元勇者と隠す幼女2日目
新しい朝が来た。と言えば古いらしいが何が古いのか知らないのでツッコミは受け付けない。
まぁツッコミしてくれる仲間も知人もましてや他人も近くにはいないので意味はないが…。
昨日幼女が気絶してから俺は家に結界を仕込み、ちょっと頑張って燻製小屋を庭の角に作った。所要時間は5分です。
後は《叡智の大書庫》からハムやらソーセージの作り方を調べた。《叡智の大書庫》をこんな理由で使うとはかつての仲間も当時の俺も思わなかっただろう。ちなみに下拵えの方が小屋を作るより時間がかかった。
ハムやらソーセージやらを燻製小屋に仕込み、良さげな木を強制的に乾かし(魔法は万能道具だ)作り上げたチップを燻し、その段階で日も暮れたので晩御飯を食べた。
食べたのは刻みすぎた魔獣の肉で作ったつくねだ。ハンバーグも良いがつくねの方が好きなのでつくねにした。
食事をしながら何気無く外を見ると日が暮れている筈なのに明るく、謎に思い外に出ると……小屋が燃えていた。
どうやら小屋の方に問題があったみたいだ。食べ物を無駄にした事に申し訳なく思いながら夜更かしして小屋の再建と燻製肉作りを行った。今度は目を離さない。
ただ時間が掛かるので小屋だけ空間隔離して無理矢理時間を速めた。これが悪かったのか出来た燻製肉はちょっと煙の香りが強い。まぁファーブル産のハムなどより旨味も香りも良いので良しとする。
とゆう経緯の元今の朝だが早速ハムを焼き、卵を焼き、パンを焼き、チーズを挟み、いただきます。
…………。
一つだけが良くてもダメなんだなと再認識した。
それからは余った敷地に木の杭を刺して見たり、玄関前の地面を掘り返して手頃な大岩を刻んだ石畳を敷いて見たり、森の中で低木(敷地に飾ったら良さげなやつ)を探したりしてお昼へと至る。
そしてまた俺は幼女のいる部屋の前に立っていた。
理由は簡単で幼女が起きているからだ。今も向こうでベッドの下あたりでもぞもぞしているのが扉越しに分かる。
実際起きたのは俺が辿り着く十分程前だが低木探しが予想外に難航し(結局見つからなかった)起きた事には気付いたがちょっと後回しにしてしまった。
喉に魔法を掛けてゆっくりと扉を開ける。幼女はやはりベッドの下におり、こちらに青ざめた表情をしていた。
まぁ商品として扱われたなら良い事など無かっただろう。俺は特に気にせず桃もどきの置いたテーブルを見ると綺麗に無くなっている。
改めて幼女を見ると口元がちょっと湿っている。どうやら美味しく食べたようだ。
「美味しかったか?」
普通に話し掛けたらびくりと震え、口をパクパクしながら青ざめた表情が更に青くなる。
過呼吸か?と思ったので幼女に近寄るとブンブンと首を横に振りながら更に奥に隠れようとしている。
流石に心配なのでベッドを持ち上げてずらし、幼女を持ち上げて気が付いた。
幼女はシーツをまた被っている。ただ被っている位置は端っこで昨日のように体全体を隠そうとするものじゃなかった。
代わりに、とある部分を隠そうとしていた。
持ち上げた幼女はガタガタ震え、その隠された部分の事で酷いことをされると思っているのか身体を丸くしている。
まぁ、なんとゆうか、この歳なら良くあるだろう。
幼女はおねしょの跡を隠そうとしていた。