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13.信者

 コロセオの街を包む空気が淀む。教皇来訪が告げられた事によって、街がピリピリとしていた。


 部屋の窓から街をのぞめば、騒がしい奴らがいる。兵士長の三男坊アドミラは、そいつらの言葉が気に入らなくて仕方がない。

 勝手な理論を振りかざし、"魔法剣"が剣闘士である事を否定する。確かに、剣闘奴隷の身分にある事はおかしい気がするが、長く三枚看板と評されてきた"双魚"ですら、奴隷の身分を抜けることができていない。

 初めての試合から1年も経たぬのだ。それはない。と思う。

 正直言えば、アドミラにとっては"魔法剣"が剣闘士である事が重要なのだ。


「神の使徒を解放せよ!」


 帝国は宗教が根付きながら、重要視される事が少ないと言う奇妙な国だ。神話は神話として、崇めながら、現実をかく語る。

 長い時間をかけて、教会の力を削いできた。まだまだ完全では無い。事実、神話の前提を崩す様な発言をすれば、未来はない。地動説を語れば、自然現象を唄えば、進化説など提唱しようがものなら。


「神の使徒を解放せよ!」


 帝国の中でも、そんな風に宗教を第一とする人間は一定に存在する。それが、窓の外で演説中の彼らだ。

 これまでも、水面下で活動をしてきた彼らだが、教皇が来ると言う事で、その活動が活発になった。


 仮に、"魔法剣"を見つけたのがイングラシア教の総本山である神聖王国であったなら、凄まじい地位を与えられていただろう。

 剣闘試合の中で発現した力であるため、現実にはそうはならないだろうが。おそらく、聖龍への生贄と捧げられ、その生涯を終える事になる。


 "魔法剣"の使う、(神の怒り)はそれだけの宗教的シンボルとなる。生贄としか使えない、救いない異教徒が、信心深い神の使徒としてもてはやされるのだ。


「神の使徒を解放せよ!」


 同じ言葉が繰り返される。

約700文字。

次回は明日。短めの奴が続きます。

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