴史の中で、女王となった者は誰一人としていなかったのだから。



「……お父様はなんと」


「フォーリア公爵は王宮で気絶しているよ」



……お父様は現実逃避(気絶)をしたようです。

自分一人だけ逃げるなど……。



「……私が、となればこの国初の女王となります。

そうなれば確実にこの国は……」


「エリス嬢、あなたが思っている程、我らは落ちぶれていない。

あなたが王となるのであれば、我らは全力で支えましょう」


「ですから、私は!

私は、そのような立場になるつもりはないと言っているのです」



王だなんて、そんな面倒事はお断りです。

なんのために王族を避けてきたと思っているのですか。

私はフィーリン商会の甘味を広められたらそれでいいのですが。



「……エリス嬢、あなた以外に居ないのだ」


「……何故、そこまでして私を王にしたいのですか?」


「私の息子は頭が固くてな……。

精々、宰相止まりだ。

それに、あの子は決断力が欠ける」


「儂の息子は脳筋だからな。

アレが王なんぞになったらこの国が滅びるわ」



……お二人の息子を知っているからこそ、何も言い返せません。

確かに、その通りになってしまうという確証がありました。

これは、どうやっても押し付けられる形では?



「……待ってください。

そうなると、私の婚約者はどうなるのですか?」


「それは別に、他国からでも侯爵家からでもいいと思うが?」



全く良くありませんね。

今まで考えていた婚約者の候補を全て考え直さなければいけなくなります。

……やはり、王は無しですね。



「そういえば、近々エリンスフィールの王子が来るそうではないか」


「……確かに、そういうお話もありますが」



何を言うつもりなのか分かってしまいました。

……決して認めたくはありませんが。



「ふむ……そうだな。

よし、今日のところは帰るとしようではないか」


「そうだな。

では、また来る」



もう来なくてよろしいのですが。

というより、もう来ないでいただきたいのですが。

何より、私の精神面の安全のために。



とはいえ、私が言っても聞かなそうな方々ですが。

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― 新着の感想 ―
[一言] お父様の役立たずー!ってトコでしょうか?(笑) 王族お断りどころか自らが王族にならされる勢い…(笑) まぁ公爵家だから継承権はあるんだろーが… 当代も次代もダメじゃ…仕方無いのかねー?
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