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フォーリア公爵家にて



フォーリア公爵領へと到着すると、私は屋敷へと向かい、お母様とお父様に挨拶をします。



「お父様、お母様、お久しぶりです」


「あらまぁ……エリス、長旅ご苦労さま」


「ここまで来るのに疲れただろう。

もう休みさない、エリス」



お父様とお母様はどうしても私を関わらせたくないらしいです。

こうもあからさまなのはどうなのでしょうか?



「いえ、その前にお聞きしなければいけないことがありますから。

……勿論、説明してくださいますよね?」



私が笑顔で圧力をかけると、お父様とお母様はそんな私に対し焦ったような表情を浮かべ、視線をさまよわせました。



「そ、それは……だな……」


「えーと、ね……?」



これではいつまでかかるか分かりませんね。



「お父様、お母様……。

私は、反乱を起こしたことを怒っているわけではありません。

ただ……反乱を起こす前にあのバカ王子の名を地に落としたかったのです」



私はこの程度で終わらせることについて怒っているのです。

ただ、反乱だけで終わらせてしまえばあのバカ王子は何も苦しまないでしょう?

私の大切な者を傷付けたあのバカにはその程度でやられてしまっては困るのです。

やるからには徹底的にやらなければいけません。



「それもそうだな……。

反乱を起こす時期をもう少し遅らせるか」


「えぇ、そうね。

まずは、噂を流しましょうか。

今既に流れているものに加えもう1つ……。

あの二人はフォーリア公爵家を怒らせた。

あの二人のせいでフィーリン商会は店舗を撤退しようとしている、とでもね」


本店の撤退に関しては本当のことなので嘘とも言えませんね。

フォーリア公爵家を怒らせたのは本当のことですし。

アリスの件は既に多くの人達に知れ渡っているようですし、説得力もあります。

それに加え、フィーリン商会の撤退についてもあの二人に押し付けられそうです。


いえ、今はそんなことよりも……。



「お父様、アリスはどちらにいるのでしょうか?」


「客室を使ってもらっている。

エリスを案内してあげてくれ」


「承知致しました。

エリス様、こちらにどうぞ」


「えぇ。

お父様、お母様、失礼致します」



私は退出すると、メイドの案内でアリスのいる客室へと向かいます。

アリスは私がここにいることに驚くでしょうね。

そう考えると思わず笑みが零れます。

ですが、やはり心配です。

アリスは、私のためならばどんな無茶でもやろうとする人ですから。



「失礼します。

アリス、怪我は大丈夫ですか?」


「はい……えっ?

エ、エリス様!?

何故こちらにいらっしゃるのですか……!?」


「アリスが重傷を負ったと聞きましたから。

それより、傷の具合はどうですか?」




案の定、アリスは私の登場に狼狽えています。

ですが、その肩に見える包帯から見て、肩から首元辺りまでやられたのでしょうね。

……女性を傷付けるなど、許されることではありません。

少なくとも、私は許すつもりはありません。

それは、たとえアリスが許そうとも変わらないでしょう。



「問題ありません。

エリス様にご心配していただく程の傷ではありません」



嘘ですね。

包帯が巻いてある範囲からしてかなりの傷のはずですし、まだ血が滲んできているのは、それだけ深い傷だったということです。

にも関わらずあの言葉とは……。

本当に困ったものですね。



「……分かりました。

では、また明日来ます」


「はい。

ありがとうございます、エリス様。

ご心配お掛けしてしまい、申し訳ありません」



アリスは私にお礼の言葉と共に謝罪の言葉を投げかけました。

私としてはそんな言葉は必要ないのですが……。



「アリス、申し訳ないと思うのでしたら早く回復して仕事に復帰してください。

あなたがいないと、困りますから。

それに、自分の体をもっと労わってください。

アリスが傷ついて心配するのは私だけではないのですから」


「っ……はい!」



アリスは嬉しそうに微笑みました。

この言葉で合っていたようです。


私はアリスのいる客室から退出すると、ルーファスにすぐに商会の方へ連絡し、腕の良い医者を送るように頼みました。

王都からここまではさほど時間はかからないので明日までには来てくれると願いましょう。



「お嬢様、危険なことはしないでくださいね!」


「ルエル……危険なことはしません。

そのくらいはちゃんと考えていますから」


「それでもです!

お嬢様は私達のようなメイドのためにご自身が傷付いても良いというような考えですから心配なんです!」



私の幼い頃のこともよく知っているルエルは、今回も私が無茶をすると思っているようです。

あのバカ王子と関わってすぐの頃はそれこそ、倒れる寸前のところまで自分を追い詰めましたし、それが悪いのでしょうね。


今は自分だけでどうにかしよう、などと馬鹿げた考え方はやめたのでもう無茶はしませんが。

そう言ってもルエルは聞いてくれません。



「もう……それは昔の話でしょう?

今はそんなことしません」


「お嬢様のそういう言葉だけは信用出来ません!!」



……元はと言えば私が悪いのですからここはルエルの好きにさせておきましょう。

どうせ、今からはお母様やお父様と情報交換をする予定でしたし。






結局、その日1日、ルエルは私から離れることはありませんでした。


そんなに私の信用はないのでしょうか?


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