元勇者と少女、冒険者に絡まれる
すみません、仕事中に間違って投稿してしまいました。
冒険者ギルドファーブル領支部。元々存在していただけの閑古鳥が鳴いていたそこは最近領主様のお陰で豊かになった領地に比例して増している魔獣や魔物の討伐などでクエストボードが依頼書の上に依頼書が貼られる始末。
まぁそれでも夕方頃には大体殆どの依頼書が剥がされているけど。
ギルドの扉を開け、クエストカウンターに向かう。道中向けられる同業者の視線は嘲りや侮蔑が込められており、案の定クエストカウンターに着く前に強面なお兄さんが(もっと怖い顔を知ってたいるので怖くもなんともないけど)道を遮ってきた。
「よぉ〜農家、今日もせっせと果物の納品か?」
「まぁな、果物美味いしうちの子も喜ぶ。」
抱き上げているリースを見ると絡まれた事でちょっと怯えている。俺の服を片手で掴み、顔を上げないようにしていた。
うちの子怖がらせたコイツぶっ飛ばしたいなぁと考えながらも流石にそんな事をしたら騒ぎになり過ぎる。いつか復讐しようと心に留めておくだけで済まそう。
一人で納得していると目の前の強面(笑い)お兄さんが「はっ!男だったら魔物狩ってなんぼだろ!ドラゴンとか狩って有名にってなぁ。」とか言い出した。
ドラゴンとかあの世界で殺しすぎて龍姫から止められたなぁと思い出しながら強面の横を通り過ぎる。
「はっ!農家様にゃあゴブリン一匹すら無理だもんなぁ!冒険者の恥晒しが!」
「お父さん弱くないもん!」
腕の中のリースが怒り、いつもでは信じられないぐらいの大きな声を上げた。
「はっ!だったら決闘するか?アァ!出来んのかよぉ!」
「ひぅ………。お、お父さん…弱くないもん。」
至近距離で怒鳴られ、萎縮するリース。声はどんどん小さくなり今にも泣きそうだ。
「おぉ?それともお嬢ちゃんがおとうたまの代わりに戦うんでちゅかー!」
明らかに馬鹿にしたような口調でまくし立てる強面にリースは等々「ひっく、う、うぇ……」と泣き出した。
庇ってくれた事に嬉しくてちょっと見ていたけど流石に我慢が出来ないので見えない速度で強面の顎を打ち抜く。勿論顎を砕かないように手加減してだ。
「ピョ?……。」
「何だコイツ?酒でも呑んでたのか?」
こっちに倒れてきたので慌てた風を装いながら躱し、床に倒れた男を眺める。
………ちょっと手加減を間違えて口の中血だらけだけどまぁ大丈夫だろう。
そのまま訝しみながらを装いながら通り抜け、クエストカウンターに到着する。
「ようこそ、ファーブル領冒険者ギルド支部へ。」
カウンターにいるのは理系な美人の女性で、どの世界でも受付は美人が多いなぁとしみじみ思う。
「ランク鉄のカサド。クエスト達成したから納品に来た。」
「ホンジョウ様ですね。採取物の確認をさせていただきます。」
言われたので皮袋をカウンターに乗せ、中身を出していく。それを女性は素早く見定め、規定数かどうかも確認していた。
「相変わらずの品質ですね。数も納品数を超過しておりますがどうします?」
「超過分は持って帰る。」
「分かりました。」
いつものように淡々と済ませ、余ったモモルの実5個とバナナっぽい果実のバナンを皮袋に詰め直す。
「それではこちらは依頼達成料です。ご確認を。」
「あぁ、わかった。」
出された金貨1枚と大きめの銀貨2枚、普通の銀貨が4枚ある。クエスト依頼はモモルの実を一つにつき大銀貨1枚だ。バナンは銀貨4枚、納品数はモモルが10にバナンは6程が上限でこのクエストは貼り出されていた。
依頼料を受け取り、皮袋片手にスタスタと歩いて出て行った。倒れた冒険者は仲間らしき奴に介護されてたけど知らない。




