とある魔物の最後(その二)
後書きにスキルの説明追加しました。
目の前から歩み寄る矮小な存在、自分達とは違い見窄らしいローブを身に纏う黒髪の男にそれは呆れていた。
王より賜りし新たな種族、ホブゴブリンの更に上として存在する彼等はレッドキャップとは違い不意打ちよりも圧倒的な膂力と体力により、ゴブリンとしては有り得ない正面戦闘に特化している。
鍛え上げられた肉体によりオーガすら彼等には遊び相手にすらならない。
単体の強さは今なお無く、ただそれは出会った冒険者がいないだけであり、もし認識されれば金を超えて金剛に至っている。
更にそんな存在を纏めているそれは一際目立つ筋肉の塊だ。
それは先に向かった赤帽子共に呆れてもいる。目の前の男はどう見ても強くない。そんな存在がここまで来ているという事は見逃したのだろう。
(王より命じられて先んじて入ったにも関わらず、遊びで獲物を逃すなど王に仕える価値も無し……。)
そう考えたそれは一先ず眼前の矮小な存在を潰すために王に与えられた帽子を冠る。
彼等の種族はグリーンベレー。卑怯な赤帽子とは違い、緑の帽子を冠る事に彼等は誇りを感じていた。
故に、見本となる為に、手に持つ鉄棍棒を持ち上げて振り下ろす。
赤帽子共が運んで来る獲物を運ぶ為に、さっさと小さな食料を作ろうとして……。
ズドンと……音が鳴らない。
巻き上がる砂埃と風切り音は確かに聴こえたのに、なのに、何故か打撃音は聞こえない。
不思議に思ったそれだったが……。
「何だ、こんなもんか……。」
聞こえた声に愕然とする。
砂埃が晴れ、鉄棍棒を振り下ろした先には黒髪の男が肩に鉄棍棒を受けながらも平然としている。
(何だ、何が起きた?)
それは考えた。考える事が得意では無いがそれでも疑問には思った。
叩き付けた鉄棍棒は今なお肩に触れている。なのにいくら力を込めても男を潰さない。
苛立ち、棍棒を捨てて素手で殴る。
身長はゆうに三メートルを超えるそれは体重を乗せながらの振り下ろしの拳、風切り音と筋肉の膨張から圧倒的な力が込められているのが分かる。
だが……やはり打撃音は鳴らない。
確かに当てた、確かに当たった。実際触れている感触はある。なのに響くはずの打撃音が何処にも聞こえない。
「……いやさ、あのゴブリンは少しは分かってたみたいだけど……お前はダメだな。」
聞こえた声と同時に、体が浮く。それは理解できずに中空でジタバタと暴れるが効果はない。
「まぁ取り敢えず。[剛腕解放][武神の一撃][魔纏い][身体強化]っと。」
そして、ゆっくりと男が振りかぶると拳がそれの腹に当たる。
当たるまでの僅かな間、それはそんな柔な腕で殴られた所で意味が無いと笑い、その顔のまま腹部から中心に肉片と化した。
その光景に残りのグリーンベレーはやっと恐怖する。彼等は漸く男の異常さに気が付いたが時すでに遅し、結界は彼等を包み込んでいる。
後はレッドキャップの時と同じく、枝で斬り殺される末路のみ……。
[ナイツ・オブ・ソード]
一本の神剣、三本の聖剣、五本の魔剣からなるスキル
神剣[黒塗の神蝕剣]聖剣[ゼロスタンス]聖剣[翡翠の回剣]聖剣[マスターキー]魔剣[罪炎の淵剣]魔剣[朧霧血]魔剣[守護の騎士剣]魔剣[鬼鬼戒塊]魔剣[透過の水唱剣]
[剛腕解放]
スキル使用後の最初の一撃に補正がかかり、威力を二倍に引き上げる。あの世界では実はマイナーなスキル。
[鬼神の一撃]
スキル使用後の単発攻撃に補正がかかり、威力を二倍に引き上げる。どんな攻撃も単発(当ててから1秒ほど時間がかかれば単発)ならば二倍になる。
[魔纏い]
魔力を体に纏い、威力を引き上げる。魔力消費型のスキル。
[身体強化]
魔力を体に循環し肉体を強化する。循環なので消費しない。
[勇者の威光]
自身にとって害のある存在を認識し、その対象に対しての戦闘力を増加するスキル。異世界転移時に勇者ならば必ず手に入れる。
[戦神の恩恵]
自身の身体能力強化値の上限を解放するスキル。
[身体能力向上]
身体強化とは違い魔力を用いずに強化する。魔力がなくても使えるので戦士系の職業には喉から手が出るほど欲しい。1日の使用回数制限あり。
[剣神の技]
自身の利き腕に持つある程度の物を剣と認識して剣技が放てる。剣装備時に補正がかかり、剣士系の職業には喉から手が出る程に欲しい。
[竜殺者]
竜系の魔物や竜人などとの戦闘に補正がかかる。体得には矛盾だが竜を殺す必要あり。




