枯れた幼女と鉄錆の主 続
こわい、こわい、こわい……。
「…………⁈」
走ってたら転んじゃった。
ひざいたい。丸まりたい。けど…
「ギャギギィガギャ?」
黒いドラゴンが来てるから逃げないと………。
あの場所から、逃げないと…。
あの人が食べられちゃう。
走って、走って、走った…
けど、足の裏いたくて、シーツもひっかかって、そしたらドラゴンが鳴きながらシーツを加えちゃった…。
ぶらんって浮いて、気付いたらお空飛んでて、木に当たって、いたくてうずくまる。
でも目の前にドラゴンがいて、また泣いたの。
そしたら痛いの消えて、なんでって思ったらドラゴン、笑ってたの…。
死んじゃったあの人達と似た笑いで、怖くてまた走る…。
でも、目の前には大きな木があって、後ろにはドラゴンがいて、もう歩けないぐらい疲れて、わたし、死んじゃうんだ…。
お母さん、おとうさん、また、会えるかなぁ?
あの人、大丈夫かなぁ?
お母さんがね、怒った時にわたしにあんまり構ってくれなくなったの。
でもね、お母さん怒っててもして欲しいことはわかるんだよ。
モモルの実、くれたり。ドア届かないとついでって言いながら開けてくれたり、怒ってても優しいんだ。
あの人がね、怒ったお母さんと似てるの…。
だから、だからね?
ちょっとだけ、構ってくれてありがとう………。
大きな木の根のそばでわたしは笑う。笑えたの。
目の前でドラゴンが口を開いてて、食べようとしてるんだ。
………あの人にありがとうって………………言いたい。
「……あ、あり…が……とう。」
いないけどありがとうございます。
そしたら、かぜが来たの。
目の前に、あの人がいて……。
わたしのあたま、撫でてくれて……
「ごめん、ちょっと遅れた。」
仲直りしたお母さんみたいな笑顔でそこにいたの…。
わたしは、なんで?って思ったけど、後ろのドラゴンのこと思い出して、逃げてって伝えたくて、口を必死に動かしたけど、声出ない。
「……け……。…に………。」
何回も言うけど、声出なくて、悲しくて、悔しくて、けどあの人はあたまを撫でるのやめない。
「グルグガギガ…!」
「ごめんな?心配かけて、お前が安心出来るように頑張るから、だから、ちょっとだけ待っとけよ?」
耳元でまりょくを感じて、不思議に思ってたらあの人がドラゴンの方に行って、わたしはあわてて止めようとして、そしたら、あの人の手にミスリルがあったの…。
よくわかんなくて、自分の耳触ったら嫌いな札が消えてて、やっぱりよくわかんない…。