【プロローグ】
『あるところに魔法の世界がありました。
その世界には大陸が7つあって、それぞれ自然の力を司る王が君臨していました。
北にある2つの大陸はそれぞれ火を司る王〔カルマ〕と風を司る女王〔ウィーン〕が君臨している。その大陸の南東にある大きな大陸には3つの国があって、西に光を司る王〔サンダース〕、隣には水を司る女王〔セルリアン〕と植物を司る女王〔ロズ〕が君臨。さらに東にいくと、また大陸があってそこには2つの国があり、それぞれ時を司る王〔アヴァン〕、西に空を司る王〔エトワール〕が君臨する。…そして残る1つは、ここ魔法界で最も恐れられている大陸の国であり、闇を司る王が君臨する。暗黒に包まれたこの大陸は誰も人が訪れようとしない謎めいた国である。王の名前は伏せられており、耳にしたことがある者は世界でもたった数人しかいないという。
…って、イラ…ん。…アイラさん。』
さっきから、誰かが私の名前を読んでいる。春の訪れ。桜が満開に咲く頃、私はここエドワール魔法学校に入学した。それまではずっとお城で何の変哲もない日常を送り、何の苦労もせず生活してきた箱入り…、え?なんでお城だって?それは…こう見えて私、水の国の城のプリンセスなんです!ママはその国の女王〔セルリアン〕で毎日仕事に追われてる日々なの。私には2つ下の弟がいて、名前は〔セレステ〕。あ、私の名前言い忘れてた!…n「アイラさん!」
バシッ
「いったぁ…。」
「いつまで寝てるんですか!」
ふと目が覚めると目の前には怒りに満ち溢れた表情で仁王立ちしている、生物学のアンリ先生の姿があった。隣の席で「ははは…。」と苦笑いを浮かべているのは大の仲良しの隣の国の王子〔サン〕。
「ちょっと〜!なんで起こしてくれなかったのよぉ…泣。」
「え、だって…。」
サンはアイラの言葉に目を逸らす。
「人のせいにするんじゃありません!!今日のところは居残りです。良いですね?アイラさん。それでは授業を終わります。生徒起立。」
ちょうどそのとき、授業の終わりを告げるチャイムが校内に響き渡った。