白い世界
目覚めると白いだけの空間が広がっていた。
何もない。
自分から発する音だけが聞こえる。
何もないのだ。見上げればあるはずの空も、空を飛ぶ鳥も草や木も虫さえもいない。ひどく静まり返った空間があるのみだ。
まるで私だけが異質なもののように辺りは静まり返っている私は自分の身体を見てみる。髪の毛は変わり映えのしないただの黒だし、手も少しのささくれと人より小さくて特には変わりばえのしない自分の手だ。短い足も変わらない。
怖い
本当に私しかいないだろうか。
幸い地面はあるので落ちることはない。
私はあたりをもう一度見回してみる。
下も上も目の前の地平線の向こうまで真っ白だ。
でも もしかしたら何かがあるかもしれない
私は立ち上がり、前に進む。
この白に終わりはあるのか、ずっと白いままなのか?
私は足を動かし続ける。